トヨタ、日産、スバルのここに注目【フランクフルトショー2013】

2013.09.12 自動車ニュース
「レクサスLF-NX」

【フランクフルトショー2013】トヨタ、日産、スバルのここに注目

今回のフランクフルトショーでは、日本メーカー勢も意欲作を披露した。レクサスブースの主役は、「RX」の予告編と見られるクロスオーバーコンセプト「LF-NX」。その迫力あるデザインで見る者を圧倒した。対する日産は、新型「エクストレイル」のワールドプレミア(世界初公開)を行った。

「レクサスLF-NX」

「トヨタ・ヤリス ハイブリッドR」

■次期「レクサスRX」の予告編か?

レクサスブースの“ヒーローモデル”は「RX」の次期型モデルと目されるミドルサイズ・クロスオーバーのコンセプトカー「LF-NX」。極限まで巨大化されたスピンドルグリルと、薄目を開けたようなヘッドライトが強烈な個性と存在感を生み出している。前後のフェンダーには、ボディー側面のエアフローを整流することが目的と思われる巨大なスプリッターが取り付けられている。「GS」、そして「IS」と、複雑なフロントデザインに比較すると驚くほど素っ気ないリアデザインを持つモデルが続いたが、LF-NXはリアの造形も実に凝っていて、リアライトに端を発するリアのスプリッターがボディーの下端まで伸びる形状とされた。やや四角張ったホイールアーチは悪路での走破性を表現したものだろうか? パワートレインはアトキンソンサイクルの2.5リッター4気筒エンジンと“パワフルなモーター”を組み合わせたハイブリッドシステムとなる。

一方、量産型ハイブリッドカーばかりをそろえたトヨタのブースにあって、ひときわ異彩を放っていたのが「ヤリス(日本名:ヴィッツ)」ベースの、「ハイブリッドR」と名付けられたコンセプトカーである。
欧州向けの「ヤリス ハイブリッド」には「アクア」と基本を同じくするハイブリッドシステムが搭載されているが、こちらはまったくの別物で、1.6リッター4気筒ターボエンジンは300psを発生。これにリアに2基、フロントに1基の60kWモーターを組み合わせることで、システム出力420psの“e-4WDハイブリッドカー”を作り上げた。リアのモーターは左右輪を個別に駆動でき、「ポルシェ918スパイダー」や次期型「ホンダ・レジェンド ハイブリッド」のようにモーターによるトルクベクタリングを実現する。
さらに注目されるのが蓄電装置で、一般的なバッテリーではなくスーパーキャパシターを搭載することで素早い充放電を可能とし、スポーティーな走りを実現したとトヨタは主張する。この点からも想像できるとおり、ヤリス ハイブリッドRのパワートレインはWECに参戦するTMG(Toyota Motorsport GmbH)の支援を受けて開発されたもので、彼らが走らせる「トヨタTS030ハイブリッド」直系のテクノロジーがついにロードカーにも採用されたと考えることができる。

「日産エクストレイル」

「日産フレンド・ミー」

■日産の主役は新型「エクストレイル」

日産はフランクフルトショーで新型「エクストレイル」を初公開した。2014年に発売される予定のこの新型は、現行型の直線的デザインからがらりと変わり、柔らかな曲線を多用したスタイリングに改められる。また、テールゲートの大部分にプラスチック素材を用いるなど、軽量化にも意を注いでいる。
プラットフォームはこのエクストレイルでデビューするもので、完全な新設計。今後の日産車ならびにルノー車で幅広く採用される予定というから、サイズに関してはかなりフレキシブルに対応できるものと想像される。駆動方式は日産自慢のオールモード4×4の進化版を搭載。シャシー関連では、ピッチングを電子制御により抑制するアクティブライドコントロールと、コーナリング時や停止の際にエンジンやトランスミッションを自動制御してエンジンブレーキを活用するアクティブエンジンブレーキの採用が目新しい。詳細は不明ながら、エンジンにはダウンサイジング・コンセプトが導入されるようだ。

コンセプトカーとしては、2013年5月に開催された上海モーターショーで初公開された「フレンド・ミー」がフランクフルトでヨーロッパプレミアを飾った。日産デザインチャイナが中国の若者を念頭においてデザインしたというフレンド・ミーは、まるで口をすぼめたようなフロントマスクがある種の“押し出し感”を演出している。「日産の次世代のデザイン言語を用いた」とプレスリリースにはあるが、巨大な観音開きのドアはいかにもデザインスタディー的。車内では若い世代向けにネットワーク環境も整えているようだ。

「スバル・ヴィジヴ」
「スバルWRXコンセプト」

■スバルの華は2台のコンセプトカー

スバルのスタンドを飾ったのは、2013年のジュネーブショーでデビューした「ヴィジヴ」である。スバルの次世代デザインと最新のテクノロジーを組み合わせて開発されたクロスオーバーモデルで、2リッターの水平対向4気筒ディーゼルターボエンジンと、フロント1基、リア2基の電気モーターを組み合わせたハイブリッドタイプのシンメリトリカル4WDシステムを搭載。クリーンなスタイリングが古くからのスバルファンにも受け入れられそうだ。

さらにスバルは、2013年のニューヨークショーに続いてここフランクフルトショーにも「スバルWRXコンセプト」展示した。WRC(世界ラリー選手権)から撤退した現在、かつてのように「WRCを戦うためのWRX」という位置づけは失われつつあるが、スバルは次世代WRXのデザインを模索するコンセプトカーを世に問うている。ボクサーエンジンとシンメトリカル4WDの組み合わせはWRXの伝統を引き継ぐものだが、クーペスタイルの4ドアモデルにはさほど新奇性が感じられない。少し厳しい言い方をすれば、WRXモデルを発売するならまずWRC参戦を再開するのが筋というものだろう。

(文と写真=小林祐介)

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