三菱、次世代のエンジン開発計画

1999.04.22 自動車ニュース
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三菱、次世代のエンジン開発計画(4/22)

三菱自動車工業は次世代の低燃費パワートレーンとして「GDIシグマシリーズ」を発表した。加えて4つの新技術も発表された。

「GDIシグマシリーズ」は1996年に発表された、量産自動車では世界初の筒内噴射エンジン「GDI(Gasoline Direct Injection)」の改良に加え、新たに無段変速機「CVT」、アイドルストップシステム「ASG」、ハイブリッドシステム「HEV」、低燃費ターボ「GPT」という4つの技術を製品に取り入れていくというものだ。三菱によると、2000年初頭から順次商品化を進めるという。

CVTとGDIの組み合わせは、基本的にはすでに日産が行っている筒内噴射+CVTと同じものであるが、三菱自工ではフリクションロスをより低減させることを目指したという。そのためにCVTのベルトを制御する作動油圧を、トルクとの兼ね合いをはかりながらトランスミッションとエンジン側で細かく制御する。筒内噴射とCVTのマッチングは有効であるし、あとはプログラミングで最適にデータを書き換えして量産に入るのだろう。CVTに関しては後発メーカーであるだけに、今まで以上の強烈な付加価値があればアピールできるはずだ。

ASG(Automatic Stop & Go)は燃費の低減と環境の負荷を減らすためのシステムだ。筒内噴射はアイドリング時などのアクセルペダルを開けないときの損失(ポンピング損失)が通常のガソリンエンジンに比べ小さいので燃費にも有利だが、それに輪をかけて、燃費を良くするシステムである。停車してすぐにエンジンが停止し、発進時には素早くエンジンをかけるものであるが。直接燃焼室に燃料を入れるという筒内噴射エンジンのメリットを利用して、通常のエンジンよりもおよそ6倍の速さでエンジンが始動するそうだ。

HEV(Hybrid Electric Vehicle)はGDIおよびCVTと組み合わせられたハイブリッドカーだ。特徴は、小型のモーターとジェネレーター、小容量バッテリーを採用している点にある。そのためガソリンエンジンで一番燃料消費の激しい発進時に、動力を電気モーターで補いながら素早くエンジンを始動することが可能になると説明されている。構成部品の小型化および小容量化は軽量化およびコスト減につながり、さらなる経済性の向上を実現するという。

GPT(Green Power Turbo)は低燃費を実現させたターボチャージャー搭載のエンジンである。ガソリンターボエンジンではノッキングが起こるため高圧縮比を得るのが難しいとされてきた。しかしGPTでは「2段混合冷却」というノッキング抑止技術を独自に開発したことにより、高圧縮比を維持できるという。その結果このターボは出力よりも乗りやすさを重視した燃費の良い設定になっている。

三菱自工は2010年までに全車GDI化計画を進めており、GDIとの4つの組み合わせは次世代を模索しているように見える。多少厳しい見方をすれば、ASGにしてもGPTにしても、GDIエンジンの使用を前提に開発される新技術だが、燃料の微粒子化のコントロールなど解決すべき問題は少なくないし、いちどGDIエンジンから離れたところで、将来を見据えた新技術をさぐってみてはいかがなものかとも思う。(松本英雄)

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