フォードのデザイン担当副社長が引退

2013.11.08 自動車ニュース
ジェイ・メイズ氏。

フォードのデザイン担当副社長が引退

フォード・グループのデザインを16年にわたって統括してきたジェイ・メイズ副社長兼チーフ・クリエイティブ・オフィサーが引退することになった。

メイズ氏の後任に決まったモーレイ・カラム氏。
2013年デトロイトショーで公開された「フォード・エヴォス コンセプト」。
「フォード・サンダーバード」

メイズ氏は59歳。同じく長年勤続してきた他2名の副社長とともに2013年限りで引退することになった。フォルクスワーゲンでの経歴を加えると、30年以上におよぶデザイナー生活に幕を引くことになる。

後任には、2001年から2006年までマツダに出向経験がある現・北米担当デザインダイレクター、モーレイ・カラム氏が就任する。

メイズ氏は1954年米国オクラホマ生まれ。アートセンター・カレッジ・オブ・デザインを1980年に卒業後、ドイツ・インゴルシュタットのアウディに就職した。1983年にミュンヘンのBMWに移籍するも、やがて再びアウディに戻ってシニア・デザイナーに就任した。そのとき担当した「アウディAVUSコンセプト」は、ポリッシュドアルミニウムのボディーで世界のカーデザイン界に衝撃を与えた。

1989年にはフォルクスワーゲン・オブ・アメリカのチーフ・デザイナーに就任。「コンセプト1」は、のちに「ニュービートル」へとつながった。
フォードでのキャリアは1997年からで、2003年にはフォードブランドのデザイン担当副社長からフォード・グループ・デザイン担当副社長に昇格、さらに2004年からはチーフ・クリエイティブ・オフィサーの役職も兼任してきた。
2002年「フォード・サンダーバード」では、フォルクスワーゲン・コンセプト1のときと同様、往年のモデルを巧みにモチーフとすることで、その後の米国車における“レトロ未来派”の先鞭(せんべん)をつけた。

ただし、その後は「キネティック(kinetic=動的な)デザイン」をスローガンとしたデザインディレクションを開始する。2013年「フュージョン」、2012年「フォーカス」、2011年「フィエスタ」、2010年「トーラス/トーラスSHO」、2005年および2010年「マスタング」といったフォード車や、リンカーンの「MKZコンセプト」などが、在任中の代表的な仕事である。

また在任中は、フォードが欧州のプレミアムブランドを傘下に収めていたことから、ランドローバー、アストン・マーティン、ジャガー、ボルボの各ブランドもコントロールした。この期間の代表作にジャガーの「XF」および「Fタイプ」がある。

メイズ氏の引退にあたり、フォードのマーク・フィールズ執行役員は、「彼は国際的デザイナーとしての才能で、われわれのデザインチームを世界の自動車ビジネスでベストの水準まで引き上げてくれた」と賛辞を送ったうえで、「メイズが開拓した大胆かつ洗練されたデザインは、これから数年後のフォード車でも見られる」とコメントしている。

最後に、メイズ氏に関するトリビアをひとつ。彼は自動車を題材にした2006年のディズニー/ピクサー制作のアニメ映画『カーズ』の制作で、アドバイザーも務めている。フォードのリリースには、そのようなキャリアも誇らしげにつづられている。

(文=大矢アキオ<Akio Lorenzo OYA>/写真=フォード)

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