ARTA、波乱のレースで2階級制覇【SUPER GT 2013】

2013.07.29 自動車ニュース
雨の混戦を制した、ラルフ・ファーマン/松浦孝亮組のNo.8 ARTA HSV-010。

【SUPER GT 2013】ARTA、波乱のレースで2階級制覇

2013年7月28日、SUPER GTの第4戦が宮城県のスポーツランドSUGOで開催され、GT500クラスはNo.8 ARTA HSV-010(ラルフ・ファーマン/松浦孝亮組)が、GT300クラスはNo.55 ARTA CR-Z GT(高木真一/小林崇志組)が勝利した。

ポールポジションを獲得。静かにスタートの時を待つ、No.1 REITO MOLA GT-R。
No.1 REITO MOLA GT-Rを先頭に幕を開けたGT500クラスの戦いは、この後、波乱の展開となる。
こちらはGT300クラスのスタートシーン。
No.37 KeePer TOM'S SC430。一時は、トップを走る場面も。

■雨降る中での大混戦

なにごともなければ、今季初めてポールポジションを獲得したNo.1 REITO MOLA GT-R(本山 哲/関口雄飛組)がスタートから逃げ切りを決めて初優勝を遂げる、というレースになっていたはずだ。
ところが、ピットストップの間にNo.38 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/平手晃平組)に先行され、後半を受け持った本山と立川が激しいつばぜり合いをした揚げ句に接触。ダメージを負ったNo.1 REITO MOLA GT-Rが48周目にピットインして遅れた、というあたりからレースの筋書きが大きく変わったように思う。

これでトップに立ったのが、No.39 DENSO KOBELCO SC430(脇阪寿一/石浦宏明組)。いや、正確にいえば、2番グリッドからスタートしたNo.39 DENSO KOBELCO SC430はレース前半を2番手で終えており、No.38 ZENT CERUMO SC430同様、ピットストップのタイミングでNo.1 REITO MOLA GT-Rに先行していたのだ。だから、No.38 ZENT CERUMO SC430とNo.1 REITO MOLA GT-Rがアクシデントを起こすよりも前に、No.39 DENSO KOBELCO SC430はトップに立っていたことになる。

ところが、ドラマはこの後も大きな展開を見せる。81周のレースの55周目を迎えた頃からコースの一部で雨が降り始めるや、瞬く間に全周にわたって雨粒が路面を濡(ぬ)らしていく。これをきっかけにして、No.39 DENSO KOBELCO SC430を先頭に、予選3位のNo.18 ウイダー モデューロHSV-010(山本尚貴/フレデリック・マコヴィッキィ組)、No.38 ZENT CERUMO SC430、そしてポイントリーダーで予選7位だったNo.100 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/小暮卓史組)の4台が急接近。65周目には4台の差が約2秒という混戦になった。

ここで、まずNo.38 ZENT CERUMO SC430がNo.18 ウイダー モデューロHSV-010をパスすると、同じレクサス勢のNo.39 DENSO KOBELCO SC430を猛追。2台は丸々2ラップにわたってバトルを繰り広げたが、ここはベテラン脇阪に軍配。平手はスピンして大きく後退してしまう。しかし、バトルの最中に2台は接触しており、No.39 DENSO KOBELCO SC430のペースもがっくりと落ちた。

No.23 MOTUL AUTECH GT-R。11番スタートから、表彰台にのぼった。
GT300クラスを制したNo.55 ARTA CR-Z GT(高木真一/小林崇志組)。
ARTAの2台がランデブー。今年の菅生では、一つのチームによる2階級制覇が実現した。
勝利を喜ぶ、ARTAのドライバーたち。写真左から、松浦孝亮、ラルフ・ファーマン、高木真一、小林崇志。
GT300クラスの2位は、武藤英紀/中山友貴組のNo.16 MUGEN CR-Z GT。2戦続けて、ハイブリッドレーサーが強さを見せた。

■近年まれに見る展開

そこに襲いかかったのが、マコヴィッキィが駆るNo.18 ウイダー モデューロHSV-010と、小暮のNo.100 RAYBRIG HSV-010の2台。ふたりは、脇阪を挟み撃ちにするような形でオーバーテイクを仕掛けたが、No.39 DENSO KOBELCO SC430はNo.18 ウイダー モデューロHSV-010とNo.100 RAYBRIG HSV-010の2台に次々と接触。しかも、間にいたはずのNo.39 DENSO KOBELCO SC430が後方に退くと、No.18 ウイダー モデューロHSV-010とNo.100 RAYBRIG HSV-010は鉢合わせになって激しく衝突。No.18 ウイダー モデューロHSV-010はその場でリタイア、No.100 RAYBRIG HSV-010もピットまで戻ったところで戦線離脱を余儀なくされた。
ここで生き残ったNo.39 DENSO KOBELCO SC430も深手を負っており、10番グリッドからスタートしたNo.37 KeePer TOM'S SC430(伊藤大輔/アンドレア・カルダレッリ組)にやすやすと攻略されるのだが、それでもまだ決着はつかない。
なんと、伊藤の後方からNo.8 ARTA HSV-010(ラルフ・ファーマン/松浦孝亮組)が急接近。後半を受け持っていた松浦は73周目に伊藤をオーバーテイクすると、雨脚が一層強くなって滑りやすくなった路面をものともせずに残る8周を走りきり、No.8 ARTA HSV-010に今季初の栄冠をもたらしたのである。ちなみにNo.8 ARTA HSV-010は6番グリッドからレースに臨んでいた。

2位はNo.37 KeePer TOM'S SC430、3位は11番グリッドからスタートしたNo.23 MOTUL AUTECH GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ組)で、残る車両はすべて周回遅れかリタイアという、近年まれに見る波乱のレースとなった。

いっぽうのGT300クラスではJAF GT車両が優勢で、予選はNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(山野哲也/佐々木孝太組)がトップ。以下、No.55 ARTA CR-Z GT(高木真一/小林崇志組)、No.16 MUGEN CR-Z GT(武藤英紀/中山友貴組)、No.31 Panasonic apr PRIUS GT(新田守男/嵯峨宏紀組)というオーダーになった。
決勝でも序盤はNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORTがリードしたが、山野は32周目と早い段階でピットストップ。これでNo.16 MUGEN CR-Z GTとNo.55 ARTA CR-Z GTが1-2フォーメーションを築いたものの、ピットストップのタイミングでNo.55 ARTA CR-Z GTが先行。そのまま前戦に続く勝利を手にした。しかも、GT500クラスをNo.8 ARTA HSV-010が制したことで、ARTAはGT500とGT300の両クラスで勝利するという、チーム設立以来、初の快挙を達成。No.16 MUGEN CR-Z GTは2戦連続の2位で、CR-Z GTは2戦連続の1-2フィニッシュを果たしている。
次戦の第5戦は、鈴鹿1000km。8月17-18日に開催される。

(文=小林祐介/写真提供 GTA)

この記事の大きな画像を見るためには、画像ギャラリーをご覧ください。