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【スペック】全長×全幅×全高=4950×1955×1865mm/ホイールベース=2880mm/車重=2500kg/駆動方式=4WD/4.4リッターV8DOHC32バルブ(286ps/5400rpm、44.9kgm/3600rpm)/車両本体価格=985.0万円

ランドローバー・レンジローバー Vogue(5AT)【試乗記】

BMWの息吹 2002.07.11 試乗記 ランドローバー・レンジローバー Vogue(5AT)……985.0万円「世界最高峰のプレミアム4×4」と謳われる、ランドローバーのフラッグシップ「レンジローバー」の新型が、2002年7月6日から日本に導入された。それに先駆け、同年7月3日に山中湖周辺でプレス向け試乗会が開催された。自動車ジャーナリストの河村康彦が報告する。

数奇な生い立ち

今でこそ、フォードPAG(プレミアムオートモーティブグループ)の一員として、4WDオフローダースペシャリストの道を歩んでいるが、つい最近まで、ランドローバー社がBMW社の傘下にあったことは、記憶に新しい。1996年に開発がスタートしたという新型「レンジローバー」には、もちろんBMWの息吹が色濃く残される。
というより、例えばこのクルマに搭載されるパワーパック(4.4リッターV8DOHCユニット+シーケンシャルモード付き5段AT)は、ひと足先にデビューして絶賛されたBMWのSUV「X5」が積むユニットそのものといってよい。そう思って室内を見まわしてみると、いくつかのスイッチ類がX5と共通デザインであることなど、このクルマの“数奇な生い立ち”が散見される。

新型レンジローバーのエクステリアデザインは、ご覧のように歴代レンジローバーのアイデンティティを、確かに受け継いだ。ヘッドライドの処理などにモダーンなアレンジを加味してはいるが、ボクシーで堂々としており、そしていかにも頑丈そうな「レンジローバーらしさ」をしっかりと継承した。
一方のインテリアは、これまでのモデルとのイメージの共通性を探すのが難しいほどの一新ぶり。各部に“光りモノ”を巧みに配し、ドイツのライバル(X5や、メルセデスベンツ「Mクラス」のことだ)ほど、ビジネスライクな見た目になることを避けたところが、なかなかうまい。ランドローバーが「コマンドポジション」と呼ぶ、見下ろし感覚の強い運転席からの視界の広がりは、ラダーフレームを捨ててモノコックボディとなった現在でも健在だ。しかし、これまで2代のレンジローバーの特徴である角度の立ったフロントウインドウが、新型では随分寝かされてしまったのは、個人的にちょっと残念に思う。

変化した「走りのテイスト」

走りのテイストが、これまでのモデルから大きく変化したことには驚いた。率直にいってそうなった要因は、やはりBMWの影響が極めて大きいようにぼくには感じられる。ひとことで表現すると「従来のレンジローバーが備える重厚感に加えて、軽快な走り味を強く加味したのが新しいレンジローバー」なのである。特に、今回テストドライブした最上級グレード「VOGUE」では、19インチという巨大なシューズを標準で装着するにもかかわらず、その悪影響をまったく意識させない、何とも軽快なばね下の動きが、強く印象に残った。

「スポーティな」と表現したくなる加速フィールも、これまでのレンジローバーとハッキリ異なるポイントだ。もちろんこれこそ、新たに搭載された“BMWの心臓”による影響にほかならない。アクセルペダルを踏み込むたびに、何ともスポーティなサウンドを響かせるV8ユニットと、それに組み合わされた5段ATのでき栄えも、走りの軽快感を助長する。
ちなみに、このクルマが現在でも本格的オフローダーであることを示す重要な記号でもある、副変速機のハイ/ロー切り替えは、走行中でも可能(ハイ→ローは16km/hまで。ロー→ハイは48km/hまで)なシステムへとアップグレードされた。ただし、2WDと4WDの切り替えレバーは、センターデフの採用でフルタイム4WD化が実現したレンジローバーにとって、すでに「過去の遺物」となっている。

生粋のオフローダー

シャシーチューニングの考え方は、姉妹車(!?)BMW X5と大きく異なる。端的に言うならば、X5がオンロード性能の高さを強く狙ったのに対し、新型レンジローバーは、初めて独立懸架サスペンションやラック&ピニオン式ステアリングを採り入れたとはいえ、あくまでも生粋のオフローダーであることを念頭に置いて開発された。レンジローバーは新型になっても、相変わらず極端なまでに長いサスペンションストロークを備える。サスのストロークを検知して自動的にオンロードとオフロード、2つのモードを切り替えるフットワークが生み出す乗り心地もよく、用意されたクロスカントリーコースを走ったときの、悪路走破性も相当なものだった。

いくつかのメカニカルコンポーネンツを共有することから、レンジローバーとX5を差別化することの難しさを指摘する声がある。しかし、ぼくは「X5があるからこそ、新型レンジローバー固有の乗り味が実現できた」と思うのだ。

(文=河村康彦/TOP、走り、リア写真=高橋信宏、他=大澤俊博/2002年7月)