日本メーカーのブース紹介【北京モーターショー2012】

2012.04.25 自動車ニュース
トヨタは、ブースの真ん中に「86」を置き“走りのトヨタ”をアピール。
日本メーカーのブース紹介【北京モーターショー2012】

【北京モーターショー2012】日本メーカーのブース紹介

世界最大の自動車市場となった中国で、2012年4月23日に開幕した北京モーターショー。日本車は、現地でどのように紹介されたのか? 会場の様子をリポートする。

トヨタのハイブリッドコンセプト「雲動双擎(ユンドンショワンチン)」。
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■ズレを感じるエコカー攻勢

当然といえば当然なのだが、日本メーカーの展示はお家芸のエコカーが主役だった。トヨタとホンダは中国市場向けハイブリッド車のコンセプトモデル。日産は電気自動車(EV)。マツダは低燃費技術のスカイアクティブという具合だ。
しかし開幕の記事でも触れたように、今回の北京ショーで現地メディアの注目度が最も高かったのはSUVだった。もちろんエコカーも良いのだけれど、日本メーカーからはコンセプトモデルを含めて新型SUVの発表がなく、何となく埋没感があったのは残念だった。

日産が中国に先行投入する新型「シルフィ」。
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「ヴェヌーシア D50」。日本円にして約88万円という、驚きの低価格を実現した。
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■中国で一番売れている日本車は日産車

それはさておき、日本メーカーのなかで最も勢いがあったのは日産だ。意外に思われるかもしれないが、中国でいま一番売れている日本車は日産車なのである。2011年は現地生産の乗用車だけで88万台以上を販売。トヨタ(同約81万台)を追い抜き、ホンダ(同約62万台)を大きく引き離している。

北京ショーのプレス発表会ではカルロス・ゴーン社長が壇上に立ち、小型セダン新型「シルフィ」を初公開した。中国市場で先行発売した後、世界各地に投入されるグローバル戦略モデルで、将来は約120カ国で販売する。日産の中国重視を象徴するモデルだ。ちなみに日本メーカーによる市販車のワールドプレミアはシルフィが唯一で、他はコンセプトモデルばかりだった。

日産関連でもう1つ目立っていたのが、今年から展開する中国専用の第2ブランド「ヴェヌーシア(中国名:啓辰)」。第一弾の小型セダン「D50」は2011年11月の広州モーターショーで公開済みだが、驚いたのは今回の北京ショーで発表されたその価格だ。ベースモデル(排気量1600cc、手動変速)は6万7800元(約88万円)と、中国メーカー並みの低価格を実現した。日産関係者によれば「部品調達のローカル化を徹底した結果、この値段でも利益を出せる」という。見た目は何の変哲もないが、中身は相当気合が入ったクルマなのだ。

ホンダの「コンセプトC」(写真手前)と「コンセプトS」。
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こちらは、ホンダの新ブランド「思銘」。旧型「シビック」のバッジを変えたモデルである。
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■ホンダの展示はちょっとちくはぐ

トヨタはハイブリッド車のコンセプトモデル「雲動双擎(ユンドンショワンチン)」と、小型車のコンセプトモデル「ディア チン」を初公開。雲動双は、トヨタが中国の研究開発センターで開発を進めているハイブリッド・コンポーネントの搭載を前提にデザインされたという。一方、展示ブースの一番手前中央の目立つ位置にスポーツカー「86」を置き、エコだけでなく「走りのトヨタ」もアピールしていたのが印象的だった。モータースポーツへの思い入れが深い豊田章男社長の意向が反映されたのかもしれない。

ホンダブースの売り物は、高級セダンのコンセプトモデル「コンセプトC」とミニバンのコンセプトモデル「コンセプトS」の2台。どちらも世界初公開で、2013年に中国の合弁会社から発売予定の市販車をイメージしたものだ。コンセプトSにはハイブリッド・システムが搭載される。

この2台を除くと、ホンダの展示にはちょっとちくはぐな印象があった。合弁会社の広汽ホンダの「独自ブランド」として鳴り物入りでスタートした「理念」は、昨年発売された第一弾の「S1」がブースの隅にひっそり置かれていただけで、新型車もコンセプトモデルもなし。今回の北京ショーでは、もう1つの合弁会社である東風ホンダの独自ブランド「思銘」の立ち上げも発表された。ところが、展示されていた車両はどうやら旧型「シビック」のバッジを付け替えただけ。せっかくの新ブランドなのだから、もう少し本気を見せてほしかった。

三菱は、新型「アウトランダー」をアジア初公開した。
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「スバル・レガシィ」。バンパーなどが中国専用デザインになっている。
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■中国人の耳目を引く演出が欲しい

マツダは日本で発売されたばかりの小型SUV「CX-5」を中心に展示。当初は日本から輸出するが、来年からは中国の合弁会社で現地生産する。自慢のスカイアクティブを取り入れた低燃費エンジンも現地生産して搭載する。三菱自動車は3月のジュネーブショーで発表した小型SUVの新型「アウトランダー」をアジア初公開した。

スズキは、昨年の東京モーターショーで発表したコンパクトカーのコンセプトモデル「G70」とEVコンセプトモデルの「スイフト レンジエクステンダー」を持ち込んだ。スバルは主力車種「レガシィ」の中国仕様の2013年モデルを発表。前後バンパーなど外装の一部が「中国専用デザイン」だそうだが、ぱっと見どこが違うのかよくわからなかった。

総じて言うと、日本メーカーのブースは日産を除けばどことなく既視感が漂い、インパクトに欠けていたと思う。前回の北京ショーでも同じことを感じたけれど、ハイブリッドなどせっかく世界に誇るエコカー技術があるのに、もっと中国の人々の耳目を引く演出は工夫できなかったのだろうか。実にもったいない気がしてならない。

(文と写真=岩村宏水)

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