CARTもてぎ、ビギナー/プロはこう見た!

2001.05.21 自動車ニュース
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CARTもてぎ、ビギナー/プロはこう見た!(5/21)

ケニー・ブラックの初優勝とフォードエンジン4連勝に終わった、ツインリンクもてぎでのCART第5戦。5月19日の決勝には、過去最高の7万2000人もの観客を集めて、盛況のうちに幕を閉じた(またホンダは優勝できなかったけど......)。1998年の初開催から4年。CARTのオーヴァルレースは、日本で着々とファンを増やしている。
今回は、レース観戦ははじめてという女性と、自称「プロのレースファン」こと、日本カーオブザイヤー選考委員のジャーナリスト氏に登場いただき、それぞれの「CART観戦」を語ってもらった。

■コースがもっと長ければいいのに

エディトリアルデザイナーの豊田セツさんは、二輪を含めたモータースポーツ全般に興味はあったものの、レースを間近で見るのは初めて。お友達のコーディネーター、山田由喜恵さん(元NAVI編集部員)といっしょに「もてぎ」にやってきた。興奮さめやらぬレース直後に、お話をうかがった。

webCG:初めてのレース観戦、いかがでしたか?
豊田:面白かったですよ!グランドスタンドで見ていたんですけど、オーヴァルだからコースが一望できて、何が起きたかすぐ分かるのが良かったですね。
webCG:テレビで見るのと、何が一番違いました?
豊田:音、ですね。朝のウォームアップで、初めて走るレーシングマシンを見て、もうビックリ。あの物凄い爆音は、いくらボリュームを大きくしても、テレビじゃ分からないでしょうね。
webCG:そもそも、CARTはご存知でしたか?
豊田:知っていました。もともとF1は鈴鹿で開催され始めたころから見ていましたし、もてぎが完成したことも、テレビなどで知っていました。その時、お友達の山田さんに「CART行かない?」って声かけてみたんですけど、彼女はあまり乗り気じゃなくて。4年かかって、今回それが実現しました。
webCG:レースを見ていて、何か気がついたことはありますか?
豊田:1周1.5マイル(約2.4km)のコースをアっという間に回ってきてしまうでしょう。最初はいいんですけど、周回遅れが混ざってくると、順位がよく分からなくなってしまうんですね。トップと、日本人ドライバーを追いかけるのがやっとでした。コースがもっと長ければ、もっと余裕をもてたかも。
webCG:またレースにきたい、と思いますか?
豊田:もちろんです!また機会があったら、ぜひ呼んでください。


■通は第2ターンだ

その昔、F1速報誌「GPX」を興し、現在は日本カーオブザイヤー選考委員も務める自称「プロのレースファン」山口正己氏と、そのお友達で、webCGでもお馴染みのノンフィクションライター、矢貫隆氏といっしょのCART観戦。テレビ中継さながらのレース解説は、愉快で、とてもためになるものだった。
一同はスタート直前、たくさんの観客で埋め尽くされた第2ターンを目指した。

矢貫:山口さん、なんで第2ターンなの?
山口:行けば分かるよ。
---お客さんでビッシリの第2ターン観客席へ到着---
山口:ここはね、ホームストレートから全開で第1ターンに飛び込んできたマシンが、そのままのスピードでコーナリングしてくるの。もてぎは、第1、2ターンより、3、4ターンの方がRがキツイわけ。第3、4ターンではシフトダウンしなければならないけど、1、2ターンは全開。物凄い迫力だよ!
---いよいよスタート。爆音を轟かせ、マシンがターンめがけて飛び込んできた。たしかに、その光景は圧巻だ...---
矢貫:中野(信治)くんに較べると、予選でビリから2番目の高木(虎之介)選手は調子よくなさそうだね?
山口:トラの所属するウォーカーレーシングは、優勝経験もあるチームなんだけど、今年は1台エントリー。ということは、通常の2台体制と較べて、マシンのセッティングを煮詰めるのが不利だったりする。オーヴァルの場合、アンダー/オーヴァーステアのバランスをとるのが非常に難しい。2台あればそれぞれ分担してセッティングを探れるんだけど、高木くんの場合、全部ひとりでやらなければならない。だから遅いのは、ドライバーだけの問題とは言い切れないんだよ。
---19周目、トニー・カナーンがダリオ・フランキッティを抜いて2位へ---
山口:いま、フランキッティが抜かれたでしょう?でも、一概に「どっちが速い/遅いマシン」とはいえないんだよ。ひょっとすると、抜かれたマシンは燃料をセーブして走っているのかもしれないからね。
webCG:燃料をセーブするメリットは?
山口:まず、ピットストップの回数を減らせる。もてぎの場合、約500kmのレースディスタンスを走り切るために、最低3回、通常4回ぐらいは給油しないといけない。1周を30秒弱で回るから、1回のピットストップであっという間にラップ(周回遅れに)されてしまう。そうすると、優勝は難しくなってしまう。1回の給油を減らせるかどうかは、大きいんだよ。
webCG:なるほど。
山口:それから、1回の給油を長くすると、イエローコーション(クラッシュなどでコースをクリアにする時の徐行周回)の際有利になることがある。たとえば、ピットインした直後にイエローが出たりすると、「あ、あと少し給油ストップを待っていれば」というふうになる。燃料が多く残っていれば、もっと引っ張ることができたかもしれない。作戦をたてる上で、燃費というのはとても重要なんです。
---188周もの間イエローなしでレースが展開。フォードのケニー・ブラックがトップを走行して残り7周、ニコラス・ミナシアンが第4ターンでクラッシュ!---
山口:あー!このままイエローでレース終了だ。これから、中野くんたちホンダエンジン勢が盛り返してくるはずだったのに!
---結局、残り1周でレースは再開されたが、トップは変わらず、ブラックが最初にチェッカードフラッグを受けた---
webCG:それでは、レースを総じてください。
山口:僕はいつも、「観客のみなさんが満足したか」というのを気にするの。そういう意味で、今回のレースは良かったんじゃない。でも、最後のイエローさえなければ、ホンダや中野くんがもっと追い上げてくれたはずなんだけど......。


■ホンダの「涙」
レースが終わり、毎年恒例の「帰宅渋滞」が始まった。長く連なるクルマの列の上に、真っ黒な雨雲と轟く稲妻。大粒の雨を見て、山田さんは、「これは地元でまた勝てなかったホンダの涙ね」とつぶやいた。

(webCG 有吉/写真=山田由喜恵)

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