MDの音を競うナカミチサウンドミーティング

1999.12.10 自動車ニュース
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MDの音を競うナカミチサウンドミーティング(12/10)

ナカミチ製品を実車に搭載しショップによる音の違いを味わう「ナカミチサウンドミーティング」が開かれた。恒例のイベントだが、今回は新趣向が盛りだくさん。基本テーマは「MDをどう鳴らすか」だ。

12月1日、東京お台場・潮風公園に集まったプロショップは18店。同様のイベントはすでに関西でも開かれており(こちらは30店が参加した)、今回は関東圏での開催。関東とはいっても北は福島から南は静岡まで広い地域から参加ショップが詰めかけた。

■MDは進化したか?
参加の条件はナカミチが今年発売したMDプレーヤーMD-95z、MD-45z、MD-30zのいずれかを搭載すること。いつもの同イベントではアンプからスピーカーまでナカミチブランドの中から選ばなければならなかったが、今回はヘッドユニットが同社のMDであればあとは何を使用してもよいことになった。各ショップともこれでよりその店らしいカラーを打ち出せることになったわけである。制約を取り払ったことに加えて、この日取材したメディア(13誌)が気に入ったショップに賞を与える新しい趣向もある。われわれにも「CAR GRAPHIC賞」なるものを用意していただいた。

実力あるショップの中から1店を選ぶとなると試聴にも力が入る。ただ普段MDを聞いていない身としては、まずMDがどれだけの実力を持っているのかを確認しなくてはならない。試聴は課題曲3曲で聴くわけだが、それすらあまり馴染みの曲ばかりだったので、普段聴いているCDから数曲をMDに落としてもらった。

いよいよ試聴。数台聴くだけでも、MDが出現した当初は「こりゃダメだ」と思ったMDの音もかなりいけることがわかった。この数年の技術の進歩もさることながら、MDを高級オーディオに育て上げようとするナカミチの意気込みがなしえたものだろう。厳密にいえばスケールの大きさや音の粒立ちといった部分で不満はあるが、愛聴曲もCDに近い音質だったのにはちょっと驚いた。

■CAR GRAPHIC賞のゆくえは?
基本的に同じMDユニットでありながら参加した18台のデモカーから出てくる音はさまざま。シンプル/低価格なシステムを組むショップもあればホーム用高級スピーカーユニットを搭載するショップまで、いずれも個性ある音を聴かせてくれた。中でも大いに印象に残ったのは次の4ショップ。茨城のテクノガレージと静岡のサウンドガイヤはアンプ、スピーカーともにPHASS(ファス)を使い、かなり満足のいく音を出していた。車はテクノガレージがオペル・ヴィータ、サウンドガイヤがニッサン・マーチと、車のサイズまで近いので直接比較ができたのだが、前者はやや定位があいまいな点が惜しかった。

定位が良かったものといえば栃木のユウキサービスが仕立てたスバル・ヴィヴィオにととめを刺す。軽自動車という狭い室内で定位のしっかりした音を聴かせることはすばらしい腕前だと思う。ただ、広がり感の点で物足りなさを感じたのはやはり狭い空間ゆえの問題だろう。MD-30zを使えばCD-700のDAC回路に送り込むという高度なシステムも組めるが、総じてこの手法を採ったショップの音が明快でなかったのに、このヴィヴィオだけはクリアな音を出していたのもポイントが高い。しかしそれでも1位としなかったのは、その後で福島の出光ユーズダイナ四倉が作ったオペル・オメガの音を聴いてしまったからだ。

MD-45zをやはりPHASSのアンプとスピーカーと組み合わせたシステムは厚みのある音、広がり感ともに充分で、落ち着いた音場空間を創出していたのだ。MDは若者のメディアと思いこんでいた私のような年輩者にも納得できる音なのである。これは比較的年齢層の高いCG読者の見方(聴き方?)とも一致するはず。もうひとつ高得点の理由がシンプルなシステムであり、インストールがきわめてコンパクトにまとめられていたこと。CGではたとえいい音を出すシステムであっても車本来の機能を損なうようなインストールはよしとしない。視界をはじめドライビング操作に影響を及ぼすインストールは論外だし、トランクルームに機器を置く場合でもオーディオの占有スペースは最小限にすべきである。その点、このオメガはトランクサイドのデッドスペースをうまく活用し、その中にアンプとネットワークを収めてしまった(写真参照)。しかもアンプの冷却にも配慮してファンまで付けるという用意周到ぶりだ。

ということで、CAR GRAPHIC賞は文句なしに出光ユーズダイナ四倉さんにお贈りした。こちらのショップにはほかにCARisma誌も贈っておられたが、そちらの審査をされた編集者は若い方で若い読者にも充分アピールできる音と評されたのを聞くと、よい音に世代はないのだなあと改めて感じさせられた。

ハイエンドオーディオの世界での存在
MDはCDと異なり、圧縮して記録するという方式を採っており、それゆえあれだけの小さな記録面にCDと同じだけの演奏時間が確保できている。この記録方式の違いによる音質の差は依然としてあるものの、その差は大きく縮まった。その一方で、記録面が保護されるという形態面の特徴はCDにはないメリットである。扱いやすいMDはカーオーディオにとって有望なメディアであることは疑いようがないが、さらに音質が改善されればハイファイの世界でもきっと伸びる、そんな期待を抱かせる試聴会であった。(Web CG おざわ)

(写真・上)
潮風公園での日の圧巻はシボレー・インパラ。テールフィンの付いたアメ車がハイファイイベントに登場するのは珍しい。千葉ローライダーファクトリーからのエントリー。

(小写真、左上から時計回り)
ユウキサービスのスバル・ヴィヴィオ。管球式プリアンプも音のよさに一役買っている。

出光ユーズダイナ四倉のオメガ。外観もなかなかにスタイリッシュだ。

雑誌社の賞以外にナカミチ賞も出た。授与されるのはアルピットさん。選定はナカミチ小林取締役が直接あたった。(写真=小林岳夫/GEO)

思わずガッツポーズを見せる出光ユーズダイナ四倉代表の吉田さん。(写真=小林岳夫/GEO)

出光ユーズダイナ四倉さんにCAR GRAPHIC賞を手渡す筆者。(写真=小林岳夫/GEO)

オメガのトランクルーム横にしつらえたアンプとネットワーク。右上に見えるのは冷却ファン。

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