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MINIクーパーS ペースマン ALL4(4WD/6AT)

ファミリーカーにも色気を 2013.06.17 試乗記 MINI 7番目の兄弟「ペースマン」に箱根で試乗。一見、カテゴライズが難しいモデルだが、ファミリーカーとして使えば、こんな“効能”が期待できるかもしれない!?

少々“難解”な新顔

もう驚かないが、またMINIが増えた。ハッチバックを皮切りに、ワゴン化した「クラブマン」、4シーターオープンの「コンバーチブル」、2シーターオープンの「ロードスター」、そのフィクストヘッド版の「クーペ」ときて、ボディーを拡大して初の4ドア(5ドア)であり、初の4WDである(もある)「クロスオーバー」が登場したところで一段落かと思いきや、ダメ押し気味に「ペースマン」が出てきた。

イギリスをはじめとするコモンウェルスで盛んなクリケットで速い球を投げる選手をペースマンというらしいが、それが由来かどうかはわからない。

クロスオーバーをベースに、わざわざ4ドア化したのにまた2ドア(3ドア)に戻し、ルーフを後ろ下がりにスラントさせた、カテゴライズの難しいモデルだ。やはり(車名じゃなくカテゴリーとしての)クロスオーバーの一種だろうか。大ヒット中の「レンジローバー イヴォーク」は、2ドアは4ドアに比べルーフが低く、4ドアを「イヴォーク」、2ドアを「イヴォーク クーペ」と呼ぶが、手法としてはあれと一緒。

ペースマンのエンジンは、日本ではすべてガソリンで、1.6リッター直4の「クーパー」、同ターボの「クーパーS」と4WDの「クーパーS ALL4」、そしてチューンを高めた「ジョンクーパーワークス」(4WD)の4モデルがラインナップされる。試乗したクーパーS ALL4は396万円で、価格でいうと2番目に高いペースマンだ。FWDの「クーパーS ペースマン」は375万円なので、4WD代は21万円。

MINIラインナップ7番目のモデルとなる「ペースマン」。日本では2013年の3月2日(ミニの日)に発売された。
MINIラインナップ7番目のモデルとなる「ペースマン」。日本では2013年の3月2日(ミニの日)に発売された。 拡大
大きなセンターメーターはMINIファミリーのトレードマーク。センターコンソールの代わりに、ドリンクホルダーなどが固定できる「センターレール」が設置される。
大きなセンターメーターはMINIファミリーのトレードマーク。センターコンソールの代わりに、ドリンクホルダーなどが固定できる「センターレール」が設置される。 拡大
1.6リッター直4ツインスクロールターボは184psと24.5kgmを発生する
1.6リッター直4ツインスクロールターボは184psと24.5kgmを発生する 拡大

山道ではおおらか

まず4WDの話をすると、ペースマン及びクロスオーバーに搭載されるALL4システムは、シーンに応じて前後トルク配分はバリアブルに変化する。ただ、単に通常はFWDで、前輪が滑ったらリアにトルクが配分されるというわけではなく、スタート時は前後50対50に配分され、高速になるにつれて前輪へのトルク配分が増えていくという。スタート時にリアにトルクを少しだけ配分するオンデマンド式4WDシステムを採用するクルマは他にもあるが、ALL4のシステムは、4WDらしい4WDシステム(!?)といえる。ただし、このことは試乗後に知ったくらいで、今回の試乗ではこの特徴に気づくことはできなかった。ミューが低かったり悪天候で不安定だったりする場合にありがたく思うはずだ。

大柄ボディーに4WDシステムが追加されるため、クーパーS ペースマン ALL4は1460kgある。ハッチバックのクーパーSに比べ、220kgも重い。最高出力184ps/5500rpm、最大トルク24.5kgm(アクセルをガバっと踏むと短時間のみオーバーブーストされて26.5kgm)/1600-5000rpmというパワースペックは同じなので、数値上、ハッチバックのほうが機敏なはずだ。

ただ、実際に乗って感じるのは、重さより重心の高さ。箱根のターンパイクを頑張っちゃうようなペースだと、ペースマンはコーナーで結構なロールを許す。ロール自体はあってしかるべきなのだが、コーナーの途中で路面にうねりでもあると、大きめの姿勢変化が起こるので、こういうものだとペースをつかむまでは、不安を覚える。どうしてもペースマンでカッ飛びたい人は、プラス70万円を支払って、もっとパワフルだが足も引き締められるジョンクーパーワークスを買おう。


MINIクーパーS ペースマン ALL4(4WD/6AT)【試乗記】の画像 拡大
サイドクッションが大型化されたスポーツシートが備わる。試乗車にはオプションの「レザーラウンジシート」(26万8000円)が装着されていた。
サイドクッションが大型化されたスポーツシートが備わる。試乗車にはオプションの「レザーラウンジシート」(26万8000円)が装着されていた。 拡大
「ペースマン」の後席は“ラウンジリアシートコンセプト”に基づき、独立2座式となる。「前席と同じ快適さ」とうたわれる。
「ペースマン」の後席は“ラウンジリアシートコンセプト”に基づき、独立2座式となる。「前席と同じ快適さ」とうたわれる。 拡大
ラゲッジスペースの容量は後席を起こした状態で330リッター。後席は分割可倒式。(クリックするとシートの倒れる様子が見られます)
ラゲッジスペースの容量は後席を起こした状態で330リッター。後席は分割可倒式。(クリックするとシートの倒れる様子が見られます) 拡大

こんな風景にピタリとハマる

もう何種類のMINIとプジョー/シトロエンで乗ったかわからない1.6リッター・ターボエンジンは熟成の域にあり、回転はまあまあスムーズで、6ATとの相性もばっちり。効率の高いエンジンだが、4WDで大柄ボディーということもあり、クーパーS ペースマン ALL4だとJC08モード燃費は12.3km/リッターにとどまる。

試乗車には標準装着の205/55R17ではなく、オプションの225/40R19サイズのタイヤが装着されていたが、街乗りの乗り心地は良好で、不満なし。もしかすると標準タイヤはもっと乗り心地がよいかもしれないが、ペースマンは明らかに大径のタイヤ&ホイールが似合うデザインだから、リプレイスに金がかかろうとも、オーナーの方々は、ぜひ大きなタイヤで見栄(みえ)をはってほしい。

例えば。子供ふたりのハッチバックMINIのオーナー。子供はだんだん成長し、最近では「もう少し広いクルマがいい」と言いだした。そのくせ4ドアセダンやミニバンを見せたら「こんなのイヤだー」の大合唱。年頃の子供は何かのきっかけで一緒にクルマに乗ってくれなくなるという。いつかはそういう時がくるにせよ、もう少し一緒にいろいろ出掛けたいので、多少の色気を保ちつつ、大人2人と子供2人、プラス多少の荷物を飲み込むクルマが必要……という、どこにでもありそうな家族の風景にペースマンはピタリとハマる。もちろん、独身貴族もどうぞ。

(文=塩見 智/写真=高橋信宏)


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標準のタイヤサイズは205/55R17。テスト車にはオプションの19インチが装着されていた。
標準のタイヤサイズは205/55R17。テスト車にはオプションの19インチが装着されていた。 拡大

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テスト車のデータ

MINIクーパーS ペースマン ALL4

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4125×1785×1530mm
ホイールベース:2595mm
車重:1460kg
駆動方式:4WD
エンジン:1.6リッター直4 DOHC 16バルブターボ
トランスミッション:6段AT
最高出力:184ps(135kW)/5500rpm
最大トルク:24.5kgm(240Nm)/1600-5000rpm
タイヤ:(前)225/40R19 89W/(後)225/40R19 89W(ピレリPゼロ<ランフラット>)
燃費:12.3km/リッター(JC08モード)
価格:396万円/テスト車=493万2000円
オプション装備:マルチファンクションステアリング(3万5000円)/ランフラットタイヤ(1万8000円)/Yスポークスタイルライト・アンスラサイト(7.5J×19ホイール+225/40R19タイヤ)(27万円)/クロームライン・インテリア(2万2000円)/クロームライン・エクステリア(2万8000円)/ブラックリフレクターヘッドライト(2万5000円)/ヘッドライナー・アンスラサイト(2万8000円)/インテリアサーフェス(ピアノブラック)(2万2000円)/コクピットサーフェス(ピアノブラック)(2万6000円)/スポーツボタン(3万円)/ナビゲーションパッケージ(14万5000円)/レザーラウンジシート(26万8000円)/メタリックペイント(ブリリアントコッパー)(5万5000円)

テスト車の年式:2013年型
テスト車の走行距離:3455km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(1)/高速道路(7)/山岳路(2)
テスト距離:241.2km
使用燃料:--リッター
参考燃費:10.5km/リッター(車載燃費計計測値)

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