【スペック】ボクスター(5AT):全長×全幅×全高=4315×1780×1290mm/ホイールベース=2415mm/車重=1310kg/駆動方式=MR/2.7リッター水平対向6DOHC24バルブ(220ps/6400rpm、26.5kgm/4750rpm)/車両本体価格=610.0万円

ポルシェ2001年モデルボクスター/ボクスターS【試乗記】

ポルシェ2001年モデル「南九州試乗会」報告(その1) 2000.12.06 試乗記 ポルシェの2001年モデルをテストする試乗会が、2000年11月15日から、2日間にわたって開かれた。ジャーナリスト金子浩久が参加したのは、宮崎、鹿児島、熊本とまわる「南九州コース」。まずは、ミドシップスポーツ、ボクスターから報告。


ポルシェ2001年モデルボクスター/ボクスターS【試乗記】の画像
ボクスター2001年モデルでは、ノーマル、S、ともに新しい可変吸気システムが採用されたほか、サイドエアバッグが標準装備に、PSM(ポルシェスタビリティマネージメント)をオプションで搭載可能になった。

ボクスター2001年モデルでは、ノーマル、S、ともに新しい可変吸気システムが採用されたほか、サイドエアバッグが標準装備に、PSM(ポルシェスタビリティマネージメント)をオプションで搭載可能になった。

清冽なエンジンボクスター(5AT)……610.0万円

911と並ぶポルシェのもうひとつの顔、ボクスターは、今回の試乗会に先立ち、大幅な値下げが行なわれた。なんと、5段MTは、550.0万円! 「アウディTTロードスターに50万円足せば買える」という殺し文句は効くだろう。
ティプトロニックSモデルは、60.0万円高の610.0万円。
リアエンジンの911と、ミドシップのボクスター。車重そのものは、カレラクーペとボクスターのMTモデルで、60kgしか違わない。ボディ寸法も、2座のボクスターが、「911からリアシートを取り去った分だけ小さくなっている」わけではない。
エンジンの鋭い吹き上がりも911と同じだ。どちらも、アクセルワークに対するレスポンスが俊敏。パワーソースに関しては、911もボクスターも、同じ切れ味を持ったナイフといえる。排気量の違いは、「刃渡りの寸法」と「ナイフを押す指の力」だ。
違いを敢えて表現すると、911の3.4リッターフラット6のフィーリングが「豊穣」、ボクスターの2.7リッターは「新鮮」「清冽」といったところか。

ボクスターのハンドリングは、エンジンという重量物がクルマの中心部分に搭載されているだけあって、911より軽快感を伴う。911も、他のスポーツカーよりは軽快感はあるのだが、ボクスターはもっと軽やかだ。

911へのコンプレックスを感じたのは、トップを降ろして走っている時の「風の強さ」だった。911カレラ4カブリオレでは、ほとんど風が車内に巻き込んでこなかったのに、ボクスターではすこし巻き込んだ。



ポルシェ2001年モデルボクスター/ボクスターS【試乗記】の画像
【スペック】
ボクスターS(6MT):(全長×全幅×全高=4315×1780×1290mm/ホイールベース=2415mm/車重=1295kg/駆動方式=MR/3.2リッター水平対向6DOHC24バルブ(252ps/6250rpm、31.1kgm/4500rpm)/車両本体価格=690.0万円
【価格】
ボクスター(5MT/5AT)=555.0/610.0万円
ボクスターS(6MT/5AT)=690.0/750.0万円

【スペック】ボクスターS(6MT):(全長×全幅×全高=4315×1780×1290mm/ホイールベース=2415mm/車重=1295kg/駆動方式=MR/3.2リッター水平対向6DOHC24バルブ(252ps/6250rpm、31.1kgm/4500rpm)/車両本体価格=690.0万円【価格】ボクスター(5MT/5AT)=555.0/610.0万円ボクスターS(6MT/5AT)=690.0/750.0万円

すこしだけズボラボクスターS(6MT)……690.0万円

ボクスターの2.7リッターのボアを7.5mm拡大して3.2リッターとしたフラット6を搭載するボクスターS。220psに対して、252ps。
ボクスター、ボクスターSともに、4バルブヘッドと、可変バルブタイミング機構をもち、さらに新しい可変吸気機構「2ステージレゾナンス・インテイク・システム」が採用された。

ボクスターの項に書いたように、500ccの排気量アップは、ボクスターのナイフの刃渡りをすこし延ばし、ナイフを押す指の力を強くしたようなもの。排気量が大きいということは、いうまでもなくパワーとトルクが増えるということだから、運転しやすく、加速もいい。エンジンの排気音も大きい。

2.7リッターでは、ややストイックに、クルマの運転に意識を集中させて走ったが、3.2リッターの「S」では、運転中にすこしだけズボラになれる。イザとなれば、全身全霊を注いでスポーツドライビングを行なうが、その気がなければゆったりと景色でも眺めながら流すことができる。そこが、ノーマルとSの違いだろう。
だから、スポーツカーとしてだけで構わない人はノーマルを、オープンカーとしても楽しみたい人はSがいい、と思う。

なお、2001年モデルから、ボクスターシリーズでも、アンチスピンデバイスたるPSM(ポルシェ・スタビリティ・マネージメント)を装備することが可能になった。PSMは、タイヤのグリップが失われると、エンジン・コントロールユニットと瞬時に連動し、ホイールに個別にブレーキを作動させ、クルマの安定性を回復する装置だ。PSMは、ボタン操作で作動を解除することもできる。しかし、その際でもPSMは背後でスタンバイしているため、少しでもブレーキペダルが踏み込まれると、直ちに作動状態に戻る。

(文=金子浩久/写真=ポルシェ ジャパン/2000年11月15日から16日)

黒坂登志明 氏
1946年神奈川県生まれ。71年に本田技研工業に入社。その後、ビー・エム・ダブリュー ジャパン、ミツワ自動車を経て、1995年11月からポルシェ ジャパンの代表取締役社長。

【特別付録】2006年には販売台数を2倍に!

1998年1月に発足したポルシェジャパン。同社の代表取締役を務める黒坂登志明氏に、ジャーナリスト金子浩久がインタビューした。

金子 なぜ、ボクスターの価格を下げたのですか?
黒坂 ボクスターのMTモデルを550.0万円に下げたのは、日本のお客様にもっとボクスターを買っていただきたいからです。ドイツでもアメリカでも、ボクスターの方が911よりも売れています。日本でボクスターが911より売れていないのは、販売体勢が整っていないからです。それを整備すれば、ボクスターは日本でも売れるようになると思います。
金子 2001年の目標販売台数は?
黒坂 911が1000台、ボクスターが同じく1000台の、合計2000台です。2002年には2400台に上げます。春に、まったく新しいモデル、SUVの「カイエン」の販売が開始されるからです。
そして、2006年には911を1500台、ボクスターを1500台、カイエンを1000台の「3本柱体勢」を確立して、4000台を売る計画です
金子 ポルシェは、フェラーリがフィアットの軍門に下ったように、どこかの自動車メーカーの傘下に入ってしまうのでしょうか?
黒坂 その心配は要らないでしょう。ポルシェは、いわゆる「400万台クラブ」のメーカーとは一定の距離を保ちつつ、存在意義のある、世界で最も小さい自動車メーカーとしてあり続けるからです。

(収録:2000年11月15日)

この記事の大きな画像を見るためには、画像ギャラリーをご覧ください。

ボクスターの他の画像を見るためには、写真一覧をご覧ください。

関連記事
  • ポルシェ718ボクスターS(MR/7AT)【試乗記】 2016.11.17 試乗記 350psの2.5リッターフラット4ターボエンジン搭載の「718ボクスターS」に試乗。パワーはもちろん、乗り心地もハンドリングも抜かりなしの718ボクスターSだが、ポルシェにだってできないことはある。それは……。箱根の山道を目指した。
  • ミドシップスポーツ「718ケイマン」を知る 2016.11.15 特集 2016年春に世界初公開されたポルシェの2シータースポーツ「718ケイマン」が、日本上陸を果たした。新たに開発された水平対向4気筒ターボエンジンや、一段と磨きのかけられた足まわり、こだわりの内外装は、どんな運転体験をもたらすのか。上級モデル「718ケイマンS」に試乗し、その実像に迫った。
  • マツダ・ロードスターRF VSプロトタイプ(FR/6AT)【試乗記】 2016.11.19 試乗記 「マツダ・ロードスター」に、スイッチひとつでルーフが開閉する電動ハードトップモデル「RF」が追加された。開発者のこだわりがつまったリトラクタブルハードトップの出来栄えと、ソフトトップ車とは一味違う走りをリポートする。
  • アストンマーティン・ヴァンキッシュ(FR/8AT)【試乗記】 2016.11.8 試乗記 アストンマーティンのフラッグシップクーペ「ヴァンキッシュ」に試乗。6リッターのV12自然吸気エンジンを搭載するヴァンキッシュには神性すら漂う。人生の最後にはこんな車に乗るに相応(ふさわ)しい男になりたいものである。
  • ポルシェ718ボクスター(MR/6MT)【試乗記】 2016.9.21 試乗記 新開発の2リッター4気筒ターボエンジンが採用された、ポルシェの2シーターオープン「718ボクスター」に試乗。自然吸気の2.7リッター6気筒エンジンを搭載した従来モデルとの違いを含め、走りや乗り心地の印象を報告する。
ホームへ戻る