2012夏の注目ナビ(人気の大画面ナビ編)

2012.05.31 自動車ニュース
9型まで登場 止まらぬ人気の大画面カーナビ

2012年夏の注目カーナビ(人気の大画面ナビ編)

今年のカーナビはおもしろい! 何年か前はどれも似たり寄ったりの内容で、市販カーナビの未来はあるのかと思ったものだが、ここへ来てどっこい息を吹き返した。市販カーナビを復活させたのは「新しいアイデア」だった。しかもメーカーごとに異なるユニークな発想。それが再び市販カーナビを活気づけた。もちろん地道に本来のナビ機能改善に取り組みメーカーもあるが、2012年前半、カーナビ界に吹いたカーナビの「新しい風」を中心に各メーカー自慢のモデルを3回にわけて紹介していこう。

■9型まで登場 止まらぬ人気の大画面カーナビ

7型が一般的だったこれまでのカーナビ。そんな「標準」サイズを超えた大画面ディスプレイのナビが人気だ。見やすさと操作のしやすさが何より人気の秘密だが、「発明者」アルパインが独占してきた市場に、今年は3メーカーが殴り込みをかけた。

「大画面ナビ」とは通常目につかない筐体(きょうたい)自体は2DINサイズだが、ディスプレイ部分のみそこから大きくはみ出す8インチサイズ、あるいはそれ以上の画面サイズをもつコンソール埋め込み型カーナビのこと。当然のことながら、クルマに装着しようとすればモニター部分はコンソールからはみ出すわけで、そのままではきれいに収めることができない。そこでカーナビメーカーははみ出したサイズにピタリと合った周辺パネルを用意。これを併用すればきれいスッキリと大画面カーナビがコンソールに収まるというわけ。すべてのクルマに対応できているわけではないが、要望が多いとされるミニバン中心に対象車種を広げている。一度大画面を見てしまうと元のサイズには戻れない魔力があるという大画面カーナビ。
今回は大画面の老舗アルパインと、今年からこの世界に参入したパナソニック、イクリプス(富士通テン)から3台をご紹介。

アルパイン自ら、「アルファード、ヴェルファイア専用」とうたう9型ビッグX「VIE-X009」。
2012年夏の注目カーナビ(その1:大画面編)

アルパイン「VIE-X009」

大画面カーナビのブームを作ったのがアルパイン。「ビッグX」の総称で瞬く間にミニバンユーザーに浸透、大いに売り上げを伸ばした。それには理由がある。序章でも書いたが、アルパインは大画面ナビだけを売るのではなく、大柄ボディーに対応した形状のダッシュパネル(別売り)まで用意したところが、多くのユーザーから支持されたのだ。

今年のアルパインが掲げる「○○専用カーナビ」というのは車両デザインにまで意を払っている姿勢を表したもの。パネルの質感だけでなく付けたときに違和感を与えないよう精度の高いパネル設計になっており、まさに「パーフェクトフィット」の名に恥じない仕上がりになっているという。

2012年の新型大画面ナビは9型だ。すでに4モデルから選べる8型ナビは引き続き販売されるが、それとは別に投入される。しかし対応するクルマはさらに限られ、「トヨタ・アルファード/ヴェルファイア」だけだ。2車に絞ったのは物理的なサイズもあるが、車室内空間がある程度大きくないと大画面だけが目立ってしまってアンバランスな仕上がりになってしまうからと説明している。

「VIE-X009」のスペックを説明すると、LEDバックライト付きの9型WVGA液晶を持ち、記録メディアはナビ用と音楽用をそれぞれ16GBのSDHCメモリーカードに分けた32GB仕様。ナビ機能は特に派手な新機能はなくオーソドックスな安心できる表示が売り物である。常に最短ルートはないかと探すルート探索機能はこれまでの経験でも一級品だ。

さらに評価したいのがオーディオ性能のよさ。高級オーディオメーカーらしい大人の音作りはこれまでのどのナビにも生かされているので、このVIE-X009にも継承されているはず。地デジあるいはDVDビデオで音楽ソフトを9型大画面で見たら、きっとこれまでにない感動を覚えるだろう。
VIE-X009の発売は2012年8月下旬から。価格は未定。

「日産セレナ」に装着された状態のパナソニック「CN-L800SED」。
2012年夏の注目カーナビ(その1:大画面編)
「CN-L800SED」の商品構成。パネルは別売ではなく最初から付いてくる。
2012年夏の注目カーナビ(その1:大画面編)
こちらは「ホンダ・ステップワゴン」に装着されたパナソニック「CN-L800STD」。
2012年夏の注目カーナビ(その1:大画面編)

パナソニック Lシリーズ「CN-L800SED/CN-L800STD」

大画面ブームは大手パナソニックも動かした。2月に発売した同社初の8型AVNカーナビは「Lシリーズ」と称され、「日産セレナ」用の「CN-L800SED」と「ホンダ・ステップワゴン」用の「CN-L800STD」をラインナップする。

アルパインと同じく8型ナビにジャストフィットする専用パネルも用意されるが、パナソニックは別売ではなくナビとパネルキットがセットで販売されるところが大きな違いだ。
このパネルだが、両サイドには使用頻度の高いハードキーを配置、さらに意匠的にもオリジナルとは違うデザインを施すなど凝った内容となっている。現在のところ、車種適合パネルは現行のセレナ、ステップワゴンの2車のみ。今後は車種の拡大を図るというが、そのクルマが何であるかは未定だ。

使用する液晶は視認性の高いクリアパネルとLEDバックライトの組み合わせで明るい高画質を特徴としたもの。これは同社の中・上級ナビの「Sシリーズ」および「Hシリーズ」でも採用されている最新の液晶で、それを8型まで拡大したものと解釈すればよい。
ナビ機能の内容も最新機種と変わらない。すなわち、必要なときだけ機能ボタンを呼び出して通常は地図だけ表示する「フルスクリーンマップ」と「ダイレクトランチャー」を搭載する。8型画面に地図だけを展開すれば、紙地図を広げたような見晴らしのよさが味わえるだろう。
また、静電タッチパネルの採用でフリックやドラッグ操作も可能。スマートフォンで操作するのと同じ感覚で地図スクロールやメニューページを探すことができる。

このほか、手をステアリングから離さずに操作できるステアリングスイッチにも対応。セレナとステップワゴンはあらかじめ設定事項がプリセットされているので、装着したその日から使用することができる。また、スマートフォンとの連携も軽快。専用アプリ「おでかけナビサポート ここいこ♪」を使えばスマートフォンで検索した地点をそのままナビに送信、目的地設定してルート探索まで一貫して行うことができる。

「CN-L800STD」の商品構成。専用パネルが用意されるのは、現在のところセレナとこのステップワゴン用のみ。
2012年夏の注目カーナビ(その1:大画面編)

災害対策も万全。地デジ放送の「緊急警報放送」を受信すると警報内容を表示する画面に自動的に切り替えるほか、自車位置から最寄りの広域避難場所を検索。広域避難場所は地図上に点滅で強調表示し、ドライバーの安全な避難を助けてくれる。実勢価格はどちらも17万円前後。

いきなり9型画面で「大画面」に新規参入したイクリプスの「AVN-ZX02i」。
2012年夏の注目カーナビ(その1:大画面編)
「ニンテンドーDS」との連携同様、iPhoneのカメラで前方風景を画面に映しナビする機能も「AVN-ZX02i」の特徴。
2012年夏の注目カーナビ(その1:大画面編)
「Driview」の使用イメージ。実際はiPhoneを見る必要はないので邪魔にならない場所に置けばよいが、もう一方のカメラで後席の様子も見たければこの位置が適切。
2012年夏の注目カーナビ(その1:大画面編)

イクリプス「AVN-ZX02i」

イクリプスも今年から大画面ナビの仲間入りをした。しかも最初のモデルから9型を採用と思い切った作戦だ。驚くのはまだ早い。イクリプスは単に見やすい、操作しやすいという大画面では当たり前の効用に加えて家族で楽しめるゲーム要素も盛り込んできたのだ。

それが「ニンテンドーDS」との連携プレイ。いまや子供のいる家庭で持っていない家はないといわれるほど普及したニンテンドーDSだが、イクリプスでは大画面ナビ「AVN-ZX02i」にDS用カード「クルマでDS」を同梱(どうこん)、カードに内蔵したBluetooth機能を使ってナビと通信する仕組みを作り上げた。ではDSとナビで何をするかといえば、ゲームだ。それも個人で楽しむゲームでなくクルマに乗っている家族全員が楽しめるものを開発。普段会話の少ない家族でもこのゲームに参加すれば大いに盛り上がるそうだ。
たとえば「ご当地クイズ」。ナビからDSに向けて送られる位置情報を元に、そのエリアに即したクイズが出題される。「観光案内」は約2万件の「るるぶDATA」から有名スポットを楽しく案内。そこが気に入れば簡単に目的地設定することもできる。「ナビリモコン機能」も便利だ。DS付属のペンで手書き入力した場所を探すなど、後席に座った子供でもナビ設定に参加することができる。

iPhoneとの連携も独特。イクリプスが作った専用アプリ「Driview」を使えばiPhoneのカメラ機能を使って実風景をナビの子画面に映写、そこにナビ情報を重ねて案内をより分かりやすくすることもできる。また、反対側のカメラで後席を撮影、子供の状況を振り返ることなく確認することもiPhoneとつなげることで可能になる。これなどは大画面のメリットを存分に生かした使い方だと思う。

肝心のナビ機能は細かい部分で改良が加えられ、例えば細街路探索も規制データの収録で可能になったし、地図の更新も高速・有料道路は最短7日で表示および探索が可能となるなど着実に改善されている。イクリプスが誇る直射日光補正技術もさらに改善されて一層見やすい画面となったことも付け加えておく。

9型ナビを取り付けるには専用パネルが必要で、イクリプスでは「トヨタ・アルファード/ヴェルファイア」「トヨタ・プリウス」「ホンダ・フィット」それぞれに取り付けキットを用意している。取り付けキットは本体とは別売だが、どれも2万1000円で統一。AVN-ZX02iはオープン価格。発売は2012年7月上旬から。

(文=尾澤英彦)

この記事の大きな画像を見るためには、画像ギャラリーをご覧ください。