「VWタイプ2」がブラジルで生産終了

2013.08.22 自動車ニュース
ブラジルでの生産終了を記念して設定された「フォルクスワーゲン・コンビ ラストエディション」。

生きていた! 「フォルクスワーゲン・タイプ2」がブラジルで生産終了

ドイツ本国での生産が終了した後もブラジルで「フォルクスワーゲン・コンビ」の名のもと生産が続けられていたフォルクスワーゲンのワンボックス「タイプ2」が、2013年限りで姿を消す。
これに伴い、現地法人フォルクスワーゲン・ド・ブラジル(VWブラジル)は、記念車として「コンビ ラストエディション」600台を同国内限定で発売した。

ドイツ製の「フォルクスワーゲン・タイプ2」(T2型)。1969年。
「フォルクスワーゲン・コンビ ラストエディション」は、レトロ風情を意識した水色と白の2トーン。タイヤもホワイトリボンである。1.4リッター水冷4気筒エンジンをリアに搭載し、最高速は130km/h。定員は9名。

■ブラジルで生産していた「タイプ2」

タイプ2は、「フォルクスワーゲン・タイプ1(通称:ビートル)」をベースとしたワンボックス車。初期型(T1型)はドイツで1950年に発売され、当時欧州におけるワンボックスバンの代名詞となったばかりか、自由を謳歌(おうか)する若者文化の象徴となった。

VWブラジルでは56年前の1957年にT1型の生産を開始。1970年には中南米周辺諸国向けの輸出もスタートした。1979年に2代目であるT2型の生産がドイツ本国で終了すると、その生産をメキシコ工場とともに引き継いだ。国策に呼応して、エタノール燃料仕様も加えられた。

2002年にメキシコでの生産が終了となった後も、ブラジルでは造り続けられた。2005年には、従来のビートル用空冷水平対向4気筒エンジンから、ブラジル独自モデル「フォックス」の1.4リッター水冷直列4気筒(78hp)へと換装された。それに伴い、フロントにはラジエーターグリルが追加された。

コンビは、その高い整備性と堅固なつくりが買われ、バンやワゴン用途のみならず、マイクロバスとしても愛されてきた。サンパウロ郊外のサン・ベルナルド・ド・カンポ工場における1957-2013年のコンビ総生産台数は約150万台にのぼる。
今回のコンビ生産終了の背景には、ABSおよび運転席・助手席エアバッグが義務づけられている2014年からのブラジル新安全基準に、適合が難しいことがあった。

ボディーに合わせて室内もツートーンに仕上げられている。トランスミッションは4段マニュアル。オーディオの上には、限定車を示すシリアルナンバー入りプレートが貼られている。
セカンドシートおよびサードシート。
「フォルクスワーゲン・コンビ ラストエディション」の特製カーテン留め。
リアフェンダーおよびリアには、ブラジルにおける今日までの生産期間を示す「56anos」のステッカーが貼られている。

■シリアルナンバー入りの限定車

記念車である「ラストエディション」は、9人乗り仕様をベースにしたもので、水色と白のツートンカラーとホワイトリボンタイヤでレトロ調に仕上げられている。リアフェンダーとテールゲートには、ブラジルでの生産期間を示す「56anos」(56年)のステッカーが加えられている。

ビニール製シートをはじめとする内装も水色と白で統一されており、MP3・USB対応のオーディオの上には、限定600台中の1台であることを示すシリアルナンバー入り記念プレートが貼り付けられている。また、カーテンの留め紐にも「Kombi」の文字が入っている。

価格は8万5000レアル(約340万円)。標準型ワゴンが5万30レアル(約200万円)で買えるのからすると、少々高めの設定である。
かつてのタイプ2の中古車をベースにして反戦・平和を訴えたヒッピーのなかでも、その後現実社会と妥協して、ゆとりある老後を送っている人でないと手が届きにくいプライスなのは、ちょっとした皮肉かもしれない。

振り返れば、1991年アルゼンチンで29年にわたって造られてきた「フォード・ファルコン」がカタログから姿を消し、2003年にはメキシコでフォルクスワーゲン・ビートルが生産を終え、60年におよぶその歴史にピリオドが打たれた。今回のブラジル製フォルクスワーゲン・コンビの終了も、中南米の自動車マーケットに確実に近代化の波が及んでいることを象徴している。

(文=大矢アキオ<Akio Lorenzo OYA>/写真=フォルクスワーゲン)

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