自動車の原点ここにあり─「20世紀の国産車」展

2000.04.28 自動車ニュース
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自動車の原点ここにあり─「20世紀の国産車」展(4/28)

3月18日から東京・上野の国立科学博物館で開催されている特別企画展「20世紀の国産車──日本を駆けた、世界を駆けた」を見学してきた。

この企画は日本に自動車が伝来した明治時代から、大正・昭和期にかけての国産車の誕生、戦後の自動車工業の発展、そして21世紀に向けた自動車開発の現況にいたるわが国の自動車産業およびモータリゼーションの歴史をたどるもので、全13台の車両のほか、エンジン単体や各種資料類が展示されている。

展示会場は新館の地下2階と3階に分かれており、地下2階フロアには「オートモ号の時代とその周辺」と題された、自動車国産化に挑戦した先人たちの記録が並べられている。

オートモ号とは豊川順彌氏が東京・巣鴨に設立した白楊社によって、大正13(1924)年から昭和3(1928)年にかけて約300台が生産された、わが国最初期の量産車である。しかし残存車両はなく、一般的には車名すら知られていない。

今回は科学博物館とトヨタ博物館との共同プロジェクトにより、3年の歳月を経て昨年1月に完成したという大正14(1925)年製オートモ号の復元車を展示した。また、豊川氏の没後に科学博物館に寄贈されたという白楊社自製の工作機械、設計図や当時の写真など、きわめて貴重な資料類が初公開された点にも注目したい。 

このフロアにはほかに、フィアットのコピーとされる三菱A型(1917)の復元車、日本フォード製T型(1925)、ダットサン12型フェートン(1933)などの車両やエンジン単体、および資料類が展示されていた。

地下3階フロアでは「日本人と車の100年」と題し、自動車前史時代から現代までのモータリゼーションの歴史が、簡単ながら時系列に沿って俯瞰できるようになっている。

展示車両は「男爵イモ」の生みの親として知られる川田龍吉男爵が購入した、日本最古の輸入車であるロコモビル蒸気自動車(1901)をはじめ、オールズモビル(1905)、ダイハツ号HB型3輪トラック(1931)、トヨペットSA(1947)、フライング・フェザー(1955)、フジキャビン(1955)、スズライトSF(1955)、そしてスバル360(1958)の8車。ほかに国内各メーカーの最新のエコカーが1台ずつ交替で展示されている。

ここで注目すべきは、スバル360と並べられている同車の1/1スケールの石膏模型。開発当時、図面製作用に作られたものだそうだが、保存されていたことに驚きを禁じ得ない。この石膏模型から起こされた原寸大の設計図面も展示されており、スバリストならずとも一見の価値があるだろう。

そのほか各年代ごとの写真やカタログといった資料類、変わったところでは大正時代の免許証やタクシーメーターなども展示されていた。

いささか固い話になるが、この特別企画展が国立博物館で開催されたということは、意義深い。世界で1、2位を争う自動車生産国に発展した今も、公的機関からは研究対象として認識されていたかどうか疑わしい自動車史だが、ようやく国家がその価値を認めたことを意味するのではないだろうか。こちろんそれは、われわれ自動車愛好家にとって歓迎すべきことである。

そうした理屈はともかく、今まで陽のあたることのなかったオートモ号関係の資料をはじめ、めったに見られない貴重な展示品が多数揃っているので、歴史に興味のあるエンスー諸氏はもちろん、一般自動車ファンもぜひ訪れてみることをお勧めする。(取材=沼田 亨)

開催期間は本年6月4日(日)まで(月曜休館)で、入館料は一般・大学生が830円だ。

「かはく」サイト:
http://www.kahaku.go.jp/

※写真は、オートモ号復元車。展示ステージは大正13(1924)年に東京・大手町で開かれたという発表会の会場を模している。

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