2012夏の注目ナビ(先進技術搭載ナビ編)

2012.06.01 自動車ニュース
2012夏の注目ナビ(先進技術搭載ナビ編)

2012年夏の注目カーナビ(先進技術搭載ナビ編)

新しいアイデアの登場で、再び活気づいている市販カーナビ。2012年夏モデルにもユニークな発想と、通信機能を活用した新しいサービスや先進技術を搭載するモデルが登場した。

■前方表示と次世代通信 夢の先進技術が形になった

これまでナビ画面はナビ本体の液晶画面で見るものというのが常識だったが、今年ついにその枠を超えて、まったく新しい表示方法を実現したカーナビが登場した。それがカロッツェリアの新サイバーナビ。
本体に液晶モニターはあるが、それとは別に用意したヘッドアップディスプレイを使ってフロントガラス前方に情報を投写するカーナビだ。体験者は賛否それぞれだが、新しいものが登場するときには避けて通れない現象。とにもかくにも革新的な表示方法であることは確か。こと話題性に関しては今年一番のカーナビといって間違いない。

もうひとつ画期的なのが通信の新しい提案。スマートフォンとの連携はもはや決して珍しいものではなくなった。スマートフォンはナビアプリをインストールすればそれ単独でもカーナビとして機能する。しかし、小さい画面では見にくかったり、位置精度などカーナビには及ばない面があるのも確か。
一方で常時パケット通信が可能なスマートフォンはカーナビメーカーにとっても魅力的。そこで今年多くのメーカーが始めたのが、スマートフォンに自前のアプリを組み込んでカーナビと連携させ、リアルタイムに旬な情報を得ること。目指すところは各社それぞれだが、それが各々の個性を引き立たせることになった。
今回「新しい」というのは単に「連携」を通り越してさらなる通信の極みに入り込もうとする超先進ナビの芽ともいうべきクラリオンのテレマティクス対応型カーナビだ。

サイバーナビ「AVIC-VH99HUD」
サイバーの伝統に従って1DIN+1DINのインダッシュモニター仕様も用意される。HUDはいらない、さらにはARスカウターモードも必要ないという人のためのモデルも用意、全7モデルがラインナップを組む。
サイバーナビ「AVIC-VH99HUD」
サイバーの伝統に従って1DIN+1DINのインダッシュモニター仕様も用意される。HUDはいらない、さらにはARスカウターモードも必要ないという人のためのモデルも用意、全7モデルがラインナップを組む。
サイバーナビ「AVIC-ZH99HUD」
サイバーナビ「AVIC-ZH99HUD」

カロッツェリア サイバーナビ「AVIC-VH99HUD/ZH99HUD」

今年のサイバーナビ最大の特徴は「AR_HUDビュー機能」。分かりやすく言えば、フロントガラスの先にナビ情報(この場合「拡張現実情報」という)を映し出す新しい表示方法のこと。パイオニアでは何年もかけて研究開発してきたが、今年ついに製品として送り出すことができた。

これまでドライバーがナビ情報を見るには、車両コンソール等に置かれたナビ本体のディスプレイに視線を移す必要があったが、新サイバーナビでは運転時の視点をそらすことなく、ずっと前方を向いたまま各種情報が得られるというわけだ。映し出される映像は約3メートル前方で像を結ぶため、ドライバーは焦点距離の調整も少なく抑えることができ、安全な走行に寄与できるとしている。

まったく新しい表示方法を可能にしたのは、ドライバーとフロントガラスの間に置かれるヘッドアップディスプレイ(以下HUD)。HUD本体からはメガネ状のスクリーンが前方に伸びそこに像が投影されるのだが、ドライバー席から見ると目線のずっと先に映し出されたかのように像を結ぶため、こうした表示が可能になるのだ。HUDの装着は車両のサンバイザーを外しその取り付け穴を利用して固定され、スクリーンとは別にサンバイザーも小さめながら内蔵されている。

新サイバーナビでルート案内を受けると道案内ルートは道路の上ではなく空の部分に描かれるため、前方風景にあたかも案内ルートが一体化したかのような形で誘導される。HUDに表示されるのはルートの案内ラインだけでなく、交差点名、誘導地点までの距離などナビに関する重要項目のほとんど。
加えて、前を走る車両との車間距離や、前方の赤信号検知など、赤い光を検知してドライバーに注意喚起を与える。これは昨年型サイバーナビから始まったものだが、新型では速度標識の検知も加わった。

実際に見える道路に合わせて案内ルートを引くAR_HUDビュー機能はサイバーナビならではの優れた位置精度があって初めて実現するもの。それを生かした機能は他にもいくつかある。
例えば、開通して間もない、まだ地図に載っていない道路などを走行すると、ナビが地図上に道路を作成する機能などは最たるもの。単に道を描くだけでなくルート探索の対象にもなるので、自宅付近などよく通るエリアに新規道路ができた場合には有用性は高い。

新しい機能としては「パーキングウォッチャー」というのが便利。これは駐車場の混雑状況を頻繁に確認するというもので、混雑情報が取得可能な駐車場(2月末時点で全国約1万7000カ所)を目的地設定した場合、到着するまで混雑状況を随時更新していくというもの。探索当初は空きがあった駐車場でも着いてみたら満車だったとはよくある話。そんなときは到着前に別の駐車場が探せるので慌てることもない。こうした情報はもちろん通信を使うわけで、ほかにもリアルタイム渋滞情報や、ナビに収録された検索データの中に探したい目的地がない場合にサーバーに探しにいくオンライン検索も同様に通信で取得する。

となると気になるのが通信コストだが、サイバーの全7ラインアップのうち上位4モデルには、データ通信専用モジュールが同梱(どうこん)されている。よくあるのは定額制だが、パイオニアはさらに進んで購入後3年間は通信料が無料で利用できるようにした。だからユーザーは安心して上記の便利機能を堪能することができるのである。価格はオープン。「VH99HUD」はモニターがせり出すインダッシュモニター型、「ZH99HUD」は2DIN埋め込み型となる。

クラリオンの次代を担う「NX712」。ハードキーもわかりやすく新設計された。
クラリオンの次代を担う「NX712」。ハードキーもわかりやすく新設計された。
多くの通信アプリに対応していることを示す。左はPC経由で取得する「CARDGET」アプリで、今回「ドライブでタクシー」「ドライブでワリカン」「トイレサーチ」「道の駅サーチ」を新規に用意。
多くの通信アプリに対応していることを示す。左はPC経由で取得する「CARDGET」アプリで、今回「ドライブでタクシー」「ドライブでワリカン」「トイレサーチ」「道の駅サーチ」を新規に用意。
iPhone連携で利用可能なアプリは現在のところ5つ。今後はもっと増やしていくというから楽しみだ。
iPhone連携で利用可能なアプリは現在のところ5つ。今後はもっと増やしていくというから楽しみだ。

クラリオン「NX712」

クラリオン2012年のトップモデルが「NX712」だ。型番から見るとこれまでの「NX711」の発展型かと想像するが、まったくの別物。NX711に冠された「スムーナビ」の文字はNX712の発表資料に一切見られない。というのも、NX712は先進的通信型ナビとしてクラリオンの期待を一気に背負うことになったからだ。

新しい顔のひとつが「スマートフォン連携」。スマートフォン連携とはスマートフォンにインストールしたアプリをカーナビ側から操作しカーナビ画面に表示するものというのが一般的な説明。2012年型カーナビではキーワードになるくらい多くのメーカーが取り入れているが、その目的はそれぞれに異なる。クラリオンでは、車内で楽しめ、ドライブに役立つ、そういった視点に立ち、かつ多くの人が利用するiPhoneに的を絞ってアプリを開発した。

内容は以下のとおり。世界5万局以上のインターネットラジオが車内で楽しめるもの、ニュースや天気予報の最新情報を得るアプリ、FacebookやTwitterの表示や投稿もカーナビからできるといったものだ。そのほか、ユーザーの必要性や好みに応じてアプリを追加することでナビ機能をアップさせられる従来からの独自機能「CARDJET」も新アプリの追加で強化するなど、さまざまな方法でナビの持てる能力を伸ばしていこうというのが、クラリオンのナビに対する新しい取り組み方である。

インターネットを使った機能といえば、使いやすい地図情報サイトとして定評のある「チズルとススム」との連携強化も見逃せない。ドライブ計画から実行、データ蓄積までiPhoneを使って一括管理できるサービス追加がそれだ。オンライン交通情報サービスは従来どおりタクシーの走行データを生かした日立のリアルタイムな交通情報サービスだが、その通信媒体として携帯電話だけでなくUSBモジュールを使った定額制も今回新設定。ヘビーユーザーにはネックとなっていた高い通話料もこれで抑えることが可能となった。

クラリオンならではの機能も枚挙にいとまがない。ユーザーの多国籍化に合わせてすべてのメニュー画面が日・英・韓・中国語の4カ国語切り替えができるようになったほか、従来のユニークな音声誘導も進化。人気声優だけでなく自分や家族、恋人などが録音した音声で誘導案内するところまで来た。

さて、NX712はスマートフォン連携が新しいと解説してきたが、実は潜在能力はもっと高い。というのは、今回のニューモデル発表に先立ち、壮大なテレマティクスサービス「Smart Access」を発表したが、NX712(とその下の「NX612」)はそれにも対応したナビであり、「スマートフォン連携」機能はその一環にすぎない。

Smart Accessとはスマートフォンを通信モジュールとして使い、アプリは接続先のサーバーに置くという本格的クラウド型テレマティクスなのだ。つまり何かを機能させたければ、そのつどサーバーにアクセスしそこで計算したものを端末に落としてくるというもの。その内容はアプリの利用だけでなく、クルマの保守、安全管理やEコールにまで広がるという。クラウドコンピューティングはPCの世界でも先進技術だが、市販カーナビではもちろんクラリオンが初めての試みだ。

何やら夢をかきたてられるシステムだが、現在発表されているのは上記の概念的なものだけで、詳細なサービス内容はまだ決まっていない。6月に北アメリカと日本を皮切りにサービス開始されるというから実像が分かるのももうすぐ。NX712とNX612にはそうした接続インターフェイスが装備されているので、サービスが開始されればいつでも対応可能となる。ぜひとも期待したいところだ。価格はオープン、発売は2012年6月上旬から。

(文=尾澤英彦)

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