【スペック】全長×全幅×全高=4375×1735×1445mm/ホイールベース=2520mm/車重=1540kg/駆動方式=4WD/2.8リッターV6SOHC24バルブ(204ps/6200rpm、27.5kgm/3200rpm)/車両本体価格=365.0万円(テスト車=同じ)

フォルクスワーゲン・ボーラV6 4モーション(6MT)【ブリーフテスト】

フォルクスワーゲン・ボーラV6 4モーション(6MT) 2000.12.23 試乗記 ……365.0万円総合評価……★★★★

走るビヤ樽

フォルクスワーゲンいうところの「プレミアムコンパクトセダン」ボーラV6 4モーション。乗ったとたん、「こりゃあ、ガイシャだぁ!」と思った。当たり前だけど。
2.8リッターの狭角V6に6段MTを組み合わせ、多板クラッチを用いた「ハルデックスカプリング」を介して4輪を駆動するメカオタクなスポーティモデル。といったことはともかく、黒い革内装に、これまた無愛想な黒一色のダッシュボード。大柄なシートに座ると、ガランと広い。なにかに似ている……と考えて思いついたのが、いまはなきトヨタ・セプター(北米カムリ)! 「実用」以外の言葉をもたない愚直なセダン、……なるほど。
左ハンドルのみの設定で、右手にはひどく男性的な、マニュアルシフト用のブッといギアレバーが突き出す。「日本仕様」のつくり方が上手になった輸入車のなかにあって、産地直送の新鮮さ。
バンク角15度の凝ったV6は、トルキーでスムーズ。地味な外観に似合わぬ、「0-100km/h=7.4秒」の速さを見せる。タンブルフォームの空力ボディにブチ抜かれたクルマは、ちょっとイヤな気分だろう。「走る」ビヤ樽。
室内の、申し訳程度のウッドパネルから思い浮かべるフレーズは、「たたき上げのマイスター」「いぶし銀の魅力」「ザウワークラウトの味」。

【概要】 どんなクルマ?

(シリーズ概要)
ジェッタ、ベント、ボーラと頻繁に名前を変えるも、ハッチバックと比較すると、どうもパッとしないゴルフベースの3ボックス版。「アドリア海を吹き抜ける爽快で優雅な風」を表す「ボーラ」のデビューは、1998年10月のパリサロン。本国でのエンジンラインナップは、当初、1.6直4、2リッター直4、2.3リッターV5、1.9リッターのディーゼル(出力によって2種類)だった。
(グレード概要)
2000年10月16日、2リッター直4(116ps)、2.3リッターV5(150ps)に続いて、2.8リッターV6(204ps)モデルが加わった。4段ATを介して前輪を駆動する従来モデルに対し、V6は、6段MTのギアボックス、多板クラッチを使っての4輪駆動システムを備えた「スポーティイメージ向上」モデル。アンチスピンデバイス「ESP」、クルーズコントロール、レカロ製革シート、ディスチャージヘッドランプなど、装備も豪華だ。

【車内&荷室空間】 乗ってみると?

(インパネ+装備)……★★★
センターコンソールはドライバー側に顔を向け、エアコン吹き出し口、スイッチ類が機能的に配されたインパネまわり。ウッドパネルの面積は、かつての「質実剛健メーカー」の名残りか、しごく控え目。オーディオの上に収納されるカップホルダーも無骨なものだ。「仕事をせねば!」という気にさせられる。
(前席)……★★★
体格のいいドイツ人を基準にしたためか、全体に大柄な革シート。バックレストの「RECARO」のエンボスが「スポーティセダン」を主張する。厚めのレザー。硬めの座り心地。座面、背面ともしっかりとしたサポートが張り出す。「仕事をせねば!」とせかされる。
(後席)……★★★
必要充分だが、サイドのルーフへの絞り込みゆえか、ボディ形態から想像されるほどは広く感じられない。背もたれは立ち気味。キチンと背を伸ばした着座姿勢を求められる。高さを調整できる立派なヘッドレストが頼もしい。横幅の広いアームレストはモノ入れになっていて、葉巻も万年筆も老眼鏡も入れられる。「仕事をせねば!」(しつこい?)
(荷室)……★★★★
床面最大幅110cm、奥行き98cm、高さ50cm。数値的に際だって広いわけではないが、ホイールハウスの張り出しが抑えられ、ガランと使いでのありそうな荷室。さらに床下のスペアタイヤ前に、20cm近い深さの収納スペースが設けられる。

【ドライブフィール】 運転すると?

(エンジン+トランスミッション)……★★★★
バンク角わずか15度の特異なV型エンジン。シリンダーの一部を重ねることで、「軽量・コンパクト」を目指した。構造的にはシングルカムながら、つまり片バンクに1本のカムシャフトしかもたないが、バルブの長さをかえて両バンクの吸気もしくは排気バルブを駆動するという凝った仕組み。DOHCストレート6のシリンダーを互い違いにした、と考えるとわかりやすい(?) 独特のビートを打ちながら、しかし滑らかに回転を上げる。豊かなトルク。湧き出るパワー。爽快な加速。吸い込まれるようにシフトが決まる。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
街なかでは多少の突き上げを許すが、高速巡航に移ると、路面を滑るかのよう。実用車然とした外観からは、ちょっと想像できない俊足の持ち主だ。ハンドリングもクール。適度なロールが心地よい。鍛え抜かれた関取のキレ。

(写真=荒川正幸/「走り」のみ阿部ちひろ)

【テストデータ】

報告者: web CG 青木禎之
テスト日:2000年10月24日
テスト車の形態: 広報車
テスト車の年式: 2000年型
テスト車の走行距離: 3185km
タイヤ: (前)205/55R16/(後)同じ
オプション装備: --
テスト形態: ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速道路(6):山岳路(1)
テスト距離: 447.5km
使用燃料: 61.4リッター
参考燃費: 7.3km/リッター

この記事の大きな画像を見るためには、画像ギャラリーをご覧ください。

関連記事 ホームへ戻る