第28回:20年代へGO!! タイムマシンはプジョー式!? − 『ミッドナイト・イン・パリ』
2012.05.24 読んでますカー、観てますカー第28回:20年代へGO!! タイムマシンはプジョー式!? 『ミッドナイト・イン・パリ』
真夜中のパリに現れるクルマ
クルマに乗ってタイムスリップするといっても、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の二番煎じではない。監督は、ウディ・アレンなのだ。SFエンターテインメントなんて撮るわけがない。タイムマシンになるのは「プジョー・ランドレー タイプ184」である。聞き慣れない名前なのは、1920年代のクルマだから当然だ。「デロリアンDMC-12」よりはるかに昔のクルマだから、タイムトラベルの機能は劣る。行き先は1920年代に限られているのだ。
ハリウッドの売れっ子脚本家ギル(オーウェン・ウィルソン)は、婚約者イネズ(レイチェル・マクアダムス)と婚前旅行でパリに来ている。幸せの絶頂のはずだが、このカップルはどうもギクシャクしている。イネズは申し分のない美女ではあるが、オツムのほうは少々安っぽい。世間で流通する価値に何の疑問も抱かず、リッチで安楽な生活を送ることが最上であると信じるマテリアル・ガールなのだ。
それでもパリでの時間を2人で楽しもうとするのだが、偶然イネズの男友達ポール(マイケル・シーン)と出くわしてしまう。こいつがイヤな男で、やたらにウンチクを振り回して悦に入るタイプなのだ。ただの俗物だが、イネズは物事を深く考える習慣がないから、尊敬のまなざしで見つめる。ギルのいら立ちは募るばかりである。
ワインのテイスティングの会でポールがグラスをクルクルさせながら知識をひけらかした後、イネズはダンスをするというので彼についていってしまう。一人残されたギルが街をさまよっていると、0時を告げる時計の鐘が鳴り響く。すると、クラシックなプジョーが現れたのだ。

鈴木 真人
名古屋出身。女性誌編集者、自動車雑誌『NAVI』の編集長を経て、現在はフリーライターとして活躍中。初めて買ったクルマが「アルファ・ロメオ1600ジュニア」で、以後「ホンダS600」、「ダフ44」などを乗り継ぎ、新車購入経験はなし。好きな小説家は、ドストエフスキー、埴谷雄高。好きな映画監督は、タルコフスキー、小津安二郎。
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