国産車のクラッシュテストを見てきました

1998.11.25 自動車ニュース
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国産車のクラッシュテストを見てきました(11/25)

日産ステージアとマツダボンゴフレンディーのクラッシュテストがさる11月20日、茨城県で行われた。ワゴンとミニバン、気になる車型の衝突試験である。

ステージアとボンゴフレンディーの衝突試験が行われたのは、(財)日本自動車研究所(JARI)内にある専用設備だ。クた。器材をとりつけ、ダミーを載せるなどセッティングに時間がかかるのだ。

実際の衝突試験では、「試験開始1分前」という声とともに、「保温室」のシャッターがあがり、セコンドダウンのあと、ワイヤでクルマが引っ張り出される。200メートルのあいだに時速55キロ、プラスマイナス1キロという速度に達し、バリアに正面衝突させられる。

衝突試験用の設備は、クルマが保管されている小屋(「保温室」とよばれる)と、クルマをワイヤで引っ張るときのレールと、コンクリートの衝突壁から構成されている。事前まで摂氏20度の室内にテスト車が保管されているのは、ダミー人形でいいデータを得るのに最適な温度だからだそうだ。取材の日、テストは午前中にボンゴフレンディー、午後にステージアと分けられていた。ハイブリッド3と呼ばれる最新型のダミーは前席に2体設置されていた。

はたして、衝突した車の変形度合は大きかった。ミニバンタイプのボディだと、ボディ後部にも歪みが大きく出るというのは、今回はじめて知ったことだ。そのあとトヨタライトエースノアの衝突試験フィルムを見たときも、ボディが歪みサイドウインドウが粉々に割れて飛んでいた。衝突試験のあと、JARIのテスターが各ドアが開くかチェックするのだが、フレンディーでは助手席側のドアを開けるのにはかなり力を要していた。

ステージアの衝突試験の結果は、その瞬間、フロント部のみが変形して衝撃を吸収したことは明らかで、ボディに歪みが少ないのは前後のドアを問題なく開けることが出来たことからわかる。室内をのぞいても、エンジンがキャビンに侵入することもなく、ダッシュボート、ステアリングコラム、ペダル類の突出量も、さほど大きくないようだった。これはフレンディーの後だったから、とくにそう感じたのかもしれないが。実際の試験結果の数値は「自動車事故対策センター」のホームページで近々に見ることが出来るようになる。

JARIでは今回と同じ手順で適宜「前面衝突安全性能試験」を行なってきた。最近でいうと、ブルーバード、レグナム、メルセデスCクラスといった2リッター級セダンの衝突試験結果が新聞にも掲載されたのでおぼえているかたもいるはずだ。

めずらしくジャーナリスト向けに公開された今回の試験に臨んでの感想としては、後部座席に乗員が座る可能性が高いミニバンではそこにもダミーを載せるなどして、より現実性の高い試験結果を求めてほしかった、ということがある。1回のテストにかかる費用が500万円と聞くと、正面衝突だけのデータどりではもったいない!気がしてしまうのだが、テストが複雑になればなるほど費用もよりかかる、ということなのだろうか。変形したキャビンから貴重な試験結果であるダミーをおろすときの手つきが少々ゾンザイに見えたのも気になるところだ。脚部や足がどこかに挟まったりしていなかったのか、私としてはその場で確認したかった。

JARIのひとたちの試験に対する真摯な姿勢を肌で感じたのは昼食のときだ。施設内で1000円の幕の内弁当を食べていたとき、その部屋に設置されたモニターで、これまでの衝突試験の模様をビデオで流していたのだ。いくら人形とわかっていても人間そっくりのダミーが乗ったクルマがつぶれるのを見ての食事はなかなかタノシイものである。おかげで食欲がなくなってしまった。(リポート 松本英雄)

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