フォーミュラ・ニッポン合同テストに驚異の新人

2001.02.13 自動車ニュース
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フォーミュラ・ニッポン合同テストに驚異の新人(2/13)

■3チームが本格始動
いよいよ3月25日に開幕戦を迎える2001年のフォーミュラ・ニッポン。2月5〜6日には参戦予定の有力チームが、山口県・セントラルパークMINEサーキットにてプラベートテストを行なった。テストに参加したのは、NOVA、DANDELION、MOONCRAFTの3チーム。合計5台のマシーン、6人のドライバーが姿を見せた。参戦ドライバーがまだ正式発表されていないチームもあり、今シーズンのシートの行方を占う意味でも興味深いテストだった。
テストは2日間とも夜半の雨が残って午前中はウェット、午後からドライになるというコンディションで行なわれた。

■ドライバーの決定も兼ねるNOVA
昨年から参戦シャシーがレイナード一色となりつつある中、Gフォースで参戦するNOVAはこのプライベートテストに、アンドレ・コート(マカオ)、伊藤大輔、リチャード・ライアン(アイルランド)の3ドライバーで臨んだ。「このテストは最終的なオーディションを兼ねている」とは森脇基恭総監督。現段階では、コートが9号車での参戦が濃厚だ。もう1台はこのテストの結果次第で伊藤かライアンに決めたいと言う。
Gフォースで3年目を迎える森脇総監督は、「いつも勝つつもりで開幕戦を迎えているよ、今年ももちろんそのつもりだ」と抱負を語る。2001年モデルのボディはノーズとリアのトップウイングを除きすべて新しいパーツになる予定で、3月11、12日に栃木県・ツインリンクもてぎで行なわれる公式テストまでには完成するという。
このテストで初お目見えのライアンは、91年にマツダでルマンに参戦したデイヴィド・ケネディが「とてつもなく速いんだぜ」と売り込んできたドライバー。日本で走るのはこの日が初めて。もちろんフォーミュラ・ニッポンのマシーンに乗るのも初めてだ。ドライとウェットでドライビングスタイルを変えて走るライアンに「21歳やそこらで、こういうことができる奴がいるんだねぇ、まったく」と、森脇総監督は、半ばあきれ顔ながらも目を細めて彼の走りを見つめていた。

■2台体制で飛躍を期すDANDELION
99年はローラを選択して泣いたDANDELIONとMOONCRAFTは、昨年から両チームともレイナードを投入して参戦した。だが満足の行く結果は残せなかった。両チームとも今シーズンは2台体制で臨む予定だ。
DANDELIONの村岡潔監督は、「2台走らせているチームと比べると、データの収集量で全然かなわない。2台だと2倍ではなく3倍のデータが取れますからね」と語り、テストには、野田英樹とヤレック・ヴィエルチューク(ポーランド)を走らせた。そして、「この時期ですから、ほぼこの2人で決まりだと思いますよ」と付け加えた。
野田は、「自分のキャリアからすれば、開幕戦から優勝を狙わないといけないとは思うが、若いチームなので、自分がチームにフィードバックすることでチームといっしょに高いレベルに登っていきたい。コンスタントにポイントを獲得して表彰台にも登りたい。終盤にチャンピオンを争えれば理想ですけどね」と今年の抱負を語った。

■MOONCRAFTにはヒロ・ミヤモトが参加
道上龍がシートを決めているMOONCRAFTは、1台だけマシーンを持ち込み、昨年FD(フォーミュラ・ドリーム)に参戦、最終戦で3位表彰台を獲得したヒロ・ミヤモトを走らせた。すでに二度のプライベートテストを終えて、フォーミュラ・ニッポンのマシーンに乗るはこのテストで3度目。「MINEのコースは初めてなので、コースを覚えるところから始めました」と話す通り、1日目に106周、2日目に110周をこなしていた。

[2日間のベストタイム]
1 野田英樹       1分15秒450
2 R.ライアン     1分15秒466
3 伊藤大輔       1分15秒676
4 A.コート      1分16秒049
5 J.ヴィエルチューク 1分16秒330
6 ヒロ・ミヤモト    1分17秒219

■ライアンって、どんなドライバー?
噂どおり、ライアンは素晴らしい走りを見せた。6日午後のドライコンディションで、このテストのベストタイム野田英樹の1分15秒450に迫る1分15秒466という驚くべきタイムがその証だ。
リチャード・ライアン、1979年生まれの現在21歳。1987年からカートに乗り、アイリッシュカート選手権(格式は不明)のキッズ、ジュニア、シニアの成長過程で、すべてのチャンピオンを獲得。昨年はフォーミュラ・パーマーに参戦、5勝したが資金難でシーズン途中で離脱した。「フルシーズン走っていれば、チャンピオンは確実だった」とは推薦者ケネディの弁。
森脇基恭総監督の言う「ドライと、ウェットで走り方が全然違う」とは、具体的にはどう違うのだろう、「例えばコートなんかは普通で、ウェットの時もコーナーの手前でぐっとプレーキングしてシフトダウンし、低いギアで加速していくタイプで、ドライの時と同じように走ってる。ライアンのウェットの走りは、全然違うギアに入れてアクセルワークでコントロールしている。普通より高いギアなんだ。ブレーキもちゃんとかけてんだかどうだか、よくわからない。ギアが高いからエンジン音もおとなしい。でもちゃんとタイムを出している。あたかも、人間トラクションコントロールみたいなことやってるんじゃないかなあ。フレンツェンみたいな感じだなあ。」と、ライアンの走りに少なからずショックを受けた様子で、「日本のやり方は間違ってるんじゃないかと思ってしまうよね。高性能なハイグリップタイヤで限界を高めて走ることより、プアーなタイヤでグリップしない状態をコントロールするというあっちのやり方のほうがドライバーは育つのかも知れない。彼が去年走っていたフォーミュラ・パーマーというのはエンジンにターボが付いてて、パワーは結構あるらしいんだけど、タイヤは細いからやっぱりアクセルで細かくコントロールしないとちゃんと走れないんだろう」

今回のプライベートテストの結果で伊藤大輔かリチャード・ライアンを選択するという森脇総監督は、果たしてどのような決断を下すのだろうか。
(リポート&写真=小林晴彦)

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