シフトが痛快、「アルファ156 セレスピード」

1999.03.19 自動車ニュース
 
 
990319_041.gif

シフトが痛快、「アルファ156 セレスピード」(3/19)

2種類の新世代オートマチックを装備した「アルファ156」に試乗した。いずれもマニュアル操作が可能だ。まず「2.0ツインスパーク セレスピード」の試乗記から。

今回、あらたに「156 2.0ツインスパーク」に搭載された「セレスピード」は、ひとことでいうと「クラッチ操作と、変速を自動化した5段MT」です。いわゆるマニュアルモード付ATとは異なり、クラッチはMT車と同じように存在し、電子制御で油圧アクチュエーターを動かすことによって、つないだり離したりしています。また、ギアの変更も、通常のリンケージによる手動式ではなく、電子制御による油圧アクチュエーターが行っています。さらに、「シティ」モードを選択すれば、通常の5段ATと同様に、自動変速もしてくれます。

このシステムは、フェラーリF355 F1に採用されたものを、さらに進化させたものです。エンジンの回転数やスロットル開度、速度などの情報がEPU(総合制御システム)に伝えられ、状況が診断されて、クラッチ操作が自動的に行われます。それゆえ、レブリミットまで回せば自動的にシフトアップするし、ある程度強いブレーキングをすれば、自動的にシフトダウンする安全機構もついています。

操作は、一般のフロアシフトのギアレバーに相当する「ジョイスティック」か、ステアリングホイールに取り付けられた、「+」「−」のボタンによって行われます。エンジンをスタートさせると、ポジションはニュートラルになっています。ブレーキを踏みながらジョイスティックを前に倒すと、1速に入ります。そのままアクセルを踏んでゆけば、コンピューターの制御によって、最小限の半クラッチ操作が行われ、クルマはスムーズに発進してゆきます。

時速10km/h以上になると、はじめてステアリング上でシフトアップ/ダウンが可能になります。発進のさいは、クラッチがつながるのにやや時間がかかるので、ATのクリープのような発進はできません。坂道などではブレーキを踏みながら操作する必要があります。

ボタンを押してからシフトが完了するまでの時間は、予想外に速くて驚きました。ちなみに通常の走行でシフトに要する時間は1秒から1.5秒。これは平均的なドライバーがシフトに要する時間より、速いかもしれません。さらに「セレスピード」は、高回転域でアクセルを開けているような状況では、変速時間が約0.4秒から0.5秒に短縮されます。スポーツドライビングをしていても、変速のタイムラグに悩まされることはありませんでした。

「セレスピード」のすばらしい所は、アクセルを踏んだままでも、シフトアップする時にはクルマが適度にアクセルを緩め、シフトダウンする時には、エンジンの回転数を合わせるために、適度にアクセルを開けて「中ぶかし」を入れてくれることです。とくに、シフトダウンの時の「フォン、フォン」という「中ぶかし」は、タイミングといい量といい音といい、まさに絶妙で、さすがに「ドライビング経験豊かな人たちが作ったシステムだな」と感心しました。

実際のところ、「セレスピード」はシフトダウンがとても上手なので、一般的なドライバーなら、MT車を運転するより、クルマそのものを、よりうまく、より速く、確実に運転することができるようです。フィアットオートのあるスタッフの話では、同じ人が156のMTとセレスピードでサーキットを走れば、セレスピードの方があきらかにタイムが向上するということです。

さらに嬉しかったのは、シフトアップのさいにドライバーが自分の意志でアクセルを緩めたり、シフトダウンの時に「中ぶかし」を自分で入れたりすると、シフトがよりスムーズになることです。つまり、ドライバーの積極的な運転に対する意志も受け入れてくれる、懐の深さがある。さすがアルファだと思いました。

「シティモード」を選択してみると、そのレスポンスやシフトスケジュールの完成度は、5段ATとしてはまあ合格点だと思いました。面白かったのは、シティモードで走っていてシフトダウンをしたくなり、ギアを落とすと、とたんにマニュアルモードに変わることです。「やる気になったらすばやく対応するぞ」という意思表示のようで、好感が持てました。

ただ、官能的で上質なエンジンや、「セレスピード」の完成度はすばらしかったのですが、サスペンションのセッティングには少々がっかりしました。これは本国でいうところの「スポーツパッケージ」が装着されているそうで、ショックアブソーバーやブッシュが固めの設定になっています。

ところが、とくにタイトなコーナーなどで、初期のロールは安定しているのですが、ロールが一定の領域を超えると、唐突に、やや不安感を与えるようなアライメント変化が起きるのです。また、ちょっとした段差でも不快な突き上げがあり、荒れた路面でハンドルが取られたりもします。この点が改善されれば、156セレスピードは文句なしのスポーツサルーンになるのに、と思いました。ちなみに価格は、マニュアル仕様の22万円高の381万円です。(報告=松本英雄+Web CG スヤマ)

 
 

関連キーワード:
アルファ156アルファ・ロメオ自動車ニュース

あなたにおすすめの記事
関連記事
  • アルファ・ロメオ・ジュリア ヴェローチェ(4WD/8AT)【試乗記】 2018.1.24 試乗記 いよいよ日本にも導入されたファン待望のスポーツセダン「アルファ・ロメオ・ジュリア」。そのラインナップのなかから、今回は280psを発生する「ヴェローチェ」の4WDに試乗。その走りの特徴を、アルファの4WDの歴史とともに紹介する。
  • アルファ・ロメオ・ジュリア ヴェローチェ(FR/8AT)【試乗記】 2018.5.3 試乗記 プレミアムブランドとしての復権をもくろむアルファ・ロメオが、満を持して投入したDセグメントのスポーツセダン「ジュリア」。新たに設定された280psのFRモデルに試乗し、新世代アルファの課題を浮き彫りにする。
  • アルファ・ロメオ・ジュリア クアドリフォリオ(FR/8AT)【試乗記】 2017.12.22 試乗記 新型「ジュリア」はアルファ・ロメオの復活を印象付ける力作だ。ドライバーズシートに収まり、久しぶりのFRシャシーを操ると、かつて馴染(なじ)んだあの感覚がよみがえる。まるで悪友に再会したような気分だ。510psを誇る「クアドリフォリオ」に試乗した。
  • マツダ・ロードスターRF RS(FR/6MT)/ロードスターRF VS(FR/6AT)【試乗記】
    2018.6.9 試乗記 マツダが「ロードスター」と「ロードスターRF」に“商品改良”を実施。中でもハードトップのRFは、デビューからわずか1年半のクルマには常識破りともいえるほど大規模な改修を受けている。正式発売前のプロトタイプモデルに試乗し、その進化の度合いを探った。
  • ポルシェ911カレラT(RR/7MT)【レビュー】 2018.5.22 試乗記 徹底した軽量化やパワートレインの変更などにより、強烈なドライビングプレジャーを追求したという「ポルシェ911カレラT」。母国ドイツの道でむちを当ててみると、一段と凝縮された“911のよさ”を味わうことができた。
ホームへ戻る