VWがe-モビリティー市場で新たな野望【フランクフルトショー2013】

2013.09.11 自動車ニュース
フランクフルトショーの開幕前夜、グループに属する計12ブランドが一堂に会した。
フランクフルトショーの開幕前夜、グループに属する計12ブランドが一堂に会した。

【フランクフルトショー2013】フォルクスワーゲングループがe-モビリティー市場で新たな野望

フォルクスワーゲングループは2013年9月9日、フランクフルトショー開幕の前夜に恒例の「フォルクスワーゲン・グループ・ナイト」を、スポーツ施設「フラポート・アレーナ」で開催した。フォルクスワーゲン、アウディ、ポルシェなど、あわせて12のブランドとその関係者、そして、世界中の自動車メディアが一堂に会した。

今回の主役は、“e-モビリティー”を担う次世代車たちだった。
今回の主役は、“e-モビリティー”を担う次世代車たちだった。
フォルクスワーゲンブランドの目玉は、ハイトワゴンの「ゴルフ スポーツバン」。
フォルクスワーゲンブランドの目玉は、ハイトワゴンの「ゴルフ スポーツバン」。
ランボルギーニは競技車両の公道仕様ともいえる「ガヤルドLP570-4 スクアドラ・コルセ」を発表。
ランボルギーニは競技車両の公道仕様ともいえる「ガヤルドLP570-4 スクアドラ・コルセ」を発表。

■e-モビリティー市場でナンバーワンを目指す

翌日のプレスデイ初日にワールドプレミアを果たす各ブランドの注目モデルが一足先に見られるということで、会場にはたくさんのメディア関係者が詰めかけた。イベントではスペインのセアトを皮切りに、ブガッティ、フォルクスワーゲン商用車など、各ブランドが約5分間のプレゼンテーションを行った。いずれも、音と光が溢(あふ)れる趣向を凝らしたパフォーマンスに始まり、その後、注目のモデルがアリーナに登場するという流れ。さすがに、トラックのスカニアとマンは場内に持ち込まれなかったのだが、その一方でニューフェイスのドゥカティがプレゼンテーションに参加するなど、実にバラエティーに富んだ内容となった。

「果たして主役は?」と思い悩んでいるさなか、フォルクスワーゲングループのプレゼンテーションがスタートした。いったい何が飛び出すのか、固唾(かたず)を飲んで見守っていると、「フォルクスワーゲンe-ゴルフ」「e-up!」「アウディA3 e-tronプラグインハイブリッド」、そして「ポルシェ・パナメーラS E-ハイブリッド」が登場。このうち、e-ゴルフとe-up!は、フランクフルトショーがワールドプレミアとなる。
ひととおり紹介が終わると、再び各ブランドのプレゼンテーションに。すべてのブランドが終わると、フォルクスワーゲンのヴィンターコーン会長が、締めくくりのスピーチを行った。このときに飛びだしたのが、「2018年までにe-モビリティー市場、すなわち、ピュアEV(電気自動車)、ハイブリッド、プラグインハイブリッドの分野でナンバーワンになる」という宣言だった。途中にフォルクスワーゲングループのプレゼンテーションを挟んだのはこのためだった。

目標実現のために、フォルクスワーゲングループは70億ユーロ(約9300億円)を超える投資を行うとともに、7万人の従業員に新技術のトレーニングを実施するという。そして、手始めに2014年までにグループ合わせて14のモデルを市場に投入する。
自動車そのものをはじめ、さまざまな先進技術を身近な存在にしてきたフォルクスワーゲン。e-モビリティーの“民主化”を進めるのも彼らなのか? 今後、登場するモデルに注目したい。

「ポルシェ918スパイダー」
「ポルシェ918スパイダー」
「アウディ・ナヌク クワトロ コンセプト」
「アウディ・ナヌク クワトロ コンセプト」
「ベントレー・コンチネンタルGT V8 S」
「ベントレー・コンチネンタルGT V8 S」

■華やかなスポーツモデルも続々登場

e-モビリティーという意味では、「ポルシェ918スパイダー」もその一例だ。間もなく生産が開始される918スパイダーは、最高出力887psを発生するスーパースポーツ。そのパワーをつかさどるのがハイブリッドシステムで、0-100km/h加速が2.8秒という俊足であるにもかかわらず、100kmあたりの燃料消費率はわずか3.0~3.4リッター(約29.4~33.3km/リッター)と、速さと低燃費を兼ね備える、まさに未来型のスポーツカーである。驚いたのはニュルブルクリンク北コースのラップタイムで、7分を切る6分57秒をマークしている。今回は量産タイプがワールドプレミアを果たした。

「アウディ・ナヌク クワトロ コンセプト」も注目したい一台。オンロード、オフロードを問わず、スポーティーな走りが楽しめるこのクロスオーバー車には、e-モビリティーとは別の高効率パワートレインである5リッターV10直噴ディーゼルが搭載される。最高出力544ps、最大トルク102.0kgmの圧倒的な性能を手に入れながら、100kmあたりの燃料消費率は7.8リッター(約12.8km/リッター)を達成するという。現行のアウディとは趣が異なるデザインは、いまやフォルクスワーゲングループの一員であるイタルデザインが担当している。

ランボルギーニからは、「ガヤルドLP570-4 スクアドラ・コルセ」が登場。ガヤルドのワンメイクレースである「ブランパン・スーパー・トロフェオ選手権」で使用しているレース仕様の「ガヤルド・スーパー・トロフェオ」を、公道走行用に変更。570psのV10エンジンはレース仕様そのものだという。価格は19万1100ユーロ(約2540万円)で限定生産される。

そして、ベントレーは、「コンチネンタルGT V8 S」、「コンチネンタルGT V8 Sコンバーチブル」を追加した。それぞれ「コンチネンタルGT V8」と「コンチネンタルGT V8 コンバーチブル」をベースに4リッターV8ツインターボエンジンを21ps、2.0kgm高性能化し、最高出力528ps、最大トルク69.4kgmまで高めている。

そして、フォルクスワーゲンからは、「ゴルフ7」をベースとしたハイトワゴン「ゴルフ スポーツバン」がワールドプレミアを果たしている。従来の「ゴルフプラス」に変わるモデルで、リアシートの前後スライドにより、乗員スペースと荷室を自由にアレンジすることが可能だ。ただし、ゴルフプラスの販売が途絶えている日本への導入は可能性が低いようだ。

というわけで、e-モビリティーの先駆けとなるEVやプラグインハイブリッドが主役となったフォルクスワーゲン・グループ・ナイト。その本気度は、2014年内に日本にもe-ゴルフやe-up!の導入が計画されていることからも明らかだ。グループの総合力でe-モビリティーをリードしたい彼らが、日本市場にどんな戦略で挑んでくるのか、興味津々である。

(文と写真=生方 聡)

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