F1フランスGP、シューマッハー5度目のタイトルを獲得!

2002.07.22 自動車ニュース

F1フランスGP、シューマッハー5度目のタイトルを獲得!

F1世界選手権第11戦フランスGP決勝が、2002年7月21日、フランスのマニクール・サーキット(4.251km)を72周して行われ、フェラーリを駆るミハエル・シューマッハーが今シーズン8勝目を飾った。
シューマッハーはチャンピオンシップポイントを96点とし、6戦を残して2002年のワールドチャンピオンとなった。3年連続、通算5度目の栄冠は、1950年代にファン・マニュエル・ファンジオが打ち立てた最多タイトル獲得記録タイ。自身のもつ最多勝利記録を61勝とし、史上最も早い時期にタイトル奪取に成功した。

■記録が生まれた瞬間

真っ先にチェッカードフラッグを潜った「F2002」は、ピットウォールの紅いユニフォームを纏った集団に近寄り、小刻みに蛇行走行した。
決して破られることはないだろうと思われていたファンジオの偉大な記録に肩を並べたこのドライバーは、いつもよりも力強く、何度も拳を突き上げた。
最強のマシン、チームを擁し、「勝って当たり前」とさえいわれていた彼は、だからこそ余計に重く圧し掛かったであろうプレッシャーを跳ね除け、数々の記録を打ち立てた。
「素晴らしいチームのお陰だ。彼らの仕事とモチベーションには頭が下がる。本当に、みんなのことを愛しているよ」。

その男・・・ミハエル・シューマッハーは、自分を支えてくれた多くの人々に感謝の意を表した。その顔には、喜びとともに、重責を果たしたという安堵感か見てとれた。

■白線の罠

シューマッハーがフランスでタイトルを獲得するためには、優勝し、かつランキング2位のルーベンス・バリケロ(フェラーリ)、3位ファン・パブロ・モントーヤ(ウィリアムズBMW)が3位以下で終わることが条件だった。

フォーメーションラップ開始前、前戦イギリスGP同様、バリケロのマシンにトラブルが発生した。エンジンが回ることを拒否し、バリケロは1周もすることなく戦列を去らなければならなかった。シューマッハーのタイトル奪取を(計算上は)阻むことができたドライバーが早々に消えた。

5戦連続ポールポジションからスタートしたモントーヤが、2番手グリッドのミハエル・シューマッハーを抑えトップを走行。キミ・ライコネンのマクラーレン・メルセデスが3位で追った。この3人は、2周目のアデレード・ヘアピンで三つ巴の戦いを演じ、サーキットをわかせた。
序盤のトップ6は、モントーヤ、ミハエル・シューマッハー、ライコネン、ラルフ・シューマッハー(ウィリアムズBMW)、デイヴィッド・クルタード(マクラーレン・メルセデス)、ジェンソン・バトン(ルノー)の順。

地元GPのルノー以外、ほぼ全員が2ストップ作戦をとった今回、トップのモントーヤは24周目に先陣をきってピットに入った。替わって1位を走るシューマッハーは、前方がクリアになった途端にファステストラップをたたき出し、27周目にピットイン。モントーヤを抑えて首位のままコースに復帰した。このままシューマッハー/フェラーリの独走で終わるのか?
しかし、ピットレーン出口とコースの境に引かれた白線を踏む違反を犯したミハエルは、2位モントーヤに約8秒の差をつけていた36周目、「ドライブスルー」ペナルティを受け、ライコネンの後ろ、3位まで順位を落としてしまった。タイトルが一歩遠のいた。

43周目、リーダーのモントーヤは2度目のピットストップを敢行。ところが静止時間は11秒以上にもなり、大幅にタイムをロスしてしまう。4位まで順位を下げたモントーヤは、以後トップ争いに加わることなく、そのポジションのままレースを終えることとなった。

■勝敗を決めたオイル

レース後半を盛り上げたのは、シューマッハーとライコネンだった。2度目のピット作業を終え1位を走行する22歳の“F1 2年生”、ライコネンは、シューマッハーの執拗なアタックをクールにかわし、初優勝に向けて落ち着いた周回を重ねていた。

残り5周、ドラマは起こった。アラン・マクニッシュのトヨタがアデレード・ヘアピンでマシンを壊し、コース上にオイルを撒いた。これに乗ってしまったライコネンはラインを外れてしまい、急激な追い上げを見せていたシューマッハーが間隙をぬって首位の座を奪った。

勝負は決まった。シューマッハー、今シーズン8勝目。地元ドイツで行われる次戦を待たずして、タイトル奪取に成功した。GP出走172戦目、12年かけて掴んだ5度目のワールドチャンピオンだった。

2位フィニッシュのライコネンは、ニコリともせず表彰台に姿をあらわした。初優勝は逃したが、彼自身のミスというよりも、運が悪かったからといったほうがいい。このレース一番輝いていたドライバーだった。
3位は、シューマッハーと同じ「白線越え」違反でドライブスルーしたクルタード。以下、4位モントーヤ、5位ラルフ・シューマッハーのウィリアムズ・コンビが入賞。今シーズン限りでチームを追われることが明らかになったバトンのルノーが最後の1点をもぎ取った。

7位ニック・ハイドフェルド(ザウバー・ペトロナス)、8位マーク・ウェバー(ミナルディ・アジアテック)、9位ペドロ・デ・ラ・ロサ(ジャガー)、10位アレックス・ユーン(ミナルディ・アジアテック)というトップ10だった。

14番グリッドからレースにのぞんだ佐藤琢磨のジョーダン・ホンダは、スタート直後の第1コーナーでオリヴィエ・パニスのBARホンダと接触。その影響でアンダーステアがひどくなり、24周目の最終コーナーでコースアウト、リタイアした。チームメイトのジャンカルロ・フィジケラは、土曜日フリー走行中に大クラッシュ、ドクターストップがかかり欠場していた。ジョーダンにとっては忘れたい週末となってしまった。
前戦ダブル入賞を果たしたBARホンダは、パニス、ジャック・ヴィルヌーヴともにリタイア。トヨタの2台、ミカ・サロ、マクニッシュもゴールできなかった。

■コンストラクターズタイトルも時間の問題

17戦中11戦を終え、ミハエル・シューマッハーは、優勝8回、2位2回、3位1回で96点を獲得、孤高のチャンピオンとなった。

しかし、ランキング2位以下の争いは熾烈。モントーヤ34点、バリケロ32点で2位、3位が逆転。ラルフ・シューマッハーはバリケロと同点の3位、5位クルタード30点、6位ライコネンは17点だが、シーズンはまだまだ残り6戦もあるのだ。

一方、コンストラクターズタイトルも、フェラーリが4年連続で獲得しそうな勢いだ。128点のフェラーリに対し、2位ウィリアムズBMWは66点、3位マクラーレン・メルセデス47点、4位はルノーで15点、5位ザウバー・ペトロナスは10点を稼いでいる。

次戦決勝は7月28日、シューマッハーにとって凱旋レースとなる、ドイツGPだ。

(webCG 有吉)

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