CARTとIRL、エンジンをめぐる動き

2002.06.20 自動車ニュース

CARTとIRL、エンジンをめぐる動き

2003年シーズンをにらみ、アメリカの2大フォーミュラ、CARTとIRLのエンジン体制に動きがあった。

■CART、2003年からコスワースエンジンのワンメイクに

CARTとコスワースレーシングは2002年6月16日、シリーズ第6戦の会場となったポートランドで共同声明を発表。2003年シーズンから2年間、コスワースがチューンする2.65リッターV8ターボが全チームに独占供給されることが明らかになった。
このエンジンは、現行フォードXFユニットをベースに、コスワースが改良を加えるもの。年間100機が供給され、そのどれもに1000マイル(1600km)以上のパフォーマンス保証が付く。さらにコスワースは、電子制御部品やインスタレーションキットなども提供、各チームにはエンジニアを派遣するという。

2001年10月、CARTは2003年よりライバルシリーズのIRL(インディレーシングリーグ)同様、3.5リッターNAエンジンを採用すると発表した。この決定にいたるプロセスに不信感を募らせたホンダは2002年をもって撤退を表明、トヨタ、フォードも、2003年以降エンジン供給を行わないと決めた。
今回、前回の決定を覆し、現行レギュレーションのままターボエンジンを継続すると決めたことで、来シーズン「エンジンサプライヤーがいない」という最悪の事態は避けられたものの、IRLとの“基本コンポーネントの共有化”は遠ざかった。
共通のコンポーネントが多くなれば、CARTチームがIRLのビッグイベント「インディアナポリス500」に出場しやすくなるが、一部の噂では、IRLがこれを邪魔しているのではと言われている。IRLのボス、トニー・ジョージの狙いは、あくまでCARTを潰し、IRLを北米唯一のトップフォーミュラにすることにあるから、というのがその理由。その真偽のほどは・・・。

CARTは同時に、各チームのコスト削減を狙った「エントラント・サポート・パッケージ」を来シーズンから導入すると発表した。2003年は150万ドルの資金援助が行われるという。

2002年、CARTの名門チーム、ペンスキーがIRLへ転向。ホンダ、トヨタもその動きに倣い、2003年のIRLは、1996年のシリーズ開始以来、もっとも賑やかなシーズンとなるであろう。
一方で、さらなるチームの流失や、コスト抑制を図らなければならないCART。上記の決定を見れば、シリーズ存続に必死な様子がうかがえる。

■日産「インフィニティ」エンジン、IRLから撤退

日産の北米ブランド「インフィニティ」のバッヂを付けIRLにエンジン供給しているインフィニティ・ディビジョン・オブ・ニッサン・ノースアメリカは、2002年6月14日、同年7月から始まるIRLの登竜門たる新カテゴリー、「インディレーシング・インフィニティ・プロシリーズ」に専念すると発表。1997年に始まったIRL活動を、2002年シーズンをもって辞めることが分かった。

IRLには、2003年からホンダ、トヨタが参戦する。CARTで競い合った日本の2大メーカーの登場により、今までローテク、ローコストをウリとしていたIRLシリーズが、激しい競争にさらされるのでは、と一部ではささやかれている。敵前逃亡、とまでは言わないが、やがてくるであろうハイテク、ハイコスト化に、日産は「ノー」と言い放ったのではないだろうか。

ちなみに「インディレーシング・インフィニティ・プロシリーズ」は、2002年7月7日、カンサスでの第1戦で幕を開け、今シーズンは全7戦が予定される。各レースの距離は100マイル(160km)。エンジンは、インフィニティ「Q45」(日本名シーマ)のV8ユニットをチューンし、450psを発生する。シャシーは、イタリアのダッラーラを採用する。

(webCG 有吉)

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