【ルマン24時間】2002年のルマンを総括する

2002.06.17 自動車ニュース

【ルマン24時間】2002年のルマンを総括する

アウディR8の1-2-3フィニッシュ、そしてビエラ/ピッロ/クリステンセンが成し遂げた、同一ドライバーによる史上初の3連覇・・・。2002年6月15-16日に行われた第70回ルマン24時間レースは、アウディが話題を総ざらいした観がある。しかしレースはアウディだけのものではない。クラスを超え、人種を超え、様々な戦いが繰り広げられたのも事実なのだ。
フランスの西部、ルマンに飛び取材をした自動車ジャーナリストの金子浩久が、2002年のルマンを総括する。

■完璧なアウディ
すでに速報で報じられているように、第70回ルマン24時間レースは、アウディR8の完璧な勝利で終わった。3台のR8が予選からその地位を脅かされることなく、最後までトップ3を維持した。2000年1-2-3位、2001年1-2位、そして今年は再度1-2-3位。これが完璧でなくて、何と呼ぼうか。その完璧振りは語り尽くせない。
R8の速さは、コースが改修されて昨年より長くなったのにもかかわらず、昨年のラップタイムを更新したことが雄弁に物語っている。ライバルたちは、まったく歯が立たなかった。

■ベントレーへの足かせ
アウディと同じフォルクスワーゲングループに属するベントレーは、クローズドボディゆえのレギュレーションが足かせとなった。2インチ幅の狭いタイヤが、加速でも、減速でも、コーナリングでも大きく振りに働いた。クローズドボディによる空力性能の優位性、そしてR8よりも400cc増のエンジン排気量なども、天秤に掛けるとアドバンテージとはならなかった。

■プロの仕事振り、チームORECA
4位ベントレーの後ろ、チームゴウのアウディR8(こちらは昨年型)のすぐ前には、フランスの実力レーシングチームORECAが存在を強くアピールしていた。2台のダッラーラ・ジャッドは、速い上にスタミナも併せ持っていて、オペレーションはプロの仕事振りだった。

■MGが示した可能性
LMP900よりも小型軽量のLMP675クラスのマシンは、最後まで走り切るクルマが多くなかったが、このクラスの可能性を示した。
特に、MGの序盤の速さは衝撃的だった。一緒にコーナーの走りを観察していた、あるレーシングドライバーは、MGの速さは空力特性の優秀性、特にダウンフォースの強さに依存し、それがアドバンテージとなっているのでは、と喝破していた。
ワークスMGの2台は、1台はエンジントラブル、もう1台はトランスミッショントラブルで早めにリタイアしてしまったが、耐久性が加われば、LMP900クラスのマシンにとって、大いなる脅威となることだろう。総合順位でも、上位を狙えるに違いない。

■実績あるマシンが残ったGTS、GTクラス
市販車を改造したGTSとGTクラスは、レースが終わってみれば、いつものメンバーしか残っていなかった。GTSクラスには、コーヴェットとバイパー。GTクラスにはポルシェ9111GT3。フェラーリやスパイカー、モーガンまでがエントリーし、観客の期待を背負い雰囲気を盛り上げてくれたが、残念。ぜひ来年に雪辱をはたしてもらいたい。様々なマシンが競い合うところにルマンの魅力があり、そこで激しいコンペティションが繰り広げられるのがルマンの伝統なのだ。

■魅了し続けるルマン
ルマンがルマンであるのは、日曜の午後4時にレースがゴールを迎える時の、高揚しながらも優しく暖かい雰囲気にある。24時間を走り切ったドライバーはもちろんのこと、徹夜でピット作業を続けたメカニックなどのチームスタッフ、レースをオーガナイズするオフィシャルやコースマーシャルなど、すべての人々に対する歓声と拍手が、サルトサーキット全体で沸き上がってくる。そこには、勝ち負けやビジネスを超越した連帯感がある。

意地の悪いジャーナリスト連中も、プレスルームから惜しみない拍手を送る。F1をはじめとする他の自動車レースでは絶対に見られない光景だ。
この雰囲気、空気があるからこそ、これまでルマンは世界中のレースファンを魅了し続け、リスペクトを受けてきた。来年の71回目のルマンでは、どんなレースが繰り広げられるのだろうか。

(リポート=金子浩久)

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