ソニー製?スポーツカーに乗った

2000.06.15 自動車ニュース
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ソニー製?スポーツカーに乗った(6/15)

■その名は「カセルタ」
ちゃんとトヨタの名を冠した国産2座スポーツカーなのだが、現時点では未発表のクルマ。そんなカセルタに「ソニーのデモカーとして」試乗することができた。搭載された最新カーエレクトロニクスとともにいち早く御紹介しよう。

「カセルタ」とはトヨタMR-Sをベースに、ボディデザインのスペシャリストがまったく新しいボディを被せたスポーツカー。少量生産の限定車だが、レッキとしたトヨタ車である。トヨタからの正式発表はなんとこれからなので、何台作られて、いくらで売られるのか、さらに中身はMR-Sとどう違うのか、詳細は何も知らされないまま、いきなり試乗できることになった。

というのもこのカセルタ、「量産」仕様ではなくあくまでプロトタイプという但し書き付き。ボディ製作を担当した岩手・一関の(株)モディーというボディデザイン会社とソニーが、それぞれのデモンストレーションのために企画されたクルマなのだ。それでも正式発表前に乗れる日本車なんてそうあるものではない。いいんだろうか、期待と不安の入り交じった気持ちでキーと一緒に渡されたソニーの新しいカタログを見ると、もうこのクルマが登場していた。

ボディはご覧のとおり、MR-Sの面影は微塵もない。まろやかな曲面が織りなすスタイリングはまさしくイタリアン・スポーツカー。細部を見ればリアは○○、リアフェンダーの盛り上がりは△△、フロントは□□(問い:それぞれに適当と思われる言葉を当てはめよ)といったようにデザイナーの嗜好やデザインコンセプトは明らか。1960年代の古き良きイタリアンデザインを今日の優れた技術の上に再現しようという意図は痛いほど伝わってくる。それにしてもこれだけの要素をうまくまとめたものだ。あとは頭上にエアスクープなどあれば完璧というところか?

ここにも1960年代を演出したアルミ鋳物製アウターハンドルを握ってコクピットに乗り込むと、さすがにダッシュの造形などはMR-Sのまま。ただし表面はベージュの本革に張り直され、まったく違った雰囲気を醸し出している。球形アルミムクのシフトレバーもいかにもスポーツカーらしい。だがほかの操作部分は悲しいかな、現代の量産スポーツカーのそれだ。とはいえ、視線を前方に投げかけると視界の中にMR-Sにはなかった懐かしい光景が飛び込んでくる。フロントフェンダーの「峰」がフロントウィンドーの左右で控えめに存在を主張する。「これは只のMR-Sではないんだよ」と。デザインに抑揚を付けるためにあえて膨らませたフェンダーだが、実用的にもこういう昔ながらのデザインはもっと復権してもよいのではないかと改めて感じた。最新のクルマでは、空力のため、より広い視界を確保するため、こうしたデザインを排除する方向にあるが、この峰のおかげで車幅や前方の距離感が掴みやすいのである。

4気筒2リッターのDOHCエンジン自体はMR-Sと変わっていないようで、低速からも使いやすい。だが、高回転でMR-S以上に気持ちよく伸びると感じるのは、エグゾースト系にかなり手が入っているからだろうか。スロットルレスポンスはより鋭く、少なくとも排気音は骨太に感じられる。この音へのこだわりも60年代スポーツカーを意識したものに違いない。足回りもエンジン本体同様MR-Sから少しも変えていないというが、乗り心地はだいぶ硬い。いや、硬いというより後輪のバネ下重量が過大なのだ。これはタイヤが一回りサイズアップされたせいだろう。こうしたドタバタ感は他のいい印象を台無しにしかねない。もっと軽快な足回りを望みたいところだ。

■中身はソニーの最新ショールーム
ところでこのクルマには最新のソニー製カーナビとカーオーディオが満載されている。これだけ狭い空間によくぞ詰め込んだと感心するが、いずれもカセルタの雰囲気をこわすことなくうまく収納、ディスプレイされている。

カーナビはこの春発売されたNVX-DV805(26万3000円)。今回新登場の8型モニターを持つセットモデルで、本体同様、超コンパクト設計の8型モニターが最大のウリである。もちろん機能も大幅アップしている。測位性能や検索の細かさは従来機より格段の進歩を見せているし、ルート設定時に通りたい道(あるいは道の種類)が区間ごとに選べるようになるなど、歓迎すべき改良は数多い。ユーザーの意志が細かく結果に反映できるという点では、他の追随を許さないのではないか。ただ、基本的な見る部分や聞く部分がほとんど変わっていないので、従来機を熟知している人ならともかく、ちょっと見には変化代がわかりにくいのは惜しい。

スポーツカーにカーナビを載せる場合、特に大型モニターの設置方法は超難題となるのだが、このカセルタではソニーのコンパクト設計がいかんなく発揮されている。ダッシュ上にある蓋つき小物入れを活用しているのだ。しかも一切手を触れることなく操作できる電動ポップアップ式だ。筆者も8型モニターを使用しているが、まず幅がはみだしてこんな小さなスペースに入れるのは不可能である。インストール作業は千葉のサンシャインオートが受け持ったというので、このような設置をお望みなら相談するといいだろう。

オーディオに関してもディスプレイは見事の一語に尽きる。ドアグリップなどに金属の質感を強調するカセルタのイメージに合わせてスピーカー、パッシブネットワークをそのまま露出、ミラーに採用したカーボンケブラーの素材をその周辺でもう一度使用しインテグレートした見せ方に成功している。けばけばしくなりがちなヘッドユニットも、今回新登場のCDX-M750(5万3000円)の、不使用時にはブラックアウトされる全面プラスチックパネル・デザインですっきりとしたコクピットを作り出すのに一役買っている。

音に関してはあまり言及できない。日程的にタイトだったので移動中しか聞けなかったのと、野太い排気音に音楽がかき消されがちでよくわからなかった。それにライン出力がカーナビの音声ガイドとリンクされているため、案内のたびにオーディオがミュートされる。そんな状況では「音楽」にならないからだ。

さらに言い訳すると、路面の変化に敏感なステアリングと格闘しながらカーナビの機能を確認し、オーディオの音質も評価する、そんなお釈迦様のような才能は筆者自身、持ち合わせていないというのが実状なのである。(Web CG おざわ)

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