日本再登場の「オーディソン・アンプ」を聴く

2000.05.01 自動車ニュース
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日本再登場の「オーディソン・アンプ」を聴く(5/1)

イタリアのカーオーディオブランド「オーディソン」のアンプを試聴した。

以前、FTトレーディングによって輸入されていた頃、VR209というヒットモデルを生み、HR100という超高級モデルを送り出していたオーディソンが、最新モデルのVRXシリーズを引っさげて再び日本の市場に登場した。カーオーディオファイルにとっては、喜ばしい限りである。新たなる輸入元はアルファオーディオである。

その新しいVRXシリーズだが、発表会時に来日したイタリア・エレットロメディア社オーディソン・ディヴィジョンの輸出担当マネージャー、ロベルト・パゴーニ氏いわく「これまでのHR100などとは、まったく異なるコンセプトで作られたもの」とのこと。「HR100はハイエンドの“ザ・アンプリファイア”だが、VRXシリーズは“ザ・アンプリファイア・システム”である」というのだ。

その根拠がオープンデッキ・スタイル。VRXシリーズは、裏蓋を開けるとエクステンションターミナルが出現し、アンプ内部に直接アクセスできるようになっている。

ここにオプションのクロスオーバーやパラメトリックイコライザー、サブソニックフィルターなどのモジュールを差し込むことによって、アンプを多機能化できるほか、スピーカーに応じた合理的なシステム設計が可能になるというわけだ。

コンピューターに詳しい方ならわかると思うが、マザーボードにメモリーやビデオボードなどを追加する、あの感覚である。なぜそのような方法を採用したかといえばすべては音質のため。信号経路の長さが信号劣化に直結するオーディオにおいては、外部アクセサリー類にRCAケーブルを使って接続するよりも、アンプ内部にモジュールを直結するほうが信号経路を短縮できることは明白。したがって、音質面でも有利なのだ。発売は夏頃になりそうだがクラスAブースターというモジュールも用意されており、アンプそのものの性格まで変えることができるのが興味深い。

さて、そんなオーディソンVRXシリーズを搭載したデモカーがメルセデスEクラスワゴン。オーディソンのパワーアンプは200W×2の定格出力を持つVRX2.400が2台、定格出力500WモノラルのVRX1.500が1台の計3台。スピーカーはフロントシートの足下に16cmミッドレンジとトゥイーターを埋め込んだ上にドアに13cmウーファーが左右各4個ずつ並び、さらにラゲッジルームに33cmサブウーファーを搭載するという大がかりなシステムである。デモカーという性格上、どうしても見せる要素が必要なため、一般的なユーザーが考えるカーオーディオとは、ややかけ離れたシステムにはなっているが、VRXシリーズの拡張性の高さを示す意味もある。

スピーカーはフランスのスピーカー専業ブランド、フォーカルの最上級シリーズ「ユートピア」を使用している。トゥイーターがAudiom TLR、16cmミッドレンジがAudiom 6W、13cmウーファーが5WS、サブウーファーが33WXという構成である。このフォーカルもアルファオーディオが輸入しているブランドのひとつだが、同じラテン系ということで気が合うのか、実はオーディソンとフォーカルは、本国の技術者同士も綿密な交流があるそうで、オーディソンとアルファオーディオを引き合わせたのもフォーカルとのこと。そんな意味でも、アンプとスピーカーのマッチングはベストといえるだろう。

そのサウンドだが、ひとことでいうとソフトでウォームなトーン。実はこのデモカー、発表会前日にようやく完成し、福岡から約10時間かけて発表会当日の早朝に会場に到着したということで調整もままならない状況だった。事実、ドアのウーファーやサブウーファーのタイミングが合っていない面もあったのだが、それでもところどころでハイファイサウンドの片鱗を聴かせてくれる。たとえばバイオリンの弦と弓がこすれる音などは、ぞくぞくするほどのリアルさ。女性ボーカルも唇がしっとりと濡れているような、色気を感じる唄声だ。スペックには現れない表現力の高さがオーディソン・アンプの持ち味といえる。

はっきりいってデジタル・ミュージックやJポップあたりを聴いても、なんの感動もないかもしれない。しかしアコースティック系音楽の生々しさなどはアメリカ製オーディオでは得難いものがある。この傾向の音が好きな人は、とことんはまりそう。そんな雰囲気のあるサウンドである。(リポート/写真=石田 功)

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