「水野和敏的視点」 vol.16「ポルシェ・ボクスターS」(後編)

2013.09.20 mobileCG

「水野和敏的視点」 vol.16「ポルシェ・ボクスターS」(後編)

R35型「日産GT-R」の生みの親であり、育ての親である水野氏が、クルマの本音を語り尽くす『mobileCG』の特集「水野和敏的視点」。ポルシェのエントリーモデルである「ボスクター」のエントリーならざる魅力について、“ミスターGT-R”が熱く語る!


「水野和敏的視点」 vol.16「ポルシェ・ボクスターS」(後編)の画像

「水野和敏的視点」 vol.16「ポルシェ・ボクスターS」(後編)の画像
ポルシェ・ボスクターS
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4374×1801×1281mm/ホイールベース:2475mm/車重:1320kg/駆動方式:MR/エンジン:3.4リッター水平対向6 DOHC 24バルブ/トランスミッション:6段MT/最高出力:315ps/6700rpm/最大トルク:36.7kgm/4500-5800rpm/タイヤ:(前)235/35ZR20 (後)265/35ZR20/価格:740万円
ポルシェ・ボスクターS
    ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4374×1801×1281mm/ホイールベース:2475mm/車重:1320kg/駆動方式:MR/エンジン:3.4リッター水平対向6 DOHC 24バルブ/トランスミッション:6段MT/最高出力:315ps/6700rpm/最大トルク:36.7kgm/4500-5800rpm/タイヤ:(前)235/35ZR20 (後)265/35ZR20/価格:740万円

■「欠点」が「楽しさ」へ

「ボクスター」と「ケイマン」の成り立ちは非常に似ています。しかし、走りではそれぞれに特徴があります。

オープンボディーのボクスターは、ボディーの後部がねじれに対してやや弱く、そのせいで「リアの遅れ」が見られます。一方、ケイマンはクーペなのでボディーがしっかりしており、リアの遅れがほとんどない。そのためサーキットではケイマンの方がずっと速く、限界付近のスタビリティーも相当なレベルにあります。

でも、箱根のターンパイクのように、それほど大きい限界入力の入らない一般道では、むしろボクスターの方が運転していて楽しいし、バランスがとれています。

フロントの応答ゲインの遅れと、ボディーのよじれによるリアの遅れが、かえってうまい具合に調和し、バランスしています。フロントの反応の遅れや押し出し感が、クルマ全体として薄められているのです。ステアリングを切っていく際のフロントの遅れに、リアの遅れがピッタリと重なって、自然なハンドリングを作り出す……そんな感じです。クルマの「欠点」とも言える部分が、むしろコーディネートされて「楽しさ」に変わっていますね。

こうした絶妙なバランス感覚の楽しさを作りだすためには、会社によって決められた平坦なテストコースで、規定通りの走行実験をして開発したような気になっていてはだめで、あらゆるところを十分に走り込んで開発しないとできません。本気で作ったスポーツカーだから出せる味。結局、会社に対してではなく、お客さまに対するまじめなクルマ作りが、乗っていて楽しいクルマを作りだすのだとつくづく感じさせられます。

ポルシェは、「911」、そしてケイマン、ボクスターと、3種類のスポーツカーのキャラクター作りに成功しています。作り手に、それぞれのクルマを走らせるシーンとお客さま像について、具体的なイメージがあるからでしょう。乗った瞬間、「コレはニュルを攻めるクルマだ」とか「ターンパイクで楽しむクルマだ」とわからせる。作り手に意志がなかったら、クルマに結果は出ません。(つづく)

※この記事はmobileCG会員限定です。
mobileCG有料会員に登録すると続きをお読みいただけます。

(語り=水野和敏/まとめ=青木禎之<Office Henschel>/写真=小林俊樹)

 【mobileCGへのアクセス方法】

◇スマートフォンをお使いの方◇

「QRコード」読み取り機能搭載機種をお持ちの方はこちらからアクセスできます。
「mobileCG」「webCG」を検索いただいてもアクセスできます。

http://www.webcg.net

 

◇従来のケータイ版「mobileCG」はこちらから◇

「QRコード」からアクセスできます。

docomo:iMENU→メニュー/検索 → 趣味/娯楽 → クルマ/バイク → カーグラフィック
au:EZトップメニュー → カテゴリで探す → スポーツ・レジャー → 車・バイク→モバイルカーグラフィック
SoftBank:Yahoo!ケータイ → メニューリスト → 趣味・レジャー → クルマ・バイク → カーグラフィック

 

この記事の大きな画像を見るためには、画像ギャラリーをご覧ください。

ボクスターの他の画像を見るためには、写真一覧をご覧ください。

関連記事
  • ポルシェ718ボクスターS(MR/7AT)【試乗記】 2016.11.17 試乗記 350psの2.5リッターフラット4ターボエンジン搭載の「718ボクスターS」に試乗。パワーはもちろん、乗り心地もハンドリングも抜かりなしの718ボクスターSだが、ポルシェにだってできないことはある。それは……。箱根の山道を目指した。
  • ミドシップスポーツ「718ケイマン」を知る 2016.11.15 特集 2016年春に世界初公開されたポルシェの2シータースポーツ「718ケイマン」が、日本上陸を果たした。新たに開発された水平対向4気筒ターボエンジンや、一段と磨きのかけられた足まわり、こだわりの内外装は、どんな運転体験をもたらすのか。上級モデル「718ケイマンS」に試乗し、その実像に迫った。
  • マツダ・ロードスターRF VSプロトタイプ(FR/6AT)【試乗記】 2016.11.19 試乗記 「マツダ・ロードスター」に、スイッチひとつでルーフが開閉する電動ハードトップモデル「RF」が追加された。開発者のこだわりがつまったリトラクタブルハードトップの出来栄えと、ソフトトップ車とは一味違う走りをリポートする。
  • アストンマーティン・ヴァンキッシュ(FR/8AT)【試乗記】 2016.11.8 試乗記 アストンマーティンのフラッグシップクーペ「ヴァンキッシュ」に試乗。6リッターのV12自然吸気エンジンを搭載するヴァンキッシュには神性すら漂う。人生の最後にはこんな車に乗るに相応(ふさわ)しい男になりたいものである。
  • ポルシェ718ボクスター(MR/6MT)【試乗記】 2016.9.21 試乗記 新開発の2リッター4気筒ターボエンジンが採用された、ポルシェの2シーターオープン「718ボクスター」に試乗。自然吸気の2.7リッター6気筒エンジンを搭載した従来モデルとの違いを含め、走りや乗り心地の印象を報告する。
ホームへ戻る