「フィアット・ムルティプラ」に乗る

2000.01.25 自動車ニュース
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「フィアット・ムルティプラ」に乗る(1/25)

前後席とも独立した椅子を横に3つ並べたシートレイアウトが個性的な6人乗りピープルムーバー、「フィアット・ムルティプラ」に乗った。スティールの構造材で骨格をつくり、ボディパネルを取り付けるという、スペースフレーム構造をとる。

ノーズにロウのヘッドライト、フロントウィンドウ前端とボンネットの間に段差をつくり、左右Aピラーの付け根にハイビームのライトを配置した独特のフェイスは一見異様だが、全体のフォルムを眺めると、切り立ったサイドウィンドウ、大きなキャビンと、車内空間を最大にとりながら、「ただ四角いだけ」という印象を与えないよう、各部のディテイルに凝ったのがわかる。

「リアのクオーターガラスの丸みは、車内に充満した空気が外に出ようと、風船のようにガラスを膨らませているのだ」とか、「ボンネットとフロントウィンドウの間に段差を付けることで、Aピラーを寝かして大きなグラスエリアをとり、かつ前席乗員の頭上空間を確保している」など、見る人それぞれが、デザインの「解釈」を楽しむことができる。

横3列シートということで、大きなクルマというイメージを抱くが、全長3990mmは、日産パルサーより約30cm短い。全幅は1870mmとさすがに立派だが、それとて、トヨタ・セルシオより40mm広いにすぎない。1670mmの全高は、ミニバンとしては標準的だ。

シートの座面は高く、膝下が長い人向き。姿勢よく座らせることで、足もとを広く感じさせるためだろう。グラスエリアが広く明るいのはウレシイ。ショルダーラインは低く、シートに腰掛けた状態で腰あたり、ドアトリム上端を肘掛けにできるほどだ。横に並んだシートは、中央のシートが後ろにズラされているが、それでも大の男が3人並ぶと、乗る方も見る方も息苦しかろう。

エンジンは、1.6リッター直4(103ps)と、コモンレールシステムを採る2リッター直4ターボ・ディーゼル(200ps)の2種類で、今回お借りしたのは後者。イグニッションキーをひねると、エンジン音でディーゼル車であることを訴える。しかし、いったん走り出してしまえば、不当にノイジーということはない。1500rpmで20.4kgmの最大トルクを発生する街なかで使いやすいパワーソースで、いざというときにも、スロットルペダルを踏み込むめば、ヒューンというタービンのささやきとともに過不足ない加速を見せる。

PSAグループと共同開発したミニバン、ウリッセ同様、5段MTのシフトノブは、インストゥルメントパネル中央部からニョッキリ生える。ステアリングホイールからの距離はわずか15cm。ストロークも短く、使いやすい。ムルティプラは外観に似合わず(?)キビキビ走るクルマだ。前マクファーソン・ストラット、後トレーリングアームの足回りは、コーナーでだらしなく外側に膨らむこともない。

ドライバーひとりのときに、高速道路や駐車場のチケット、金銭の受け渡しに難渋するほかは、運転が楽しい。シートは取り外しが可能だから、後席を取っ払って、3人乗りの荷物運搬車として使うこともできる。そうとうファンキーな運送屋、と評判になることうけあいだ。日本では、オートトレーディングフルトジャパン(tel.0120-63-1577)が、288.0万円で販売する。(NAVI編集部/青木禎之)

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