VWの小さな新車「ルポ」に乗る

1998.09.22 自動車ニュース
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VWの小さな新車「ルポ」に乗る(9/22)

VWの本拠地、ヴォルフスブルグ(オオカミ城)から最も若いオオカミ、「ルポ」が誕生した。ルポというのは元来小さなオオカミという意味である。全長5.5メートルのミニはどうやら日本への上陸はなさそうであるが、VW製の本格的ミニカーとしては大いに興味はある。

10月からはメルセデスとスウォッチの共同開発になるスマートの発売が始まる。VWの会長、ドクター・ピエヒはかつてスマートを評して「2人乗りのマイクロミニなど意味が無い」と語ったそうであるが、スマートを迎え撃つようにVWからポロに下にあたる全長3.5メートルの「ルポ」が発表された。

「ルポ」は実は既にヨーロッパにおいてセアト・アローザという名前で発売されていた。セアト・ブランドをパイロットモデルとして市場の反応を調べていたのである。

「ルポ」の正確なサイズは全長×全高×全幅=3527×1639×1460mmで、日本の軽自動車の幅を広げたほどといってよい大きさである。しかし2個の丸いヘッドライトをフロント両側に持つスタイルにはずいぶんと安定感が感じられる。

ドライバーの正面に2個の大型メーターが並ぶインテリアはシンプルだが、プラスティックの合わせ目などがキチンとしており安っぽさはない。基本的には大人4人、子供なら後部座席に3人は乗せられる。しかし、長時間ドライブでは後席に大人2人はやはり辛いものがある。

「ルポ」に用意されるエンジンは3種類、1リッター50馬力、1.4リッター75馬力、そしてディーゼル仕様の1.7リッターSDIで60馬力を発生する。1リッター・モデルに試乗したところ、50馬力はやはり非力で、街中の雑踏ではまだしも、郊外の道路ではちょっとストレスを感じてしまう。ちなみに最高速度は152km/h、0-100km/hは17.9秒かかる。

続いて75馬力とパワフルな16バルブ1.4リッターにも乗った。こちらの方が活気があって街中でも高速道路でも一人前の自動車らしい動きが味わえる。ただしギアシフトはもう少しスムーズであって欲しかった。このモデルの最高速度は172km/h、0-100km/hは12秒である。残念ながら1.7リッターのSDIディーゼルには乗れなかったけれども、こちらはパワーよりも経済性重視で、メーカー公表値では郊外路で最良リッター27.7kmを記録する。

ところで「ルポ」の「VWらしさ」は動力性能以外のところで光っている。たとえばボディにはフル亜鉛メッキが施してあり、他のVW製品と同じく、穴開き腐蝕に対して12年の保証を持っていること、あるいは小型車の水準を越えたボディの衝突安全設計が挙げられる。

しかし、実際は良い事ずくめではなく、一般が期待するほど価格は魅力あるものではなかった。1リッターのルポが1万7990マルク(約144万円)、1.4リッターモデルが2万990マルク(約168万円)、そしてSDIディーゼルは2万2590マルク(約181万円)となる。安い本格ミニカーを期待していたユーザーはがっかりしているだろうが、フォード、オペルあるいはルノーやフィアットなど欧州におけるコンペティターたちはほっと胸をなで下ろしているに違いない。
(リポート=木村 宏)

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