【語ってくれた人】古山淳一(ふるやま じゅんいち)さん/1979年にトヨタ自動車入社。シャシー設計部を経て、1989年に製品企画へ異動。ピックアップからコンパクトカーに至るまで幅広い車種の企画に携わる。2008年にレクサス本部(現Lexus International)に移り、ISの企画を手掛ける。愛車は「IS250“Fスポーツ”」。

レクサスIS【開発者インタビュー】

欧州のディーゼルに勝つ 2013.04.20 試乗記 <開発者インタビュー>
古山淳一さん
Lexus International
チーフエンジニア

大胆な“顔”に生まれ変わった新型「レクサスIS」。その大きな見どころにハイブリッドモデルの登場がある。「ディーゼルエンジンのライバルに勝つ」と意気込む古山チーフエンジニアに、開発の狙いを聞いた。

“ハイブリッドくささ”を消す

――ラインナップが豊富な新型「IS」の中でも、注目は新たに追加されたハイブリッドモデルだと思います。やはりISにもハイブリッドが必要だったのでしょうか?

スポーツセダンであるISにハイブリッドモデルを設けることには異論もありました。そもそもISとハイブリッドシステムは馴染(なじ)むのか、というわけです。私自身にも迷いがなかったわけではありません。確かにライバルの中には、いわゆるパワーハイブリッドのスポーティーモデルもありますが、燃費は必ずしも良くない。レクサスとしては燃費でもエミッションでもディーゼル車に負けない。エコとエモーションを両立させるハイブリッドを目指したい。そこで、圧倒的なパワーを志向するのではなく、ステアリングフィールやハンドリングなどダイナミック性能でスポーティーさを追求したハイブリッドを作ろうと考えました。その意味でハイブリッドの「300h」は新型ISを象徴するモデルだと思います。

――従来のISにはディーゼルモデルもラインナップされていましたが、新型ではなくなり、その代わりにハイブリッドという位置づけですね。

レクサスはもともとハイブリッドをブランド戦略の大きな柱に据えて来ました。ただご存じのように、ISはレクサスの中で唯一、ディーゼルモデルを欧州で販売していましたから、引き続きラインナップするという判断もありました。しかしながら、今後ますます厳しくなるエミッション規制やCO2削減といった課題を考えると、やはりハイブリッドが適しているだろうと決断したのです。そのためにはパワー志向の「GS」用のシステムではなく、ISクラスにフィットするシステム、すなわち後輪駆動プラットフォームに搭載できるコンパクトなハイブリッドシステムを開発することになりました。

――新型ハイブリッドで最新のディーゼルを積んだライバルとも直接勝負するということですか?

欧州でディーゼルエンジンのライバルに勝つのが主眼です。そのためにはバッテリーを積んでいるからラゲッジスペースが狭くなって申し訳ありません、ということでは済まない。これまでは優れた燃費に免じて、ハイブリッドの弱点をある程度大目に見てもらっていたかもしれませんが、今回は徹底的に“ハイブリッドくささ”を消すことに取り組みました。
例えば、ラゲッジスペースはガソリン車と同じように広くて使いやすく、加速感もブレーキのフィーリングも言い訳が要らないように努めました。回生ブレーキゆえの不自然さはほとんど感じられないはずです。まあ、モーターの音は聞こえますが、目隠しして乗ったらわからないレベルを狙いました。そうでなければヨーロッパでは勝負になりません。
その上で、環境性能とエモーショナルな性能を両立させる方法論として、ハイブリッドに「Fスポーツ」があってもいいじゃないかと、あえて設定しました。燃費だけを追求するなら、もう少し違う方向性もあったとは思いますが、ハイブリッドのポテンシャルを生かしながら走る楽しさも同時に追求するために、ドライブモードを採用しました。


レクサスIS【開発者インタビュー】
国内では今年3月から注文を受け付けており、現時点でその7割がハイブリッドという。
レクサスIS【開発者インタビュー】
「IS300h」には2.5リッター直4とモーターを組み合わせたハイブリッドシステムが搭載される。システム最高出力は220ps。
レクサスIS【開発者インタビュー】
駆動用のニッケル水素バッテリーは、客室との隔壁付近ではなく、ラゲッジルームのフロア下に収まる。そのおかげでガソリン車と同等の実用性と容量(450リッター)を得ている。
レクサスIS【開発者インタビュー】

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