日本メーカーのブース紹介【ジュネーブショー2012】

2012.03.08 自動車ニュース
「インフィニティEMERG-E」のカンファレンスを終えた日産の中村史郎CCO(チーフ・クリエイティブ・オフィサー)。ジュネーブという華やかな場に似合う、数少ない日本車だ。
日本メーカーのブース紹介【ジュネーブショー2012】

【ジュネーブショー2012】エコが主役の日本車ブース

ジュネーブモーターショーが2012年3月6日に開幕した。環境技術をアピールする日本メーカーのブースは、見た感じ、勢いが今ひとつの様子。しかしその中には、こんな“花”もあった。

日産の「ハイクロスコンセプト」。今後展開される量産SUVのための習作。
日産の「ハイクロスコンセプト」。今後展開される量産SUVのための習作。
「インビテーション」と命名された、次世代コンパクトカーのコンセプトモデル。どこかで見たような……。
「インビテーション」と命名された、次世代コンパクトカーのコンセプトモデル。どこかで見たような……。
トヨタブースの主役「FT-Bh」。欧州メーカーが走りも燃費も魅力的で、かつ現実的なモデルを出しているなか、浮世離れした感じがやや不安。
トヨタブースの主役「FT-Bh」。欧州メーカーが走りも燃費も魅力的で、かつ現実的なモデルを出しているなか、浮世離れした感じがやや不安。

■インフィニティがやってくれました!

アウェーの戦いというか、あまり元気がなかったように見える日本車勢。華やかさや集客力でヒュンダイに後れを取っているよう見えたのはかなりショックだった。そんな中、存在感を放っていたのが、デザインに関する新しい提案を打ち出した日産のインフィニティブランドだ。もちろんエコも大事だけれど、美しいクルマや、きれいなクルマを作りたい人がお祭りを盛り上げてくれる。

プレスカンファレンスで壇上に上がった中村史郎氏は、温かい拍手で迎えられた。そして氏は、インフィニティの新しいデザイン言語を打ち出した。「よりスポーティーでよりダイナミック、よりインプレッシブなデザインを志向する」と宣言したのだ。そして、そうした意思のアイコンとでも言うべき存在が、ジュネーブでお披露目されたミドシップのコンセプトカー「EMERG-E(エマージ)」である。

インフィニティブランドとしては初のミドシップレイアウトを採るEMERG-Eは、ふたつのモーターとレンジエクステンダー付き3気筒ガソリンエンジンを備えたEVのスポーツカーである。50km弱であればゼロエミッションのEVとして走り、0-100km/h加速は4秒そこそこという加速力を誇る。「細部に着物が持つフレア感を生かした」というデザインはなかなかスタイリッシュで、日本人としても鼻が高い。ただひとつ、意図したものではないだろうけれど、グリルの形状がレクサスの“スピンドルグリル”に酷似している点が、どうにも気になった。

同ブランドにとって今年は、ヨーロッパ市場へ進出してから20年という節目の年。西ヨーロッパにおける販売拠点も50にまで増えている。さらに勢いをつけ、ブランド力を強固なものにするためには、こうしたアイコン的モデルを投入する好機かと思われた。

日産ブランドとしては、「ハイクロスコンセプト」というモデルを発表。これは今後の日産製SUV(日産はクロスオーバーと表現)のデザインを示唆するもの。会場ではSUVが目立ったが、その中に埋もれないデザイン的な力強さが感じられた。2リッターガソリン直噴エンジンとモーターを組み合わせたハイブリッドモデルである。

ドイツ在住の関係者によれば、現在ヨーロッパは自然への回帰という機運が高まっており、アウトドアのアクティビティーが盛んになっているとのこと。これがSUV隆盛の、ひとつの理由になっているようだ。

「トヨタ86」とともに、注目を集めていたのが「スバルBRZ」。手頃なFRスポーツというコンセプトは、確かに個性的だ。
「トヨタ86」とともに、注目を集めていたのが「スバルBRZ」。手頃なFRスポーツというコンセプトは、確かに個性的だ。
「レクサスRX450h」。スピンドル(糸巻き)グリルがさまになっている。
「レクサスRX450h」。スピンドル(糸巻き)グリルがさまになっている。
「三菱アウトランダー」も今回のジュネーブショーでお披露目された。
「三菱アウトランダー」も今回のジュネーブショーでお披露目された。

もう1台、次の「マーチ」ともいえる小型車のコンセプトカー「インビテーション」もお披露目。こちらはハイクロスコンセプトに比べるとインパクトが弱く、欧州の元気なライバルの中に沈んでしまった印象。「ホンダ・フィット」に似ているのがそう感じる一因か。

■トヨタの突破口は「ハチロク」にあり

トヨタが発表したのは、コンパクトなハイブリッド車のコンセプトモデル「FT-Bh」。ハイブリッドシステムと高効率な1リッター2気筒エンジンの組み合わせで49g/kmの低燃費を実現するという。ただし、実際にがんがん走って、燃費もいいモデルを欧州メーカーが出している中では、絵に描いた餅というか、どうしてもかすんでしまう。

トヨタ・モーター・ヨーロッパのディディエ・ルロワCEOは、「われわれはヨーロッパで40万台のハイブリッド車を売ってきました。今後もハイブリッド車のラインナップは増えていきます」とプレスカンファレンスで述べた。ここで感じたのは、燃費は大事だけれど、燃費だけだと物足りない、という事実だ。トヨタ製ハイブリッド車の、燃費以外のセリングポイントとは何だろうか? そんな中、「GT86」(日本名:トヨタ86)の周囲に人が集まっていたことに、突破口が見いだせそうな気がした。

レクサスは「RX」のマイナーチェンジ版を発表。外観は「GS」から採用されたスピンドルグリルを採用し、スポーティーバーションの「F SPORT」が新たに設定されるという。展示された「RX450h」は、スピンドルグリルがすんなりと馴染(なじ)んでおり、もともとこのグリルを前提にデザインされたかのようだった。

他の日本メーカーでは、三菱自動車が新型「アウトランダー」を発表。昨年の東京モーターショーに出展したコンセプトモデルの市販型という位置付けだ。注目は、日欧の厳しい規制をクリアする2.2リッターの4気筒ディーゼルターボエンジン。14.9という低圧縮がウリで、すでに「RVR」(欧州名:ASX)に積まれている。会場には、同じくクリーンなディーゼルエンジンを積む「マツダCX-5」も展示されていた。

SUVが活況という欧州市場にあって、健闘が期待される「マツダCX-5」。
日本メーカーのブース紹介【ジュネーブショー2012】

ただしどちらも、注目を集めているとは言い難い。欧州自動車人にしてみれば、「ディーゼル? あたりまえでしょう」といったあたりか。ただ、三菱とマツダのディーゼルは、ヨーロッパ製ディーゼルとは一線を画すはず。今後、どう受け入れられるかが興味深い。

(文と写真=サトータケシ)

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