素材の力で未来の自動車用シートを試作

2013.07.09 自動車ニュース
トヨタ紡織の応募作品である「Aptus」

素材の力で未来の自動車用シートを試作

トヨタ紡織は2013年7月8日、独BASFが開催した自動車用シートのデザインコンペティション「sit down, move」において、同社の応募作品「Aptus(アプタス)」が特別賞を受賞したと発表した。今後はBASFと共同で、Aptusのコンセプトを盛り込んだ自動車用シートの開発に着手。プロトタイプを試作するとしている。

デザインコンペ「sit down, move」の審査風景。審査員の奥山清行氏が手にしているのは、優秀賞を受賞したPantila Debhakam氏の「Orb」。
最優秀賞を受賞したSong Wei Teo氏の「Leaf Chair」。

■BASFのデザインコンペで特別賞を受賞

「sit down, move」は、ドイツの総合化学メーカーであるBASFが主催した、初のグローバルデザインコンペティションである。開催の発表は2012年10月18日で、以降2013年1月30日の締め切りまでに、世界34カ国から178作品がエントリー。工業デザイナーのコンスタンチン・グルチッチ氏や、奥山清行氏、自動車デザイナーのデーブ・リオン氏ら6人の審査員が、最優秀作品と2つの優秀作品を選出した。

同時に、最優秀作品や優秀作品のほかにもすぐれた応募作品が数多くあったことから、審査員は最優秀賞、優秀賞とは別に、「素材活用度」「色彩と装飾」「ビジュアル化」という3つのテーマで特別賞を設定。受賞者の発表は2013年3月5日、ジュネーブモーターショーにおいて行われた。

最優秀作品賞は英国コベントリー大学のSong Wei Teo氏、優秀作品賞は米国デトロイトCollege of Creative StudiesのJoonyoung Kim氏、ならびにタイのデザイン会社であるshakes bkkのPantila Debhakam氏が受賞。国は違えど、3つの賞すべてをアジア人のデザイナーが独占する結果となった。

一方、日本からのエントリーの中では、トヨタ紡織の応募作品であるAptusが、素材活用度の部門の特別賞を受賞することとなった。
 

トヨタ紡織の「Aptus」
「Aptus」の特徴について説明する、トヨタ紡織アメリカのクリスチャン・デリース氏。

■体格を問わず快適な座り心地を提供

Aptusは、トヨタ紡織アメリカ(TOYOTA BOSHOKU AMERICA, INC.)のクリスチャン・デリース氏が制作した作品で、背もたれなどの可変機構により、どのような体格の人にも快適な乗り心地を提供できる設計が特徴となっている。
具体的には、着座時にかかる乗員の体重によってシートが可動。体重に応じたリクライニングに加え、背もたれの両側に備えられた「ボルスター」と呼ばれるパーツがせり出すことで、乗員の体格を問わず適切なホールド性を提供する。
また電力モーターなどに頼らず、この調整機構をスプリングやワイヤーのリンケージのみで実現している点や、「自然とテクノロジー、両方の要素をカラーやマテリアルで表現した」というデザインも特徴とされている。

このAptusのコンセプトを盛り込んだシートの試作に対し、BASFは「ウルトラミッド」と呼ばれる特殊なプラスチックや、E-TPU(熱可塑性ウレタン)などといった素材の提供でトヨタ紡織に協力。また「CAE解析」と呼ばれるプラスチックの構造解析技術を通し、自由なデザインの実現をサポートするとのこと。

この自動車用シートのプロトタイプは、年内の完成を予定している。

(webCG)
 

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