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【スペック】全長×全幅×全高=4255×1820×1420mm/ホイールベース=2575mm/車重=1410kg/駆動方式=FF/2リッター直4DOHC16バルブターボ・インタークーラー付き(256ps/6000rpm、33.7kgm/2400-5200rpm)/価格=533万円(テスト車=同じ)

フォルクスワーゲン・シロッコRレカロ(FF/6AT)【試乗記】

ハマるFFスーパーカー 2012.05.06 試乗記 フォルクスワーゲン・シロッコRレカロ(FF/6AT)
……533万円

フォルクスワーゲンのスーパーハッチ「シロッコR」。レカロシートと19インチタイヤのエクストラで、その走りはどう変わったのか。

バケットシートが付く100台限定モデル

「今のワザ、どこでマスターしたの?」
「え?」
「バビューンと一気に加速してきたでしょ。後続車との間隔が広かったから、写真が撮りやすかったよ」
トランシーバーの声の主は、カメラを構えていた荒川カメラマン。いやいや、私じゃなくて、単純に「シロッコR」がスゴいんです。スタートが遅れたから、速攻でフレームイン狙って、アクセルペダルをグイッと踏み込んだだけですから。

シロッコRの加速の凄(すさ)まじさは、想像をはるかに超えていた。背中に大砲を背負ってぶっ飛んだら、こんな感じ? レカロのバケットシートが、体をしっかりとホールドしてくれたからよかったものの、並のシートだったらムチウチ覚悟でしょう!? モンスター級パワーの片りんは、街中を少し走った程度でもすぐに感じとることができた。
「シロッコRは、FFのスーパーカーなんだ!」
その獰猛(どうもう)な走りが、私の胸にするどい爪跡を残していった。

今回試乗した「シロッコRレカロ」は、シロッコRをベースに、レカロ社製バケットタイプのスポーツシートと、ブラック塗装の19インチ大径アルミホイール、フルカラーのマルチファンクションインジケーター、そして初採用となるSDナビゲーションシステムを装備した、100台の限定モデルである。ボディーカラーはホワイトとブラックの2色が用意され、256psの2リッターTSIエンジンと6段DSGとを組み合わせるのはシロッコRと同じ。価格はシロッコRから18万円アップの533万円だ。

フォルクスワーゲン車というと、213万円の「ポロ」からラインナップされていて、輸入車の中でも比較的手ごろな価格で買えるというイメージがある。毎月担当している女性誌の車コラム(読者は主に30歳前後の主婦)でも、ポロや「ゴルフ」は読者の人気モデルだ。

シロッコは、フロントからリアへ、ムニュ〜とボディーを引き伸ばし、上から押しつぶしたようなデザインで、特に白いボディーは「たれぱんだ」を思わせるフレンドリーさがある。それにしても、フォルクスワーゲンのハッチバックモデルに533万円は、ちょっと高いかもしれない……。

トレードマークのレカロ社製フルバケットスポーツシート。シートヒーター付き。
トレードマークのレカロ社製フルバケットスポーツシート。シートヒーター付き。 拡大
後席もバケットタイプのスポーツシートに。50:50の可倒式で、乗車定員は4人。
後席もバケットタイプのスポーツシートに。50:50の可倒式で、乗車定員は4人。 拡大
ブラック塗装の8J×19アルミホイールを装着。235/35R19サイズのタイヤを履く。
ブラック塗装の8J×19アルミホイールを装着。235/35R19サイズのタイヤを履く。 拡大
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こんなに乗り心地がいいなんて!

高価という先入観は、レカロのシートに実際に座り、エンジンをかけた瞬間に吹っ飛んでしまった。アイドリング中や、低速での走行中に発する、「ボボボボボボ……」と耳の詰まるような低い音は、猛獣が獲物を狙っているときのうなり声のようで、どこか「ランボルギーニ・ガヤルド」を思わせる。そういえば、ランボルギーニはフォルクスワーゲン・グループの一員だったっけ。

アクセルペダルを踏み込むと、シロッコRは一気に獰猛な激しさをもって、ドライバーに襲い掛かってくる。その豹変(ひょうへん)ぶりには、思わず身をこわばらせたほどだ。

重心は、地をはうように低く感じられる。一方で19インチの低偏平タイヤを装着していながら、乗り心地はとてもソフト。ゴツゴツとした突き上げも感じさせない。また、アイドリング中でもエンジンの微振動は皆無といってもいい。爆発的なパワーを持ちながら、こんなに乗り心地がいいなんて! シロッコRはこれまでの“スポーツFFハッチバック”の領域をはるかに超えている。

例えば、フェラーリではオプションだけで1000万円以上オーダーする顧客が少なくないと聞くけれど、その“たった半額”、フェラーリのオプションボディーカラー代とフルカーボンファイバーパーツ代だけでFFのスーパーカーが買えるなんて……。さっきは「ちょっと高すぎる」と感じたが、考えようによってはめちゃくちゃ安いのでは? ふと、そんな気がした。

2011年の東京ショーに「シロッコRデザインスタディ」として参考出品された。好評を博し、市販化が決まったという。
2011年の東京ショーに「シロッコRデザインスタディ」として参考出品された。好評を博し、市販化が決まったという。 拡大
メーター内の「マルチファンクションインジケーター」がフルカラー表示になるのが標準型と違うところ。
メーター内の「マルチファンクションインジケーター」がフルカラー表示になるのが標準型と違うところ。
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2リッターターボエンジンは256psを発生する。
2リッターターボエンジンは256psを発生する。 拡大

イス好きにはたまらない

レカロは100年以上の歴史を誇るシートメーカーである。クルマ用のスポーツシートを作っている会社という認識が一般的かもしれないが、実際は航空機や鉄道用のシートから、オフィスの事務用イス、腰痛ケアの整形医学シート、競技場の座席までと、幅広く手がけている。

シロッコRレカロに装備されるスポーツシートはフルバケットタイプで、通常のシートのように大きくリクラインはしない。サイズは大ぶりで、後席へのアクセスがそれなりに悪化するから、後席に人を乗せることはあまり考えないほうがいいかもしれない。

とはいえ、このフィット感は一度座ったら降りたくなくなるほど心地よいものだ。「バスタブをゼリーでいっぱいに満たして、“キュッキュッ”と音がするのを聞いてみたい」という、ちょっと変わった願望を持つ知り合いがいるけれど、そんなフェチっぽい感覚にも似ているかも。一度フルバケットに体がスポッとハマってしまうと、まるでモビルスーツを着ているような気分になって、即戦闘モードのスイッチが入ってしまう。

それにこのシート、私のような腰痛持ちにはとてもありがたい。「点で支えるムアツ布団」じゃないけれど、シート全体で体を支える設計になっているから、膝から腰、背中までフィットしていて疲れない。また、前後スライドのピッチが細かく設定されているのも、イス好きにはたまらない配慮だ。レカロのバケットシートは、一度ハマってしまうとコレなしではいられない、クセになる装備である。

腰にも優しいレカロのフルバケットシートが付いて、FFのスーパーカーとしては533万円とオテゴロな価格。しかも100台限定。聞くところによると、もうすぐ売り切れ間近とか。テレフォンショッピング調にまとめると、みなさん、お早めに!

(文=スーザン史子/写真=荒川正幸)

ダンピングレートを3段階に切り替えられるDCC(アダプティブシャシーコントロール)のおかげで、快適な乗り心地を誇る。
ダンピングレートを3段階に切り替えられるDCC(アダプティブシャシーコントロール)のおかげで、快適な乗り心地を誇る。 拡大
レカロ製バケットシートの表皮はレザーとマイクロファイバーからなる。フィット感の高さが自慢。
レカロ製バケットシートの表皮はレザーとマイクロファイバーからなる。フィット感の高さが自慢。 拡大
ボディーカラーは「ディープブラックパールエフェクト」と「キャンディホワイト」の2色が用意される。
ボディーカラーは「ディープブラックパールエフェクト」と「キャンディホワイト」の2色が用意される。 拡大

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シロッコフォルクスワーゲン試乗記

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