日産、新型「NV350キャラバン」発売

2012.06.15 自動車ニュース

日産、新型「NV350キャラバン」発売

日産自動車は2012年6月15日、11年ぶりにフルモデルチェンジしたワンボックス商用バン/ワゴンの「NV350キャラバン」を発売した。

■「NV350」の意味

2011年秋の東京モーターショーの日産ブースで、思わずわが目を疑った。なぜ競合メーカーであるトヨタの「ハイエース」が展示されているのか? と思ったのである。すぐにハイエースのガチンコのライバルである「キャラバン」のプロトタイプとわかったが、それくらい似ていると感じられた「NV350キャラバン」が、ほぼショーモデルそのままの形で発売された。

日産の最上級ワンボックスバン/ワゴンとして1973年に誕生したキャラバン。一時期存在した販売チャンネル違いの姉妹車である「ホーミー」とともに「トヨタ・ハイエース」と市場を争う存在だったが、近年ではライバルに大きく水を空けられてしまっていた。劣勢を挽回すべく、11年ぶりにフルモデルチェンジされた新型は5代目となるが、車名の「NV350」の「NV」は「日産バン」、「350」は「車両総重量3.5トンクラス」を意味するという。

この種のクルマが機能性とスペース効率を追求していくと、似通った角張ったフォルムになることは仕方のないこととはいうものの、冒頭に記したように、新型の見た目はハイエースに非常によく似ている。こうした手法は、日産としては非常に珍しい。かつて「スバル・レガシィツーリングワゴン」がヒットしていた90年代に、日産の同クラスのワゴンである「アベニールサリュー」がそれっぽく装ったことはあったが、これほどではなかった。「NV350キャラバン」は、このカテゴリーでひとり勝ち状態にあるハイエースをそれだけ強く意識し、徹底的にマークして開発されたということなのだろう。

■新開発の直噴ディーゼルターボ

新型の商品コンセプトは、「使い勝手をとことん突き詰めて進化した新世代の本格商用バン」。商用車としての基本性能を向上させながら、趣味やレジャーなど幅広く多目的に使える新世代の本格商用バンとして開発され、「クラストップの低燃費」「堂々として存在感のあるデザイン」「広くて使い勝手のいい荷室空間」「従来の商用車にはない先進装備」の4つをアピールポイントとして掲げている。

「クラストップの低燃費」を実現したエンジンは、3種類。2リッターまたは2.5リッターのガソリンと2.5リッターのディーゼルターボで、いずれも直4DOHC。このうち商用バンの主力となるであろう(ワゴンには設定されない)直噴ディーゼルターボは、クリーンディーゼルテクノロジーを採用したクリーンでトルクフルな新開発ユニット。先代の3リッターから2.5リッターにダウンサイズされたが、最高出力は先代の130psに対して129psと実質的に変わらず、いっぽう最大トルクは27.0kgmから36.3kgmへと大幅に向上した。それでいてJC08モードによる燃費はリッターあたり8.8kmから12.2km(いずれも2WD、5AT)へと4割近くも改善された。競合車(ハイエースの3リッター・ディーゼルターボだろう)との比較でもトルクは15%以上強力で、燃費は7%ほど優秀という。
トランスミッションは5段MTまたは5段ATで、ATモデルは4段ATであるハイエースと比べ燃費、そして静粛性の両面で有利となった。また5段MTには新たに低燃費運転を促すGSI(ギアシフトインジケーター)がインパネに備わる。

■より広く、使い勝手も向上

「堂々として存在感のあるデザイン」をうたったボディーは、フロントオーバーハングを短縮し、ホイールベースを拡大して、安定感のあるボクシーなプロポーションを実現したという。逆台形をモチーフとしたフロントはシャープで存在感のあるデザインで、モダンでクリーンなサイドビューには、アクセントとして大胆なキャラクターラインが入る。ライバルとの差別化のポイントのひとつなのだろうが、ドア部分はいささか唐突な気がしないでもない。

プロポーションの変更は、「広くて使い勝手のいい荷室空間」の実現にも大きく貢献した。ロングボディー、標準ルーフ車(5人乗り)の場合、最大荷室長は3050mmで先代に比べ250mmも長く、4ナンバー枠(全長4.7m未満)では競合車を超えてトップクラス。さらにクラス初の後席5:5分割可倒シートや収納棚や工具などを簡単に取り付け可能なラゲッジサイドユーティリティーナットを備えるなど、使い勝手を向上させるためのアイデアも盛り込まれている。

「従来の商用車にはない先進装備」とは、商用車初となるインテリジェントキー&プッシュエンジンスターターや新たに採用された足踏み式パーキングブレーキ(AT車)、バックビューモニターを含む車両情報カラーディスプレイ、そしてオプション設定されたキセノンヘッドランプおよびLEDポジションランプなどである。

バリエーションは、商用バン、乗用ワゴン(10人乗り)ともにロングボディー/標準ルーフとスーパーロングボディー/ハイルーフの2種類がある。パワートレインは、バンに関してはエンジン(2/2.5リッターガソリン、2.5リッターディーゼル)とトランスミッション(5AT、5MT)、駆動方式(2WD、4WD)の組み合わせがいくつか用意されるが、ワゴンは2.5リッターガソリン、5AT、2WDのみ。

グレード構成はバンが「プレミアムGX」と「DX」、ワゴンが「GX」と「DX」で、加えて「オーテックジャパン」によるファクトリーカスタム仕様の「ライダー」もラインナップされる。

価格は、バンのガソリン仕様が189万4200円から238万8750円、ディーゼル仕様は248万9550円から317万7300円。ワゴンは243万6000円から320万5650円。まずはガソリン仕様が発売され、7月13日にディーゼル仕様と、スーパーロングボディーが発売される。また、ワイドバージョンは2012年冬に導入の予定となる。

細かいことだが、乗用ワゴンの呼称がキャラバンをはじめとする日産のワンボックス乗用ワゴンの伝統だった「コーチ」から、一般的な「ワゴン」に変更されたことを付記しておきたい。

すべてにわたって競合車を凌駕(りょうが)することを目標に開発された「日産NV350キャラバン」。マーケットシェアでも盗難率の高さ(!?)でもトップを独走するハイエースの牙城にどこまで迫ることができるのか、非常に興味深い。

(文=沼田亨)

「日産NV350キャラバン」と日産自動車の志賀俊之最高執行責任者。
「日産NV350キャラバン」と日産自動車の志賀俊之最高執行責任者。 拡大
NV350キャラバン プレミアムGX
NV350キャラバン プレミアムGX 拡大
NV350キャラバン プレミアムGX
NV350キャラバン プレミアムGX 拡大
「NV350キャラバン バン premiumGX」のインテリア。
「NV350キャラバン バン premiumGX」のインテリア。 拡大
メーターパネルの中央には、瞬間燃費、平均燃費、後続可能距離などを表示する車両情報ディスプレイが備わる。また、オプションで設定されるバックビューモニターにもなる。写真は「プレミアムGX」に装備されるカラーディスプレイ。
メーターパネルの中央には、瞬間燃費、平均燃費、後続可能距離などを表示する車両情報ディスプレイが備わる。また、オプションで設定されるバックビューモニターにもなる。写真は「プレミアムGX」に装備されるカラーディスプレイ。 拡大

日産、新型「NV350キャラバン」発売の画像 拡大

日産、新型「NV350キャラバン」発売の画像 拡大
日産、新型「NV350キャラバン」発売の画像 拡大
ボディーカラーは、特別塗装の3色「タイガーアイブラウン」「ブリリアントホワイトパール」「オーロラモーヴ」を含め7色が用意される。
ボディーカラーは、特別塗装の3色「タイガーアイブラウン」「ブリリアントホワイトパール」「オーロラモーヴ」を含め7色が用意される。 拡大
NV350キャラバン ライダー
NV350キャラバン ライダー 拡大

関連キーワード:
NV350キャラバン日産自動車ニュース

あなたにおすすめの記事
関連記事
  • 第425回:「壊れない日本車」はこうして生まれる
    「日産NV350キャラバン」の開発現場を取材
    2017.7.13 エディターから一言 ビジネスユースはもちろん、レジャーや趣味のお供としても高い支持を集める日産のワンボックスカー「NV350キャラバン」。同車の開発を担う日産車体への取材を通し、世界中で支持される「壊れない日本車」の秘密を知った。
  • 日産NV400(FF/6MT)【試乗記】 2014.12.24 試乗記 クルマとはその国の生活と文化を運ぶもの。“グローバル化”が進んでいるとはいえ、その形は同じではない。スペインで生産され、欧州を中心に販売されている大型の商用ワゴン「日産NV400」が持つ世界を、300kmあまりの試乗を通じて味わった。
  • 「ジャパンキャンピングカーショー2017」の会場から 2017.2.3 画像・写真 ユニークなキャンピングカーが一堂に集結。「ジャパンキャンピングカーショー2017」が、千葉県の幕張メッセで開幕した。会場の様子を、各メーカーが出展したキャンピングカーとともに写真でリポートする。
  • 日産小型商用車(LCV)取材会【試乗記】 2016.4.5 試乗記 日産の小型商用車(LCV)がずらりとそろうオールラインナップ試乗会に参加。北米専用のフルサイズピックアップトラックの「タイタンXD」からEVの「e-NV200」まで、今の日産を代表する商用車のステアリングを握った。
  • ヤマハMT-07 ABS(MR/6MT)【レビュー】 2018.6.23 試乗記 「スポーティ&ファンライド」をキャッチコピーに掲げ、ジムカーナでも活躍を見せるヤマハのロードスポーツモデル「MT-07」。高い運動性能と、誰もが気持ちよいライディングを楽しめるドライバビリティーを身上とした一台に触れ、リポーターが感じたこととは?
ホームへ戻る