モンスター田嶋、EVで「パイクスピーク」に参戦

2012.03.28 自動車ニュース
田島氏を挟んで右はチーム総監督の福武總一郎氏、左は応援団長を務めるNTN代表取締役会長の鈴木泰信氏。
モンスター田嶋、EVで「パイクスピーク」に参戦

モンスター田嶋、EVで「パイクスピーク」に参戦

毎年夏に米コロラド州で開催される「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム」で6連勝を含む通算7勝を記録している「モンスター田嶋」ことレーシングドライバー田嶋伸博氏が、今年は電気自動車(EV)で挑戦することを発表した。

田嶋伸博氏。
モンスター田嶋、EVで「パイクスピーク」に参戦
昨年の優勝トロフィーと活躍を伝える現地の新聞記事。
モンスター田嶋、EVで「パイクスピーク」に参戦
昨年のパイクスピークで新記録で優勝したガソリンエンジン搭載マシン。
モンスター田嶋、EVで「パイクスピーク」に参戦

■勝つことだけが目標ではない

「パイクスピーク」は1916年に第1回が開催され、現存するモータースポーツでは「インディ500マイルレース」に次いで長い歴史を誇るカーレース。約1400mもの標高差を一気に駆け上がるという過酷な内容でも知られる。田嶋氏は1988年からこのヒルクライムに挑み、昨年は9分51秒278のコースレコードを樹立した。

ではなぜ田嶋選手はEVで挑むのか。2年前の6月に設立された「電気自動車普及協議会(APEV)」の存在が大きい。APEVは、地球環境の保全と持続可能な社会の実現のためにEVの普及促進を目指す会で、ベネッセホールディングス取締役会長の福武總一郎氏が会長を務めている。
タジマモーターコーポレーション代表取締役会長兼社長というビジネスマンとしての顔も持つ田嶋氏は、設立当初からAPEVに参加し、現在は代表幹事を務めている。タジマモーターコーポレーションではミニカー(原付4輪)規格のスポーツEVも製造販売している。
こうした経歴を持つだけあって、現在61歳の田嶋氏は少し前から、「60歳になったらエンジンからモーターにスイッチして挑戦したい」と考えていたそうだ。その気持ちが今年、実現に結び付いた。

APEVとタジマモーターコーポレーションは今回、パイクスピークEVチャレンジ実行委員会を組織し、「Team APEV with モンスタースポーツ」として、2012年7月のヒルクライムに参戦する。
ただ勝つことだけが目標ではなく、EVでの挑戦によって地球温暖化対策をアピールする環境プロジェクト、小学生向けの学習コンテンツなどからなるジュニアプロジェクト、講演会や映像提供などのシニアプロジェクト、そして東日本大震災の被災地域でのイベントやシンポジウムを核とした被災地支援プロジェクトと、合計5つの活動を盛り込んでいる。

マシンは今回、イラストのみでの発表だったが、重いバッテリーをコクピット左右、モーターを前後に置いた4輪駆動で、重量を抑えるためにチューブラーフレームはアルミ、ボディーはカーボンファイバーとし、ステアリングなどのパーツにも可能な限りこれら軽量素材を投入するという。

マシンの完成予想イラスト。
モンスター田嶋、EVで「パイクスピーク」に参戦
マシンに搭載される三菱重工業製リチウムイオン電池「MliX」。
モンスター田嶋、EVで「パイクスピーク」に参戦
会場に展示されたSIM-Drive製EV「SIM-LEI」(手前)と、ベネッセこどもちゃれんじ20周年記念の「しまじろうカー」。
モンスター田嶋、EVで「パイクスピーク」に参戦

ちなみにリチウムイオン電池は三菱重工業製で、その他GoPro(ビデオカメラ)、NTN(CVジョイント、ベアリング)、ベネッセホールディングス(教育、生活支援、介護、語学)、SIM-Drive(技術協力)、住友ゴム工業(タイヤ)、タジマモーターコーポレーション(車両設計製作、チーム運営)、KTC(工具)がパートナー企業に名を連ねている。
さらにJTBでは、今回のヒルクライムを観戦する4泊6日の旅行ツアーを企画した。7月5日出発で、代金は19万8000円。田嶋氏との交流会や、オリジナルツアーグッズのプレゼントなどが予定されており、代金の一部は被災地支援プロジェクトに活用されるという。

今年のパイクスピークには、すでにトヨタや三菱自動車もEVでの参戦を発表している。そんな中、動力をエンジンからモーターに代えたタイトルホルダー、モンスター田嶋がどう挑むのか。例年以上に気になる一戦になりそうだ。

(文と写真=森口将之)

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