ウイダー モデューロ HSV-010 灼熱の鈴鹿を制す【SUPER GT 2013】

2013.08.19 自動車ニュース
第5戦鈴鹿を制した、山本尚貴/フレデリック・マコヴィッキィ組のNo.18 ウイダー モデューロ HSV-010。
第5戦鈴鹿を制した、山本尚貴/フレデリック・マコヴィッキィ組のNo.18 ウイダー モデューロ HSV-010。

【SUPER GT 2013】ウイダー モデューロ HSV-010、灼熱(しゃくねつ)の鈴鹿を制す

2013年8月18日、SUPER GTの第5戦が三重県の鈴鹿サーキットで開催され、GT500クラスはNo.18 ウイダー モデューロ HSV-010(山本尚貴/フレデリック・マコヴィッキィ組)が、GT300クラスはNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(山野哲也/佐々木孝太/井口卓人組)が勝利した。


ウイダー モデューロ HSV-010 灼熱の鈴鹿を制す【SUPER GT 2013】の画像
スタート前。青空の下で熱気に包まれる、グリッドの様子。
スタート前。青空の下で熱気に包まれる、グリッドの様子。
柳田真孝/ロニー・クインタレッリ組のNo.23 MOTUL AUTECH GT-R。ポールポジションからのスタートだったが……。
柳田真孝/ロニー・クインタレッリ組のNo.23 MOTUL AUTECH GT-R。ポールポジションからのスタートだったが……。

■他とは違う真夏の一戦

SUPER GT第5戦は今年で42回目を数える“鈴鹿1000km”。通常のシリーズ戦の3倍以上にあたるレース距離で競われるため、マシンに高い耐久性が求められるのはもちろんのこと、レース戦略の面でもいつもとは違った対応が求められる。

例えば、計173ラップを走る決勝レースは4回のピットストップ、すなわち5スティントで走行するのが最も効率的とされる。173を5で割ると34.6ラップ。しかし、これは燃料タンク容量を考えるとギリギリの周回数で、あまりペースを上げるとガス欠になって4ストップでは走りきれない恐れが出てくる。
しかも、真夏の鈴鹿は最高気温が35度近くに達し、路面温度は50度にもなる。このためタイヤへの負担も大きく、ドライバーは燃費とタイヤの両方に配慮しながら走行することが求められる。つまり、いつもの“セミ・スプリントレース”が力任せで戦えるレースだとしたら、鈴鹿1000kmは先々の読みが重要となる頭脳戦だといえるのだ。

予選ではミシュランタイヤを履く2台がフロントローを分けあった。ポールポジションを獲得したのは、No.23 MOTUL AUTECH GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ組)。これにコンマ2秒の僅差でNo.18 ウイダー モデューロ HSV-010(山本尚貴/フレデリック・マコヴィッキィ組)が続いた。
ミシュランは、タイヤへの負荷が大きいときに真価を発揮することで知られる。したがって真夏の決戦は、ミシュランユーザーにとって、まさにおあつらえ向きの舞台。このため、決勝でもNo.23 MOTUL AUTECH GT-RとNo.18 ウイダー モデューロ HSV-010が接戦を繰り広げると予想された。

No.36 PETRONAS TOM'S SC430(写真手前)とNo.18 ウイダー モデューロ HSV-010とのバトル。2台は、最終的に表彰台を分けあうことになる。
No.36 PETRONAS TOM'S SC430(写真手前)とNo.18 ウイダー モデューロ HSV-010とのバトル。2台は、最終的に表彰台を分けあうことになる。
ゴール直後のワンシーン。マシンから降りた山本尚貴(写真左)をフレデリック・マコヴィッキィが迎える。
ゴール直後のワンシーン。マシンから降りた山本尚貴(写真左)をフレデリック・マコヴィッキィが迎える。

■燃費とタイヤと、トラブルと

決勝レースは下馬評どおり、燃費とタイヤのタレ具合と相談しながらの、比較的ゆったりしたペースで幕を開けた。そうしたなか、オープニングラップでは3番グリッドからスタートしたNo.36 PETRONAS TOM'S SC430(中嶋一貴/ジェームス・ロシター組)がシケインでNo.18 ウイダー モデューロ HSV-010を刺し、2番手に浮上するという一幕もあったが、地力に勝るNo.18 ウイダー モデューロ HSV-010は13周目にこれを逆転。再びNo.23 MOTUL AUTECH GT-R対No.18 ウイダー モデューロ HSV-010という構図で、戦いが続けられた。

しかし、周回を重ねるうちに、どうやらNo.23 MOTUL AUTECH GT-Rが本調子でないことが明らかになる。No.18 ウイダー モデューロ HSV-010との差は縮まるいっぽうとなり、23周目にはついにNo.18 ウイダー モデューロ HSV-010がトップに浮上する。対するNo.23 MOTUL AUTECH GT-Rはその後もペースが伸び悩み、29周目にはついにピットイン。予定より5周も早いピットストップでは4ストップの完遂は難しく、この段階でNo.23 MOTUL AUTECH GT-Rの勝機は消え去ったも同然だった。

その後もNo.18 ウイダー モデューロ HSV-010のリードでレースは進行していったが、65周目にGT300クラスの1台が右リアタイヤをバーストさせる憂き目に遭い、バックストレート上に壊れたボディーカウルが散乱する事態となる。

このためセーフティーカーが導入されるのだが、ここで極めて奇妙な光景が繰り広げられることとなった。このアクシデントの直前、No.1 S Road REITO MOLA GT-R(本山 哲/関口雄飛組)とNo.23 MOTUL AUTECH GT-Rはピットストップを済ませていた。いっぽう、No.18 ウイダー モデューロ HSV-010はセーフティーカーランが始まった後、ルールに従ってピットロードがオープンとなったところでピットストップを行った。彼らのピット作業は決して遅くなかったが、この間にNo.1 S Road REITO MOLA GT-RとNo.23 MOTUL AUTECH GT-Rがトップと2番手に浮上。これとは対照的に、ピット作業を終えたNo.18 ウイダー モデューロ HSV-010はGT300クラス車両の後方に並ぶ形となり、3番手でありながらトップの2台に大きく引き離されてしまった。
この影響で、レースが再開されたとき、No.18 ウイダー モデューロ HSV-010はトップから30秒近い後れをとったが、これはあまりに酷というものだ。セーフティーカーラン中にピットストップを行っても、わざわざGT300クラス車両の後方にGT500クラス車両が並ばなくても済むように、GTAはルールを改正すべきだろう。

鈴鹿でGT500クラスを制した、山本尚貴(写真左)と、フレデリック・マコヴィッキィ。
鈴鹿でGT500クラスを制した、山本尚貴(写真左)と、フレデリック・マコヴィッキィ。
GT300クラスで、予選トップから勝利をものにしたNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORT。
GT300クラスで、予選トップから勝利をものにしたNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORT。
勝利を喜ぶ、SUBARU BRZ R&D SPORTのドライバー。写真左から、佐々木孝太、井口卓人、そして山野哲也のトリオ。
勝利を喜ぶ、SUBARU BRZ R&D SPORTのドライバー。写真左から、佐々木孝太、井口卓人、そして山野哲也のトリオ。

■それぞれのクラスで初勝利

ともあれ、今回はNo.18 ウイダー モデューロ HSV-010のペースが並み外れて速かったため、彼らは自力で首位の座を取り返すことに成功。そのままミスなく1000kmを走りきって、山本とマコヴィッキィはSUPER GT初勝利を遂げた。2位は、一時13番手まで後退しながら、前述のとおりセーフティーカーランの恩恵を受けたNo.23 MOTUL AUTECH GT-R。ただし、同じく幸運をつかんだNo.1 S Road REITO MOLA GT-Rはピット作業で違反があったために90秒のピットストップペナルティーが科せられ、最終的に8位に沈んだ。代わって表彰台を得たのは、No.36 PETRONAS TOM'S SC430だった。

いっぽう、ポイントリーダーのNo.100 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/小暮卓史組)は10位、ランキング2位だったNo.39 DENSO KOBELCO SC430(脇阪寿一/石浦宏明組)が9位に終わったこともあって、ランキングトップには今回2位のNo.23 MOTUL AUTECH GT-Rが急浮上。そして今回4位のNo.12 カルソニックIMPUL GT-R(松田次生/J.P・デ・オリベイラ組)が2番手につける形となった。3番手は今回優勝のNo.18 ウイダー モデューロ HSV-010。ただし、これにNo.100 RAYBRIG HSV-010とNo.39 DENSO KOBELCO SC430を加えたトップ5は、わずか5点差の間にひしめきあっており、今後のチャンピオン争いの行方はまったく予断を許さない状況となっている。

GT300クラスでは、予選で圧倒的な速さを見せたNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(山野哲也/佐々木孝太/井口卓人組)が数々の苦難を乗り越え、BRZによるクラス初勝利を成し遂げた。彼らに続いて、17番グリッドから実に15台抜きを演じたNo.4 GSR 初音ミク BMW(谷口信輝/片岡龍也/ヨルグ・ミューラー組)がチェッカーを受けたものの、レース後にエアリストリクターの違反が見つかったために失格とされ、No.52 OKINAWA-IMP SLS(竹内浩典/土屋武士/蒲生尚弥組)が2位、No.62 LEON SLS(黒沢治樹/黒沢 翼/中谷明彦組)が3位となった。

(文=小林祐介/写真提供 GTA)

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