F1第5戦スペインGP、シューマッハー4勝目

2002.04.29 自動車ニュース

F1第5戦スペインGP、シューマッハー4勝目

F1世界選手権第5戦スペインGP決勝が、2002年4月28日、スペインはバルセロナのサーキット・デ・カタルーニャ(4.727km)を65周して行われた。優勝は、フェラーリのミハエル・シューマッハー。今シーズン4勝目、通算57勝目をポールトゥウィンで飾った。2位はウィリアムズBMWのファン・パブロ・モントーヤ、3位にはマクラーレン・メルセデスのデイヴィッド・クルタードが入った。佐藤琢磨の黄色いジョーダン・ホンダは、コースアウトで11周目にリタイア。

■圧勝

連休中、行楽先でF1中継をご覧になった方もいただろう。そんな熱心なファンでも、「もういいや」と途中でテレビを消してしまったのではないだろうか?
スペインGPは、始まりから終わりまで、シューマッハー/フェラーリが圧勝したレースだった。否、ライバルチームがあまりにも不甲斐なかった、と言うべきかもしれない。

フォーメーションラップ、予選2番手のルーベンス・バリケロにトラブルが発生。ギアが1速に入らず、そのままガレージに戻され、スタートすら切れずにリタイアした。
これで、ポールポジションのミハエルにとって“最大の敵”は、もはやマシントラブル以外になくなった。ウォームアップ走行で、シューマッハーのレースカーに油圧系トラブルが発生、Tカーに乗り換えて決勝にのぞんでいた。またバリケロに起きたことが、ミハエルのマシンにだって起こりえた。実際は何事もなかったが・・・。

1周目、ロケットスタートを決めたシューマッハーは、2位ラルフ・シューマッハーに対し、1.5秒の差をつけた。ライバルのウィリアムズBMWより、1周1秒以上速いペースで周回を重ねるミハエルは、レース半ばまでに30秒のマージンを築いてしまった。
遠くの兄を追っていた2位ラルフは、中盤にコースオフ。マシンにダメージを負い、順位を13位まで落とした。何とかポイントは獲得したい、というラルフの願いもかなわず、最終周でエンジンがストップ。結局11位完走扱いとなった。

レース後半。シューマッハーはペースを若干落とした。ワンサイドゲームに飽きてきたところ、トラブルか!と期待してしまった(?)が、その理由は「後方のポジション争いに巻き込まれたくなかったから」(ミハエル)。「(ジェンソン・バトン、フェリペ・マッサらの)6位争いをみるのは面白かったよ」。
2位モントーヤに35.6秒もの差をつけ、余裕のゴール。シューマッハー/フェラーリの圧勝だった。

2位でフィニッシュしたモントーヤは、「難しいレースだったが、できることはやった」とコメント。元GPドライバーで、現BMWエンジンのボス、ゲルハルト・ベルガーは、「モントーヤが2位に入ってうれしい」と言いつつ、フェラーリとのギャップには驚きを隠せないでいた。
クルタードは、ルノーのバトンのトラブルに助けられての3位入賞。「他人の不幸でポディウムにあがった」と本人も認めている。

以下、4位ニック・ハイドフェルド、5位フィリッペ・マッサと、ザウバー・ペトロナスがダブル入賞。6位にはアロウズ・コスワースのハインツ-ハラルド・フレンツェンが入り、最後の1点を獲得した。
ホンダエンジン勢では、BARのジャック・ヴィルヌーヴが7位。オリヴィエ・パニス、そしてジョーダンのジャンカルロ・フィジケラ、佐藤琢磨はリタイアした。
トヨタは、8位アラン・マクニッシュ、9位ミカ・サロと2台とも完走を果たした。

■噛みあわない歯車

佐藤琢磨は、スペインGPで苦戦を強いられた。予選を目前にして、担当エンジニアのジェームス・ケイが妻の出産に立ち会うためにサーキットを後にした。データエンジニアのドミニク・ハーロウがその代役を務めたが、コミュニケーションがうまくいかず、19番グリッドを得るのがやっと。
決勝では、スタートで13位までポジションをあげたものの、ひどいアンダーステアに悩まされ、11周目にコースアウト、戦列を去った。
「ウォームアップではクルマの調子も良く、決勝ではいいスタートも切っていただけに、この結果はとても残念」とは佐藤。チームメイトのフィジケラは、前戦サンマリノGPと同じ油圧低下に見舞われ、5周目にリタイアした。噛みあわない歯車にもがき苦しむジョーダン・ホンダ。まずは信頼性の向上を図らなければならない。

■体を張って

モントーヤは、2回目のピット作業中に、“ロリポップマン”(作業終了を告げるひと)、カール・ガーデンの足をひく事故を起こしてしまった。ガーデンは、給油が終わらないうちに一瞬ボードをあげた。これを見たモントーヤは、すぐにクラッチをつなげてしまった。体で静止しようとしたガーデンは、左フロントタイヤに足をひかれ、倒れた。医務室に運ばれたが、幸い大きな怪我にはならなかった。

■ウィング脱落

ミナルディ・アジアテックのボス、ポール・ストッダートは、同チームは決勝に出場しないと、日曜日に決定した。土曜、日曜を通じて、マーク・ウェーバー、アレックス・ユーン両方のマシンのウィングが脱落する事故が発生。安全性を第一に考えて棄権を決断した。

また同様のウィング脱落は、レース中、4位を走行していたキミ・ライコネンのマクラーレン・メルセデスにも起きた。4周目のメインストレートでリアウィングが吹き飛び、ライコネンはスピン、リタイアした。
原因について、マクラーレンのテクニカルディレクター、エイドリアン・ニューイは、「おそらく金属疲労によるもの」と語った。

■ノーポイントは・・・

5戦を終了した2002年シーズン。ドライバーズランキングのトップは、44点獲得のミハエル・シューマッハー。2位にはモントーヤがつけているが、両者の間には21点の開きがある。以下、3位ラルフ(20点)、4位クルタード(9点)、5位バトン(8点)となる。

コンストラクターズでは、フェラーリが50点で首位につき、ウィリアムズBMWが43点で追う。以下、3位マクラーレン・メルセデス(13点)、ザウバー・ペトロナスとルノーが8点。

今回、アロウズ・コスワースのフレンツェンが入賞したことで、今シーズンまだポイントを獲得していないチームは、BAR、ジョーダンのみとなった。チームと、ホンダエンジンの混迷の深さがうかがえる結果。これからの追い上げに期待したい。

次戦オーストリアGP決勝は、5月12日。

(文=webCG 有吉/写真=本田技研工業)

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