トヨタ、「エスティマハイブリッド」を発売

2001.06.15 自動車ニュース
 
 
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トヨタ、「エスティマハイブリッド」を発売(6/15)

トヨタ自動車は、エンジンと電気モーターを組合わせた最新型ハイブリッドシステムを、ミニバン「エスティマ」に搭載、「エスティマハイブリッド」として、2001年6月15日から販売を開始した。

■エンジンをモーターがアシスト
「次の100年のためのテクノロジー」をキャッチフレーズに発売された「エスティマハイブリッド」は、1997年にデビューした4ドアセダン「プリウス」に次ぐトヨタ量産ハイブリッドカーの第2弾だ。
最新型ハイブリッドシステム「THS-C(Toyota Hybrid System-CVT)」採用により、1.5トン超のミニバンでありながら、燃費を18km/リッター(10・15モード走行)と、小型ガソリン車並みに向上。エミッションで平成12年基準排出ガス75%低減レベル「超-低排出ガス」を達成したのがウリだ。

エスティマハイブリッドに搭載される「THS-C」は、メインの動力源である2.4リッター直4エンジンを、エンジン横と後車軸に置かれた2つの電気モーターがアシストする構成。プリウスのそれと主客が逆である。

「THS-C」のCが示すとおり、トランスミッションはCVT(無段変速機)。駆動方式は、トヨタが世界初を謳う電気式4WDシステム「E-Four」を採用した。通常は前輪駆動だが、全加速時やスリップした時などには後輪に駆動力を伝える、いわゆるスタンバイ4WDである。

バッテリーは、プリウスと同じニッケル水素電池を採用。3列目シート床下(リアオーバーハング部)にマウントされる。直流電流を交流に変換するインバーターは、プリウスのものをさらに小型化、高性能化し、エンジンルーム内に搭載した。

■発進は前後のモーターで
「THS-C」の作動は、走行状態、状況により以下の6パターンに分けられる。

1)発進時はエンジンの効率が悪いため、低速トルクに優れる前後のモーターにより走り出す。
2)通常走行では、エンジンがメイン動力源。フロントモーターは発電機として機能し、
バッテリーを充電する。
3)全開で加速する際は、前後モーターとエンジンすべてが駆動に割り当てられる。
4)減速時+制動時には、前後モーターを発電機として、通常は熱エネルギーとして放出される運動エネルギーを回収、バッテリーに充電する、いわゆる回生ブレーキである。停車中は、エンジンを自動停止させる。
5)下り坂など、エンジン効率が悪い場合は、エンジンを停止してフロントモーターで走行する。
6)雪道などで前輪がスリップした場合は、後輪も駆動する。

■電気で後輪を回す世界初の4WD「E-Four」
プリウスとは違い、電気モーターを前後2つに分け配置したエスティマハイブリッド。その理由は、主に2つあげられる。ひとつは、前輪のみならず、後輪からも運動エネルギーを回収できるようにすること。そしてもうひとつは、4WDシステム「E-Four」として機能することだ。

この「E-Four」は、エンジンとフロントモーターで発電された電気を、リアモーターに伝達、後輪を駆動させるというもの。一般的なヨンクは、プロペラシャフトやトランスファーなど機械により駆動力をリアに伝えるが、「E-Four」ではこれら部品は必要なく、電気を送るだけである。従って、車体を軽量化でき、ひいては低燃費化に寄与する、というわけだ。

■車両の挙動を統合的に制御「ECB」
これまた世界初という電子制御ブレーキシステム「ECB」は、「VSC(ビークルスタビリティコントロール)」「TRC(トラクションコントロール)」「EBD(電子式制動力配分制御)付きABS(アンチロックブレーキシステム)」、そして「ブレーキアシスト」を統合し、車両の挙動安定を図る装置のこと。従来のVSCだと、例えばスピン寸前など、限界に近づかないとシステムが作動しなかったが、ECBでは、より常用域に、余裕を持った車両制御が行われる、という。

■「小さな家一軒分相当」の大出力電源
エスティマハイブリッドの柱のひとつが、走行中、停車中を問わない高い発電能力と、大容量バッテリーによる、大出力電源だ。
センタークラスター下とラゲッジルーム左側に設置された、家庭用と同じAC100V電源から、「小さな家一軒分相当」(張富士夫社長)の最大1500ワットを供給。電子レンジやホットプレート、ドライヤーから電動アシスト自転車まで、一般的な100ワット電源では無理だった大型電気機器を使用可能にし、アウトドアでの活動範囲を拡大した。

トヨタは、レジャーでの活用のほか、電力を多く必要とする医療機器を積んだ車両や、作業用機器の利用なども提案する。

■当面は国内販売のみ、価格は335.0万円から
エスティマハイブリッドのグレード構成は、標準仕様と、本革巻きステアリングホイールやテレビチューナーなどを奢った「Gセレクション」の2タイプ。それぞれ7人乗り、8人乗りが設定されるため、計4グレードが用意される。

注目の価格は以下のとおり。

・標準仕様8人乗り335.0万円
・標準仕様7人乗り338.0万円
・Gセレクション8人乗り360.0万円
・Gセレクション7人乗り363.0万円

月販目標台数は1000台。当面は国内販売のみにとどまるが、輸出の可能性は、プリウスの例を見れば大きいといえる。

発売当時、プリウスは215.0万円で販売された。同クラスのモデルより約4割は高かったにもかかわらず、圧倒的な採算割れを起こし、デビュー当時は「売れるほど赤字になる」状態だった。しかし、エスティマではその心配はないらしい。張社長は、「エスティマは従来車と共通の部品が多く、収益は出る」と自信満々だ。

張社長は、15日に行われた発表会の席上、2005年までにハイブリッド車の生産を、現在の約10倍に当たる年間30万台にする方針を明らかにした。プリウスの「THS」、今秋からクラウンに搭載されることが予定される簡易版ハイブリッド「THS-M」と、エスティマ「THS-C」。トヨタはこの3つのシステムで、ハイブリッド車の普及を早急に進める模様だ。

(webCG 有吉)

 
 

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