三菱、バッテリー損傷の原因を人為的ミスと特定

2013.04.24 自動車ニュース
記者会見に臨む顔ぶれは4月10日の中間報告の際と同じで、三菱自動車の中尾龍吾常務取締役(左)と大道正夫常務執行役員(右)の2人。

三菱、駆動用バッテリー損傷の原因を検査工程の人為ミスと特定

三菱自動車は2013年4月24日、3月下旬に発生した駆動用バッテリーの不具合について、調査結果を公表。その原因が、生産現場における「スクリーニング」と呼ばれる検査工程にあったと結論付けた。

中尾氏はスクリーニング検査について「人為的ミスを誘発する工程であったことは反省したい」とコメント。車載状態におけるバッテリーの安全性について問われると、4月10日の記者会見と同じく「今回のような不具合が発生する可能性はない」と回答した。

■走行用バッテリーがショート・溶損

既報の通り、この不具合は電池セルの異常発熱によりバッテリーパックの一部が溶ける(溶損)というもの。2013年3月21日に、神奈川県の登録納車前の「アウトランダーPHEV」で発生が確認され、その後、東京と岐阜でも電池セルのショート(短絡)による不具合が1件ずつ確認された。
またアウトランダーPHEVの他、「i-MiEV」「ミニキャブMiEV」用のバッテリーでも不具合が発生。岡山県の水島製作所において、車両搭載前の検査で16kWh仕様のバッテリーパックが発煙・発火するトラブルが起きていた。

これらのトラブルについて、三菱はリチウムイオンバッテリーのサプライヤーであるリチウムエナジージャパン、GSユアサと3社共同で調査を実施。4月10日の中間報告の段階では、「『スクリーニング』と呼ばれる検査工程で、想定以上の衝撃がバッテリーに加わったのが原因のひとつではないか」と見解を述べていた。


■原因は不純物の混入を検出する検査工程に

スクリーニングとは、専用の機械で電池セルに振動を加え、内部に異物が混入しているセルを検出する検査のこと。中間報告の段階では、セルを検査機にセットする際に、過度な衝撃が加わったことと、その他の複合的な要因が重なって今回の不具合につながったのではないかと考えられていた。

その後、生産現場の記録により、検査機に電池セルをセットする際に作業員がセルを床に落としたケースがあると発覚。このケースを想定して300個のセルを試作し、充電試験を行ったところ、3月に発生した溶損と同じ現象の再現に成功。不具合の原因特定につながった。

このほかにも、今回の調査では、同じくスクリーニング検査による不具合の原因として、負極に使われる銅製の部品が欠け、バッテリー内に落ちる現象(銅コンタミ)を原因として特定した。
これは岐阜で発生した短絡トラブルの原因として考えられているもので、通常は2.5G以下の振動で行われるはずのスクリーニング検査において、その4倍以上のGがかけられていたケースがあったことが発覚。過度の衝撃を加えながらセルを検査機にセットし、同様の振動Gを加えたセルを100個試作したところ、1つのセルでこの現象を確認した。

なお、不具合が発生した4つのバッテリーについて、実際に床に落とされたり、過度な振動で検査を受けたりしていたという事実は確認されていない。
しかし三菱では、他のケースを想定して試作したバッテリーセルでは短絡、溶損を確認できなかったこと、スクリーニング工程を導入する以前には、こうしたトラブルが一切なかったことから、この検査工程が不具合の原因であると結論付けた。


■リコール申請は5月を予定

今回の調査結果を受け、3社はリチウムイオンバッテリーの製造におけるスクリーニング検査を廃止。バッテリー内への異物混入については、集じん設備の強化などによる製造現場のクリーン化、エイジング検査(バッテリーを一定期間放置し、沈殿物の有無で不純物の混入を確かめる検査)にかける時間を倍にするなどの方法で対処すると発表した。

今後は、4月の連休明けをめどに改善策の有効性を検証、5月にはリコールを申請する予定としている。リコールの内容は電池パックアッシーの交換で、対象となるのはすでに販売済みのアウトランダーPHEVが4305台、スクリーニング検査導入後に製造された電気自動車が115台の、計4420台となる見込みだ。

(webCG 堀田)

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