フランクフルトショー報告(前編)

2001.09.18 自動車ニュース

フランクフルトショー報告(前編)

フランクフルト国際自動車ショーが、2001年9月13日、ドイツはフランクフルト国際メッセにおいて開幕した。それに先立つ11、12日のプレスデイで取材した自動車ジャーナリスト、金子浩久が緊急帰国。『webCG』読者にその模様を報告する。




今回で第59回をむかえたフランクフルトショー。事前発表の出展車が多かったものの、現地で初めて披露されるモデルも多く、質・量ともに充実したものになる「はず」だった。

ところが、11日に発生したアメリカ同時多発テロの影響で、シュレーダー首相出席予定の12日の開会式が取りやめとなり、複数のメーカーのブースが、爆破予告などにより、閉鎖を余儀なくされた。それ以外のメーカーでも、プレスコンファレンスを自粛するところが続出した。

とはいえ、繰り広げられた“自動車の祭典”では、12年ぶりにフルモデルチェンジされたメルセデスベンツ「SL」(写真上)と、BMW「7シリーズ」(同中)が注目の的となった。

■「バリオルーフ」でも、インパクトなし

メルセデスベンツは、1954年の「300SL」から数えて5代目となる高級ロードスター「SL」を展示した。
306ps、46.9kgmをしぼり出す5リッターV8ユニットは、重さ1845kgのボディを、静止状態から6.3秒で100km/hへと導く。
さらに、16秒で開閉が可能な電動式ハードトップ「バリオルーフ」や、「SBC(センソトロニックブレーキコントロール)」を採用したのが新しい。SBCとは、ブレーキペダルから油圧発生ポンプまでを電気信号に置き換えて伝えるもので、緊急時などのブレーキ制動距離を理想的なものにする技術とされる。

さて、このニューSL、一見するとあまり新鮮さは感じられないし、ジマンの「バリオルーフ」は、既にSLKで採用済みのもの。事前発表の多かったためもあって、あまりインパクトを感じなかったというのが正直なところだ。もっと出し惜しみするぐらいの演出があってもよかったのではないだろうか?
そんな個人的な感想をよそに、まわりは黒山の人だかりだった。

新SLのAMGバージョン「SL55 AMG」も披露された。5439ccのスーパーチャージャー付きV8は、476ps、71.4kgmを発生するモンスターユニット。0-100km/h加速は4.7秒、トップスピードは250km/hというハイパフォーマンスを誇るモデルだ。
そのいっぽうで、「Sクラス」のさらに上をいく高級リムジン「マイバッハ」は、影もカタチもなかった。

総じて、マーケティングを最重視した感のある、メルセデスのブースだった。




■次世代エンジンを積んだ、新型「7シリーズ」

BMWのフラッグシップ「7シリーズ」も久々にモデルチェンジされた。新開発の3.6リッター(「735i」)と4.4リッター(「745i」)V8、それにストレッチ版「760Li」用のV12がラインナップされる。
これには個人的に興味も高かった。なるほど、「新しい高級車像」っていうものを提示できている、と思った。特にキャビンのサイドウィンドウの絞り込みが少ないスタイリングには新しさを感じた。リアコンビランプなど、前衛スタイルといっていい。あのくらいやってくれないと、おもしろくない。メルセデスベンツ「S」の対抗馬ゆえ、コンサバティブすぎてはいけないという配慮があったのだろう。ビーエムの心意気、ここに感じた。

インテリアもエクステリアに劣らず斬新。単なる表皮やスイッチ類の配置を、表面的なデザインではなく、ドライバーの操作性という視点からのアプローチがみられた。クルマを「動かし」「止め」「曲げる」という動力系統、エアコン、カーナビ類などの快適性など、重要度別にランク付けし、再構築を図った。

たとえば、6段AT。ステアリングポスト右側に、短く突き出たシフターは、従来までの直線的な「PRND」といったシフトポジションの配置ではなく、押したり、引いたり、押し込んだりするもの。複合的な動きが新しい。

パワーユニットは、3.6リッターと4.5リッターの大排気量エンジンを用意。3シリーズコンパクトにも採用された、インテイクバルブのリフト量によって、混合気の流入量を機械的にコントロールするシステム「バルブトロニック」が備わる。スロットルバタフライによる流入抵抗がなくなたっため、BMW発表によると、燃費が14%向上したという。さらに、ガソリンのオクタン価を選ばないというのもポイント。0-100km/h加速は、「735i」で7.5秒と、パフォーマンスも高い。

BMWのブースには、「M3 CSL」(写真下)という2シーターのコンセプトカーも出展されていた。3シリーズベースの高性能モデル「M3」をベースとした“シュペールライヒト”、つまり超軽量版である。ルーフもカーボンなら、ドアはカーボンとアルミ。M3と較べ200kgも軽量されたというからオドロキだ。これに、M3の3.2リッター直6をパワーアップしたエンジンと、BMW特製の新開発6段AT+パドル式シフトが奢られる。
雰囲気的には、チンスポイラーやエアロパーツがすっごく「ワル」で、カッコいい。なお、販売の予定はまったくないという。

(報告=金子浩久/2001年9月18日)

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