「自動車オイルを勉強する」

2000.06.29 自動車ニュース
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「自動車オイルを勉強する」(6/29)

「日石三菱オイル」を開発、製造している日石三菱(株)が、中央技術研究所において「自動車潤滑油の勉強会」を行った。自動車テクノロジーライターの松本英雄さんとNAVI編集部員カワバタが参加して、その模様を報告する。

今日は、潤滑油研究所を見学し、エンジンオイルやATFをはじめとするオイルについて研究員が説明してくれます。実験施設に入れるのは珍しいことですから、どんどん質問して勉強するチャンスです。

先生っ! BAR HONDAのF1用のオイル缶が置いてありますよ。

そう、日石三菱でサポートしてるんですよね。このオイルのスペックについては教えてもらえませんでしたが、F1などの出力を重視したレーシングオイルは極限状態で使用するため、耐熱性があり、フリクションロスが少なくなるような高価な添加剤がワンサカ盛り込まれています。

研究者自ら実験して見せてくれて、その上、直接質問ができるなんてディープな世界でした。

普段見られないような、金属が焼き付く瞬間をはじめ、興味深い実験を目の前でしてくれましたね。エンジン内部で起こっていることを具体的に分かりやすく見せてくれました。

私が面白いなと思ったのは、モリブデン系添加剤の効果を見るデモ実験です。添加剤を加えた10分後には、カムシャフトのフリクションが40%も下がるのには驚きました。

電子顕微鏡の写真でもわかる通り、「MoDTC」という添加剤は金属表面に皮膜を作るんですね。日石三菱オイルのエンジンオイルでは、100%化学合成の「プロ・レーシング」と省燃費を意識した「エコ・ツーリング」に含まれているそうです。

最近、自動車メーカーのキーワードは「環境」ですが、オイルのトレンドはどうなんでしょうか?

潤滑油メーカーとして環境に貢献できることは、オイルによって燃費を改善して温暖化の原因の一つであるCO2の排出量を低減すること、オイル交換のサイクルを長く(ロングドレイン化)して廃棄物削減に勤めることなどがあります。ですからこれ からのオイルは、燃費を向上させる低フリクション型で寿命の長いモノが求められるでしょう。

工場地帯かと思ってましたが、「根岸製油所」と研究所は本牧市民公園や住宅地に隣接しているんですね。

だから、有害廃棄物などの対策には力を入れているそうです。この研究所は30年近く前に移転してきたそうですが、広い敷地に建てられた施設は管理が行き届いていて、 油臭さは少しもありませんでしたね。

見学ツアーのとき、デモ実験や分析機器を物珍しそうに眺める取材陣に研究所の方が熱心に解説してくれました。なかでも、ATFの違いによるシフトショックの大小を調 べる実験やモリブデン系添加剤を加えることでフリクションを下げる実験は、クルマのフィーリングに与えるオイルの影響が数値でわかり興味深く感じました。また研究者の方々のオイルに課せられた問題に対する真摯な態度にも感心しました。

松本英雄

NAVI編集部 カワバタ

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