トヨタ86 “TRD Performance Line装着車”(FR/6MT)【試乗記】
素材の素性がわかってる 2012.06.24 試乗記 トヨタ86 “TRD Performance Line装着車”(FR/6MT)……419万2590円
トヨタのレーシングカー開発を担うTRDブランドから、FRスポーツカー「86」用のスペシャルパーツが登場。その効果のほどをワインディングロードで試した。
容易にいじれぬ「トヨタ86」
昨年お披露目されて以来、久々の和製スポーツカーとして注目を浴び続けている「トヨタ86」(と「スバルBRZ」)。とはいえ、新車としての情報はすでに行き届いた感もあり、次なる話題は当然カスタム。平たく言えば、“チューニング”だろう。
トヨタも発売当初から、「86はカスタマイズを前提としたモデルである」と公言しており、いまアフターパーツの世界では、各メーカーが、血眼になってそのパーツ製作に取り組んでいる。
ただしこの86というスポーツカー、カスタマイズが推奨される割には、ちょっとやっかいなところがある。
異例と言っていいほど絶妙にとられた前後の重量バランス、水平対向エンジンがもたらすたぐいまれな低重心。それらに対してメーカーが施したサスペンション・ジオメトリーも、かなり熟慮されたものになっており、これ以上手を入れる必要性があまり感じられない。いや、むしろ変に手を加えてしまうと、ノーマルのバランスを“改悪”してしまうことの方が多くなる。
実際、アクセル全開率の高いサーキットで数台のチューンド86を試したことがあるが、ただ限界領域が上がっただけで、本来86が持っている「軽やかさ」をスポイルしてしまっている車両も見受けられた。
だから、「いかに86をチューンすべきか?」というテーマに対して“トヨタのワークスファクトリー”であるTRDがどのような答えを出すのか、とても興味があった。