「ボルボS80 2.4」はベストバランス

1999.04.12 自動車ニュース
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「ボルボS80 2.4」はベストバランス(4/12)

ボルボの最高級サルーン「S80」に追加された「2.4」に試乗した。5気筒エンジンと5段ATによるキビキビした走りが気持ちいい。

ボルボの「S80」シリーズは、1998年10月に日本に導入された、同社の最高級サルーン。これまでは2.9リッター直6を搭載する「S80 2.9」と、2.8リッター直6ツインカムターボを搭載する「S80 T-6」の2バリエーションが販売されていた。

今回試乗した「S80 2.4」は、2月24日に追加された、同シリーズのエントリーモデルだ。同じ横置きのFFながら、2.4リッター直5DOHC4バルブエンジンを搭載し、新開発のアイシン製5段ATを備えているのが、他のグレードとの大きな相違点だ。

廉価版とはいえ、デュアルエアバッグや、側面衝突時に頭部を保護するインフレータブルカーテン、トラクションコントロール(STC)、むち打ち防止機能などの安全装備や、日本の2000年規制をクリアする低公害排ガスシステムなどの環境対策装備は、上級グレードと同一のものが与えられている。

価格は510.0万円。セルシオやサーブ9-5の上級モデル、アウディA6などと同じ価格帯に属す。ボルボカーズジャパンとしては、そのバリューポジションはメルセデスEクラスやBMW5シリーズに匹敵するとしている。

沖縄読谷村のリゾートホテルで開催された試乗会で、走り出してみてすぐ感じたのは「身のこなしが軽やかだな」ということ。エンジンがパワフルだからというのではなく、車重、とくに鼻先が他のグレードと比べて軽いので、ステアリングの操舵感が自然で、軽やかなものになっているのだ。車重が100kgちかく重い他のグレードだと、ステアリングは重く、切りはじめると直進状態に戻ろうとする反力が強くて、あまり感触がよくなかったのだ。

エンジンの出力が他のグレードより低いために、サスペンションの設定もソフトになっている。タイヤが細いのとあいまって乗り心地もしなやかだ。とくに60から70km/hのタウンスピードで走っている時がもっとも快適だ。荒れた路面でやや突き上げがあるのと、高速域ではややダンピング不足の感もあるけれど、都市内で乗ることの多い人には嬉しいセッティングだろう。

170psの最高出力と23.5kgmの最大トルクを生むエンジンは非力とはいえ、黒子に徹して必要最低限のパワーとトルクを生み出している。新開発のアイシン製5段ATはシフトスケジュールが秀逸で、シフトのタイムラグやショックも少なく、的確かつ滑らかにシフトして、エンジンの非力さを大いにカバーする。そのため、高速道路の追い越し加速でも痛痒感はほとんど感じなかった。それどころか、ATの出来がよいので、走りが軽やかに感じられ、排気量の大きい「2.9」よりも速く走れるような感じがしたほどだ。

高速道路のクルーズは快適だ。5速100km/hで2100rpmのエンジンからはほとんどノイズは聞こえない。速度を上げていっても風切り音がほとんど発生せず、前後の席の間で、普通の声量のままで楽に会話ができる。この遮音性の高さは、特筆すべきことだろう。

そして「S80 2.4」のいちばんの素晴らしさは、「控え目に上質な時間を提供する」ということだろう。エンジンの性格も、乗り心地もやシートの座り心地も、インテリアの趣味も、そのエクステリアデザインも、決して声高に「高級、高性能」を喧伝していないけれど、長くつきあっていると、その仕上げのよさ、安心感がじわじわと身にしみてきて、心がリラックスしてゆく。ここに、ボルボ的な自動車世界観の真髄があると思う。そんなわけで「2.4」は「S80」シリーズ中でベストバイだと思われた。これで乗り心地がもう少し洗練されれば、文句はなくなるのだけれど。(写真=河野敦樹/撮影協力=ホテル日光アリビラ)

それにしても「S80 2.4」の遮音性はすごいです。高速道路で後ろからサイレンを鳴らしたパトカーが近づいてきても、気がつくのが遅れたくらいですから。(Web CG スヤマ)

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