スマートは近未来から来たコミューター?

1999.03.08 自動車ニュース
 
 
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スマートは近未来から来たコミューター? (3/8)

メルセデスとスウォッチの共同開発による小型車「MCCスマート」に乗りました。軽自動車より小さなボディに、600ccターボエンジンを搭載したユニークなスタイルの2人乗りです。

170センチ、80キロの僕は決してスマートではありませんが、「スマート」という名前のクルマに乗ってみました。ダイムラーベンツ(当時)と、時計のスウォッチで有名なSMH社が共同出資して設立したマイクロコンパクトカー(MCC)社が1997年に発表した2人乗りの小型車で、フランス東部、ロレーヌ地方の工場で作られています。

全長は軽自動車より900mmも短い2500mmで、全幅は1515mm、全高は1529mm。ホイールベースは1812mmです。リアに積まれたエンジンは600cc3気筒SOHC+ターボで、最高出力が45psのものと55psのものがあり、後輪を駆動します。今回試乗したのは、55psの高級グレード「パルス」に、本革シートやアルミホイール、エアコンを加えた豪華仕様「リミテッドI」というグレード。輸入元のオートトレーディングでは235.0万円で販売しています。

雑誌などでスマートを見た人の中には「窮屈そう」と思った人もいるでしょう。ところが乗ってみると、その室内は見た目ほど狭くないのに驚きます。シートを一番後ろまで下げた状態では、ブレーキペダルに足が届かないぐらいです。しっかりとした作りのシートは面圧分布が良く、ナイロン製メッシュのバックレストは、トランポリンに背中を押し付けているような心地よさがあります。

600ccの3気筒ターボエンジンは低回転域からトルクがあり、車重が680kgと軽いせいもあって、スマートは意外と軽快に走ります。トランスミッションは、出力のロスを減らすために、電気的な信号でクラッチを制御する6段セミオートマチック。スムーズなシフトができるように、アクセルを緩めないままで変速ができるようになっています。ただし変速のレスポンスは、特にすばらしいというほどではありません。

なにせ全長が2メートル半しかありませんから、このクルマにハンドリングや乗り心地のよさを求めるのはヤボに近いものがあります。乗り心地はかなり硬めです。重心が高く、全長が短くて、幅も広くはないし、そのスペースのほとんどを居住空間に使っているスマートのパッケージングでは、サスペンションに十分なストロークを与えられないし、不安なく走らせるには足回りを硬くするしか方法がなかったのでしょう。足回りの硬さによる乗り心地の悪化を、シートのクッションで補っていますが。

ステアリングはギア比がスローで、一所懸命回さないと思った通りに曲がってくません。ただ背が高く、幅が狭いうえ、ロールをほとんどしないスマートの設定をかんがみるに、ギア比をクイックにしてしまうとターンインがシャープになりすぎます。そうすると高速走行のレーンチェンジなどで危険性が増すから、それを回避したのでしょう。

時速100キロ近辺のスピードで継ぎ目の多い日本の高速道路を走行すると、路面からの突き上げが強くて疲れます。道路工事などで路面がかなり荒れていると、スマートはピョンピョン跳びはねてしまいます。見た目と相まって、カエルになった気分です。

「このクルマは道路が現在よりももっと整備された、未来的な環境で走らせたら、そのよさを発揮するのにな」。スマートに乗って、そう思いました。あるいは、懐かしのスパイ映画「それゆけスマート」に登場させるのもいいかもしれません。ふだんは交通の流れにそってヘラヘラ走っているのですが、尾行や追跡のときは、オモチャのような内装のボタンや、キノコっぽいタコメーターをひねるとレーダー装置が出てきたり、高速走行時にはホイールベースが延びる、というのはどうでしょうか。(リポート=松本英雄)

 
 

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