F1第7戦モナコGP、クルタード優勝

2002.05.27 自動車ニュース

F1第7戦モナコGP、クルタード優勝

F1世界選手権第7戦モナコGP決勝が、2002年5月26日、モンテカルロの市街地コース(3.37km)を78周して行われた。60回目の同GPを制したのは、マクラーレン・メルセデスを駆ったデイヴィッド・クルタード。今シーズン初優勝、2000年に次ぐ同GP2勝目、そして通算12勝目をあげた。2位はフェラーリのミハエル・シューマッハー。モナコ最多勝タイの6勝を目指したがかなわなかった。3位はウィリアムズBMWのラルフ・シューマッハーだった。
佐藤琢磨(ジョーダン・ホンダ)は24周でリタイア。チームメイトのジャンカルロ・フィジケラ(写真)は、2戦連続の5位入賞をはたした。
トヨタの2台は、ともにリタイア。

■1年ぶりの勝利

モナコでは何がおきても不思議じゃない。
今年で60回を迎えた、伝統あるモナコGP。ガードレールに囲まれた1周3.37kmのコースでは、些細なミスでも命取りとなる。また、抜き場がほとんどないため、予選の結果、そしてスタートが重要なカギとなる。
クルタードは、このモナコ攻略のポイントを確実にこなし、2001年オーストリアGP以来、約1年ぶりの勝利をつかんだ。

ミシュランタイヤの好調さが目立った予選。ポールポジションにファン・パブロ・モントーヤのウィリアムズBMWが、そして2番手にクルタードが並んだ。ブリヂストンユーザーは、3位のミハエル・シューマッハーが最高位、その後ろには、モントーヤのチームメイト、ラルフがついた。

ロケットスタートを決めたのはクルタード。ポールのモントーヤ、ミハエル・シューマッハー、ラルフ・シューマッハーが続いた。16番手スタートの佐藤琢磨は、フィジケラの後ろ、12位まで一気にジャンプアップ、幸先のいいスタートをきった。
トップに出たクルタードだが、序盤ペースがあがらない。中盤にかけて、上位4台が数珠つなぎ状態となり、緊迫した周回が続いた。

その後方では、木曜のフリー走行でトップタイムをマークするなど、この週末好調なルノーのヤルノ・トゥルーリが5位、反対にクラッシュ続きのキミ・ライコネン(マクラーレン・メルセデス)が6位、ルーベンス・バリケロのフェラーリが7位と続いた。
初めてのモナコを、大きなトラブルなく迎えたトヨタ勢は、ミカ・サロが8位、アラン・マクニッシュが9位とトップ10内を走行。しかしマクニッシュは、16周目の1コーナー「サンデヴォーテ」でガードレールにヒット。このレース、リタイア第1号となってしまった。

佐藤は19周目、トンネルを抜けたシケイン手前で失速したフィジケラを抜き、10位に。ミラーボーコーナーでは、今回でGP100戦目を迎えたサロを抜き、9位までポジションアップした。硬直した順位を蹴散らす姿が度々国際映像に映し出されたが、24周目、トンネル出口でクラッシュ、惜しくもリタイアした。
「ジャンカルロ(フィジケラ)の方がペースが速くて、チームに先に行かせろといわれた。トンネルで譲ろうとラインを外れたら、コースが思ったよりも汚れいていて、スピン、クラッシュしてしまった」。前戦オーストリアGPで、ニック・ハイドフェルドに追突され大クラッシュしたものの、奇跡的にほぼ無傷で済んだ佐藤は、2戦連続で派手なクラッシュを演じてしまった。大きな怪我がなかったのが、不幸中の幸いといえよう。

■ポールは勝てない

ひとかたまりのトップ集団から抜け出したのは1位のクルタード。15周目あたりから2位モントーヤとの差を徐々に広げ始めた。
一方、モントーヤと3位シューマッハーは、僅差の攻防。プレッシャーをかけ続けるシューマッハーに、モントーヤが一瞬ガードレールすれすれまで追い込まれる場面もあった。

30周を過ぎたあたりから、クルタードのリアから白煙が少しずつ出始めた。モントーヤとの差は1.5秒前後。万事休すか、と思われたクルタードのマクラーレンはその後、ファステストラップをたたき出しながら後続を引き離しにかかる。

44周目、モントーヤに引っかかってクルタードを追えないミハエルが早めにピットインを敢行。コースに復帰すると、1分18秒台のハイペースで巻き返しを図る。

47周目、モントーヤは2位の座をラルフに譲ったのち、マシン後方から煙を吐き、狭いコースの脇に止まった。モントーヤにとって、今シーズン初のリタイア。ポールシッターは勝てないという、モナコのジンクスは生きていた。

ファステストラップを連発するシューマッハーが、トップのクルタードに迫ってきた。クルタードは、予定より早めの51周目にピットイン、コースに復帰すると、シューマッハーの紅いフェラーリをからくも抑え、1位を守った。クルタードとシューマッハーは、1秒以内のマッチレース。だがここはモナコ。シューマッハーにとっても、抜くことは至難の業なのだ。

結局、この順位は変わることなく、78周、262.86kmのレースは幕を閉じた。

「今年勝つことは難しいんじゃないかと思っていただけに、この勝利はファンタスティックなものだよ!」。ゴールラインで力強いガッツポーズを見せたクルタードは、その喜びをこうコメントした。
世界で2番目に小さいモナコの君主、レーニエ大公の待つ表彰台で、優勝ドライバーを称え、イギリス国歌が高らかに流れた。ドイツ国歌以外が流れたのは、今シーズン初めてのことである。

3位にはラルフ、4位にはトゥルーリが入賞。2戦連続の5位フィニッシュに、フィジケラとジョーダンチームはわいた。最後の1点をめぐり繰り広げられたハインツ-ハラルド・フレンツェン(アロウズ・コスワース)とルーベンス・バリケロ(フェラーリ)の争いは、フレンツェンに軍配が上がった。ニック・ハイドフェルドのザウバー・ペトロナスが8位、ジャガーの2台、エディ・アーヴァインとペドロ・デ・ラ・ロサが9、10位。ルーキーのマーク・ウェーバーが11位完走をはたした。

■不動のリーダー、シューマッハー/フェラーリ

17戦中7戦を終えた2002年シーズン。チャンピオンシップでは、ミハエル・シューマッハーが60点で引き続きトップ。2位モントーヤとラルフ(ともに27点)との差を33点に開き、5度目のワールドタイトルにまた一歩近づいた。今回優勝したクルタードが20点で4位につく。

コンストラクターズチャンピオンシップは、1位フェラーリ72点、2位ウィリアムズBMW54点、3位マクラーレン・メルセデス24点、4位ルノー11点。連続入賞中のジョーダン・ホンダが4点で6位、8点で5位のザウバー・ペトロナスを追う。このレース2台ともリタイアしたBARホンダは、唯一無得点チームのままだ。

次戦は、大西洋を越え、カナダGP。6月9日に決勝レースが行われる。

(文=webCG 有吉/写真=本田技研工業)

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