【スペック】全長×全幅×全高=3895×1690×1670mm/ホイールベース=2500mm/車重=1020kg/駆動方式=FF/1.5リッター直4DOHC16バルブ(110ps/6000rpm、14.6kgm/4200rpm)/車両本体価格=169.0万円(テスト車=同じ)

トヨタ・bBオープンデッキ (4AT)【ブリーフテスト】

トヨタ・bBオープンデッキ(4AT) 2001.07.11 試乗記 ……169.0万円総合評価……★★


覇者の奢りか富者の迷走か

開発者にいわせると、普通のbBは「夜のイメージ」なんだそうだ。ちなみにbとBはそれぞれ「ブラック」と「ボックス」の頭文字。でもってそれを「たいへんに明るい、夏の海に似合うような」クルマにしたのがこのオープンデッキであると。あーそうですか。bBの予告編として1999年の東京モーターショーに参考出品モデルが好評だったため市販にふみきった。2年間、ということはおそらくbBがフルチェンジするか消えるかするまでの限定商品。
クルマの概要は見たまんま。いわゆるエクステンデッドキャブ型のアメリカンピックアップを思い切りデフォルメしたようなものだと思っていい。巨大メーカーの商品らしい生真面目さというか後ろ指さされないための対策がそこかしこに見えはしても、買うか買わないかに関していえば典型的な「ノリ一発型」商品であり、つきあううちにジワジワとわかって嬉しくなってくるような種類のサムシングは基本的にない(意外な発見はあったが)。その意味ではきわめてイマ様のクルマだ。正直、乗ってどうこう書くのはいささかアホらしい。
海なり山なりのアウトドアライフの伴侶としての自動車というものを真剣に考える人は、こういうモノを相手にしないだろうし(多くの場合はハイエースでキマリだろう)、またいかなる形態においてであれ、クルマと真剣にマジメにつきあおうと考えている人なら、このようなモノに浮かれたりしない。
いわゆるパイク系自動車としても、たとえばクライスラーのPTクルーザーあたりと較べてしまうと、bBにおける仕事のレベルはテンで低い。いってみれば「ディズニーランド」と「サンリオピューロランド」の格差を見る思いであり、こんなクルマでは楽しくだまされる気になれない。なにより、bBでは人間が乗って動かすモノとしての基本的な環境が整っていない。というか崩れている。
ということで、評価はまずもって★ひとつ。つまり最低。ゼロでもいいくらいだ。プリウスを出した一方でこういうクルマもつくってしまうトヨタという企業が、私にはよくわからない(それほどまでしてシェアがほしいということか)。ただし、乗ったら意外とマトモだったのと、あと福祉車両=ウェルキャブとしての適正の高さに免じてもういっこ★を差しあげた。
そういうbBオープンデッキは、「真に個性的なヤングユーザー」(笑)に向けたクルマらしい。それを聞いたら、「真に個性的なヤングユーザー」は真っ先にワラうと思うが、どうか。



【概要】 どんなクルマ?

(シリーズ概要)
2000年2月に登場した「ファンカーゴ」ベースの5ドアモデル。「トールボックスデザイン」と呼ばれるボディスタイルを採る。エンジンは、1.3と1.5リッターの2種類。いずれにも4段ATが組み合わされる。FFをベースに、1.5リッターモデルには4WDも用意される。2001年6月11日に、リアをピックアップ風の荷台にした「オープンデッキ」がラインナップに加わった。
(グレード概要)
bBオープンデッキのドライブトレインは、1.5リッターのFFモデルのみ。右サイドは1ドアながら、左側にはBピラーがなく、EXキャブのような観音開きのドアが備わる。リアウィンドウを跳ね上げ、その下のデッキスルードアを倒すと、キャビンと荷台をつなぐことができる。サイドの広い開口部を活かし、助手席を全自動で昇降させることが可能な福祉車両「助手席リフトアップ車」も設定される。

【車内&荷室空間】 乗ってみると?

(インパネ+装備)……★
ピラーといわずダッシュボードといわず、いわゆる直線基調の四角系デザイン。高さ方向の寸法も豊かで、つまり収まって心地よい空間をつくるうえで非常に都合のいい条件が整っている。けれど実際の居心地はナンともイビツ。運転に集中しづらく、また車両感覚もつかみにくい。遠近感が幻惑される。ここひとつだけとってみても、たとえばハイエースははるかにドライバーズカーだ。ワカモノにウケたい一心で低レベルの造形を通してしまった結果か。
(前席)……★★
天井はガバガバに高いのにリフターもなし。乗り降りするたび座面のサイドフレームが腿に当たって気に障る。目の前の環境がヒドいのでハナからマトモに座れることを期待させない。で、それはかえって救いか。なお、オープンデッキは左側のみいわゆる観音開きの2ドアで、Bピラーがないため「福祉車両=ウェルキャブ」では助手席を大きく後ろへズラしつつ繰り出すことができる。で、ヒザを大きく曲げられない人を乗せる/降ろす際にきわめて好都合。同車最大の美点かも。
(後席)……★★
最大の美点は座面が後ろに倒れないこと。後頭部の直後にガラスが迫っていて不安になるが、ダミーを乗せての安全実験はちゃんとやってあるそうだ。ヘッドレストも、それなりの高さまでは引き上げることができる。EXキャブのトラックの後席だと思えば悪くない。
(荷室)……★★★
狭いとはいえ基本的に荷台であり、出勤のついでに生ゴミを出したりするときに便利だそうだ。開発者のひとりは、運転席から外へ右腕をのばしてその先の手でゴミ袋を摘んで走るオトーサン、という光景を目にしてナニやら思うところがあったという。テールゲートならぬアオリの開閉が、工夫の甲斐あってきわめてカルいのも加点要素。

写真をクリックするとデッキスルーになるさまが見られます。



【ドライブフィール】 運転すると?

(エンジン+トランスミッション)……★★★
低速トルクの貧弱さをゴマカすための、「踏みはじめ領域で特にルーズなトルコン特性」に対する反省は見える。そこは「オッ」と思わせる。でも、それだけといえばそれだけ。これで1.5リッター? ホンダ・フィットの「1.3リッター+CVT」のほうがはるかにイイ。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
冒頭に書いた「意外な発見」はこの分野に関して。従来のbBと較べると、試作車みたいだったガサツでヤッツケ仕事な印象は大幅に直っている。運転環境は相変わらずヒドいが、アシ方面に関していえば走りはかなりマトモ。ドタバタしないし、突っ張らずキレイに動く。社内の評価も、ハンドリングを売りモノにする種類のクルマに対するそれよりかえって高かったという(皮肉)。きけば、特殊な車体構造ゆえの不利を露呈させないようにと頑張った結果、サス取り付け部の剛性は普通のbBの2倍にもなっているらしい。そのおかげか。

(写真=難波ケンジ)

【テストデータ】

報告者:森 慶太
テスト日:2001年7月5日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2001年型
テスト車の走行距離:--
タイヤ:(前)185/65R15 88S/(後)同じ
オプション装備:--
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(8):高速道路(2)
テスト距離:--
使用燃料:--
参考燃費:--

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