三菱、新型「ミラージュ」を発表

2012.08.01 自動車ニュース
10年ぶりに復活した「三菱ミラージュ」。ボディーカラーは新色のレモネードイエローメタリック。
三菱、新型「ミラージュ」を発表

三菱、新型「ミラージュ」を発表

2012年8月1日、三菱自動車は新型グローバルコンパクトカー「ミラージュ」を発表した。同月31日に販売を開始する。

ボディーカラーは全8色が用意される。これはカシスパープルメタリック。
ボディーカラーは全8色が用意される。これはカシスパープルメタリック。
ベーシックグレードの「E」。
ベーシックグレードの「E」。
実用装備を充実させた「M」のインストゥルメントパネル。
実用装備を充実させた「M」のインストゥルメントパネル。

■グローバルカーとして復活

「ミラージュ」の名を冠するモデルが三菱のラインナップに復活するのは10年ぶりのことである。しかし、1978年から2002年まで存在したかつてのミラージュと新型ミラージュは車名が同じというだけで、属するセグメントも開発コンセプトも異なり、つながりは事実上ないといっていい。

1978年に三菱初のFF車として登場した初代ミラージュは、直線基調のクリーンなボディーを持った、当時としてはかなりスタイリッシュな小型ハッチバックだった。遅れてセダンを加え5代目まで進化したが、派生モデルの「ミラージュ・ディンゴ」を除いては、「トヨタ・カローラ」や「ホンダ・シビック」などと市場を争う小型車だった。

それに対して新型ミラージュは、ラインナップ上は従来の「コルト」の後継となる。ただしボディーもエンジンもコルトより小さく、価格帯も少し下。最近はあまり聞かなくなった言葉だが、いわゆるリッターカーである。ちなみに過去に存在した三菱のリッターカーとなると、1960年代の「コルト1000F」まで、実に40年以上もさかのぼらなければならない。

三菱としては久々のリッターカーとなる新型ミラージュは、三菱初の海外生産によるグローバルコンパクトカーでもある。海外生産の三菱車といえば、古くはオーストラリア工場製の「マグナ・ワゴン」やボルボとの合弁だったオランダのネッドカー製の「カリスマ」、最近ではタイ工場製のピックアップトラック「トライトン」などが輸入販売されたことはあるが、新型ミラージュはそれらニッチなモデルとはわけが違う。
新型ミラージュは、コンパクトカーに求められる普遍的価値である「低燃費」「低価格」「コンパクト」をキーワードに、「先進国における環境対応車」と「新興国におけるエントリーカー」というニーズを両立させたモデルであるというのだ。そして、「クラストップの燃費」「コンパクトカーならではの使いやすさ」「コンパクトながら大人5人に十分な居住性」「お求め安い価格」をグローバルな共通コンセプトに掲げて開発されたという。

「M」のリアシート。
「M」のリアシート。
リアシートは6:4の分割可倒式。中央席にも3点式シートベルトが付くが、ヘッドレストは用意されない。
リアシートは6:4の分割可倒式。中央席にも3点式シートベルトが付くが、ヘッドレストは用意されない。
1リッター直3MIVECエンジンは69psと8.8kgmを発生。
1リッター直3MIVECエンジンは69psと8.8kgmを発生。

生産拠点であるタイでは3月末から販売されており、続いてアセアン諸国および日本に投入した後、ヨーロッパ、オーストラリア、北米などに順次投入する予定という。日本市場での販売分も海外生産となることを含め、ライバルとなるであろう「日産マーチ」と非常に近い成り立ちを持っているといえよう。

■ガソリン登録車トップの27.2km/リッターを実現

国内販売されるのはベーシックな「E」、実用装備の「M」、快適装備の「G」という3グレードで、ボディーは5ドアハッチバックのみ。サイズは全長3710mm、全幅1665mm、全高1490mm、ホイールベース2450mmで、既存の国産コンパクトでは「トヨタ・パッソ/ダイハツ・ブーン」に近いが、注目すべきはライバルよりおよそ50〜100kgも軽い、軽ハイトワゴンなみの860〜870kgという車重。高張力鋼板の採用比率を高めたのをはじめ徹底して軽量化に努めた結果だが、新型ミラージュのコンセプトのひとつである低燃費に大いに寄与した技術的ハイライトといえる。
なお、サイズはコンパクトながら、エンジンルームを極力小さくした高効率パッケージにより、大人5名に十分な居住空間と日常使用に不足のない荷室容量を確保。また軽量設計とはいえ衝突安全性もクラストップレベルとなっている。

「親しみやすくシンプルな造形」とうたったスタイリングは、似た出自を持つ「日産マーチ」と同様に尖(とが)ったところのない、生産性の高さを優先したと思われるもの。とはいえ、低燃費化のためホイールカバーのデザインまで含めて空力を追求した結果、Cd値はクラストップレベルの0.27(「E」を除く)を達成。また、ボンネットの見切りのよさや前方および側方視界の確保に留意し、これまたクラストップレベルという4.4mの最小回転半径と相まって、取り回しも優れているという。

「ミラージュM」のエアロパッケージ装着車。
「ミラージュM」のエアロパッケージ装着車。
「M」グレードにマルチストライプ柄のシートカバーを装着したところ。
「M」グレードにマルチストライプ柄のシートカバーを装着したところ。
「G」および「M」ではルーフスポイラーなどの空力パーツが標準装備となる。
「G」および「M」ではルーフスポイラーなどの空力パーツが標準装備となる。

エンジンは新開発の1リッター直3DOHC。吸気側に可変バルブタイミング機構(MIVEC)を採用し、補機類を含め軽量化や合理化に努め、フリクションや負荷を徹底的に低減。最高出力69ps/6000rpm、最大トルク8.8kgm/5000rpmを発生する。「M」および「G」には「オートストップ&ゴー(AS&G)」と呼ばれるアイドリングストップ機構、減速エネルギー回生システムなどのエコサポート技術を採用し、JC08モードでガソリンエンジン登録車でトップとなるリッターあたり27.2kmの低燃費を実現。「AS&G」なしの「E」でもリッターあたり23.2kmという好燃費をマークする。トランスミッションは新型INVECS-IIIと呼ばれる副変速機を用いたワイドレシオのCVT(ジヤトコ製)を採用。従来より直結領域を拡大し、変速制御を最適化することによって、加速性能を損なうことなく低燃費化に貢献している。

サスペンションはフロントがマクファーソンストラット、リアがトーションビームという、コンパクトカーの定番ともいうべき形式。だが各パーツ形状の合理化により、剛性と強度を確保しつつ軽量化を実現。ブレーキもごく常識的で、フロントがベンチレーテッドディスク、リアがリーディングトレーリング式ドラムとなる。緊急制動時に制動力を増大させて停止距離を短縮するブレーキアシスト機能やヒルスタートアシスト機能は、「M」と「G」に標準装備で「E」にはメーカーオプション、横滑り防止のスタビリティーコントロール機能とトラクションコントロール機能を統合したアクティブスタビリティーコントロールは全車メーカーオプションとなる。タイヤは全車転がり抵抗を低減した165/65R14サイズを履く。

■価格は99万8000円から

海外、それも新興国での生産となると気になるのは品質である。三菱では全生産拠点で共通の高品質を達成する独自のシステムを構築しているが、新型ミラージュは新工場で生産される新車種であるため、通常の完成検査に加えて日本人の熟練検査員による出荷前の全数確認を行うなど、万全の品質管理体制を敷いているという。

都内で開催された発表会には、三菱自動車の益子修社長(中央)のほか、新型「ミラージュ」のTVCMに出演している唐沢寿明さん(左)と本仮屋ユイカさん(右)も出席した。
三菱、新型「ミラージュ」を発表

車両本体価格は「E」が99万8000円、「M」が118万8000円、そして「G」が128万8000円(いずれも消費税込み)。登録車としては唯一100万円を切った戦略価格の「E」を筆頭に、コンセプトのひとつである「低価格」を実現している。なお、「G」と「M」は平成27年度燃費基準+20%を上回るため購入時の自動車取得税と重量税が免税、平成27年度燃費基準+10%を達成した「E」は75%減税となる。

(文=沼田 亨/写真=webCG)

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