第201回:スター不在のモーターショー!?
フランクフルトショー取材雑感

2013.09.19 エッセイ
会場規模や展示内容で世界最大規模を誇るフランクフルトショー。一般公開は2013年9月14日に始まった。
会場規模や展示内容で世界最大規模を誇るフランクフルトショー。一般公開は2013年9月14日に始まった。

コンパクトカーがずらりと並ぶ年があれば、電気自動車やハイブリッド車に埋め尽くされる年もある――モーターショーは、その時代、そのマーケットを映す鏡として機能するものだ。では、今回のフランクフルトショーは、観る者に何を訴えかけてきたか? 話題満載のショーだったが、それをまとめるのは思いのほか難しい。時代が混迷し、その一方で情報の伝達速度は加速する。モーターショーのあり方が、ちょっとずつ変わってきているのかもしれない。

フォルクスワーゲンは、2018年に「e-モビリティー」の分野で世界ナンバーワンになると主張。
フォルクスワーゲンは、2018年に「e-モビリティー」の分野で世界ナンバーワンになると主張。
いよいよBMW iブランドが本格的にスタートした。
いよいよBMW iブランドが本格的にスタートした。
メルセデス・ベンツのテーマは「自動車の将来」。“排ガスゼロ”と“事故ゼロ”を目指すさまざまな技術や車両を展示した。
メルセデス・ベンツのテーマは「自動車の将来」。“排ガスゼロ”と“事故ゼロ”を目指すさまざまな技術や車両を展示した。
ジャガーはクロスオーバーコンセプト「C-X17」を披露し、新分野への参入に意欲を見せた。
ジャガーはクロスオーバーコンセプト「C-X17」を披露し、新分野への参入に意欲を見せた。
大胆なデザインで見る者を驚かせた「レクサスLF-NX」。
大胆なデザインで見る者を驚かせた「レクサスLF-NX」。

■全体像が見えにくいメガモーターショー

モーターショーにはいつもトレンドがある。リーマンショックの後には示し合わせたように各社ブースが寂しくなったし、ハイブリッドの波が来たとなれば、どこも一気にコンセプトカーを出してきたしと、会場にいるだけで「今年はこんな感じだな」と、肌感覚で知ることができる。

インターネットで速報が上がる時代に、わざわざ足を運ぶ理由であり動機でありは、まさにそれだ。しかし今年のフランクフルトは何となく、そうした波の立ち方が弱かったような気がしている。

いくつかの潮流は垣間見ることができた。フォルクスワーゲングループは電気自動車やハイブリッドなどの「e-モビリティー」への積極的な姿勢を大々的にアピールしたし、BMWはいよいよ「BMW i」ブランドの本格展開を開始したから、その意味では電動化時代の本格的な幕開けといってもいい。また、メルセデス・ベンツが自動運転を誇らしげに披露したのは、まさに自動車を発明したブランドのプレゼンテーションだけに、感慨深いものがあった。

「ポルシェ918スパイダー」のテクノロジーとスピードには驚かされたし、「ジャガーC-X17」の完成度の高さにも、「レクサスLF-NX」の大胆さにも、ブランドを鼓舞していくぞという勢いを感じた。しかし……。

全体を貫く大きな流れというのが、何となく見えにくかったという感は、やはり否めない。環境もパフォーマンスも、先進国も新興国も、両にらみでいかなければならない。そもそもヨーロッパの経済が目下、危うい状況にある。時代が混迷しているが故に、各メーカーとも違った事情を抱えていたということは言えるだろう。

ショー全体を象徴するようなスターも不在だった。メルセデス・ベンツは「GLAクラス」、BMWは「4シリーズ」、フォルクスワーゲンは「ゴルフ スポーツバン」と、新型車もどれも主役級とは言いにくい。もはやモーターショーが一番の晴れ舞台ではない、ということか。

あるいは、こうしてwebCGを見ている皆さんの方が、ショー全体を俯瞰(ふかん)して見られる分、何らかの潮流を見いだせているのかも? なんて思う。インターネット時代に、それは十分あり得る。要は時代が、モーターショーのあり方が、変わってきているのかもしれない。

(文=島下泰久/写真=ダイムラー、IAA)

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