フェラーリの中国戦略をインタビュー【北京モーターショー2012】

2012.05.01 自動車ニュース
コマーシャル&マーケティング担当上級副社長のエンリコ・ガリエラ氏。
フェラーリのマーケティング担当役員にインタビュー【北京モーターショー2012】

【北京モーターショー2012】フェラーリのマーケティング担当役員にインタビュー

2012年4月23日に開幕した北京モーターショー。フェラーリは、2011年の中国での販売台数が過去最高を記録し、国別の販売台数でドイツを抜いてアメリカに次ぐ第2位になったことを発表。また、次世代V型12気筒エンジンを搭載した「F12ベルリネッタ」をアジア初公開した。フェラーリの中国戦略について、コマーシャル&マーケティング担当上級副社長のエンリコ・ガリエラ氏に聞いた。

北京ショーでアジア初公開された「F12ベルリネッタ」
フェラーリのマーケティング担当役員にインタビュー【北京モーターショー2012】
プレス発表会でスピーチするアメデオ・フェリーザCEO
フェラーリのマーケティング担当役員にインタビュー【北京モーターショー2012】

■大中華圏の販売は前年比70%増

――中国市場での販売状況について教えてください。

フェラーリは1992年に中国本土での販売をスタートし、今年ちょうど20周年を迎えました。2011年は中国本土で500台、香港やマカオ、台湾を加えた大中華圏(グレーターチャイナ)では777台と過去最高のセールスを記録。前年比の伸び率は70%に達しました。
昨年は全世界のセールスも過去最高を更新しましたが、それが7300台ですから、大中華圏だけで10%を超えました。フェラーリにとって、中国は極めて重要な成長市場といえます。

――欧米や日本と比較して、中国市場にはどんな特徴がありますか。

フェラーリにとって中国はまだ新しい市場です。われわれの伝統的に重要な市場である欧米や日本と比べると、中国の顧客の間ではフェラーリのブランド、ビジネス、プロダクトなどに対する知識が十分確立していません。
ゆえに、中国市場に対するわれわれの戦略は、伝統的市場とはおのずから違ったものになります。フェラーリというブランドの認知度を高めると同時に、「他のブランドとは何が違うのか」を明確に伝えることが極めて重要です。世界にはポルシェやランボルギーニなど素晴らしいスポーツカーがたくさんあります。それらとフェラーリがどう違うのかを、中国の顧客にはっきり伝えなければならない。なぜなら、フェラーリは単なる「ハイパフォーマンスカー」ではなく、そのブランドと一体化した“文化”そのものだからです。
そこで、本社のあるイタリアのマラネロ以外では初の公式ミュージアムを上海に作ったり、さまざまなイベントを開いたりして、中国の顧客にフェラーリというブランドを深く知ってもらい、「フェラーリを所有するとはどういうことか」を理解してもらう活動に取り組んでいます。

「458イタリア」の中国限定モデル
フェラーリのマーケティング担当役員にインタビュー【北京モーターショー2012】

フェラーリのマーケティング担当役員にインタビュー【北京モーターショー2012】
「フェラーリ・カリフォルニア」
フェラーリのマーケティング担当役員にインタビュー【北京モーターショー2012】

■SUVを出す計画はなし

――4月10日に「458イタリア」の中国向け限定モデルを発表しました。しかし北京ショーのブースには展示されていませんね。

われわれは特定の国や市場に向けた限定モデルはめったに出しません。今回、中国で出すことにした理由は、やはり20周年という節目であること。そして、中国は新しい市場であり、いわゆる「コレクター」の市場がまだ小さいことです。
このクルマは中国のコレクターに向けたものであり、中国語の「龍馬(ロンマー)」のイメージでデザインしました。すなわち、中国を象徴する「ドラゴン」とフェラーリの象徴である「跳ね馬」のかけ合わせです。中国では「龍馬」という言葉は活力、繁栄、情熱を意味します。これはフェラーリが顧客に伝えたいメッセージそのものと言えます。
北京ショーで展示していないのは、われわれのプロダクト戦略の一環です。このような特別な限定モデルは選ばれたコレクター向けであって、一般向けには公開しません。

――中国では「ポルシェ・カイエン」などの高級SUVが飛ぶように売れています。今回の北京ショーではランボルギーニも新型SUV「ウルス」を初公開しました。フェラーリはSUVを出す計画はありませんか。

その答えはノーです。われわれは今やSUVを出さない唯一のメーカーになってしまった感がありますが、やはりフェラーリにはやるべき事とやってはならない事の“教義”(ドグマ)があり、創業者の思いがバックボーンになっています。われわれはそれを尊重し、大切に守っているのです。
もちろん、SUVを求める声が市場にあることは承知しています。しかし現在のフェラーリは、過去にないほど幅広い製品ラインナップを有しています。「458イタリア」はハイパフォーマンスでアグレッシブなフェラーリの象徴ですし、北京ショーでアジア初公開した「F12」は、伝統の12気筒エンジンを搭載した新しいフラッグシップです。その一方、2+2でファミリーユースにも使える「カリフォルニア」や、家族や友人と楽しみを分かち合える新コンセプトの4シーター「FF」もあります。現時点では、ラインナップはこれで十分だと考えています。

(インタビューと写真=岩村宏水)

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