第18戦アメリカGP「ベッテル8連勝でさらなる高みへ」【F1 2013 続報】

2013.11.18 自動車ニュース
今年で2回目となるテキサスはオースティンでのアメリカGP。レッドブルのセバスチャン・ベッテル(中央)は8月末から一度も勝利を譲ることなく8連勝を飾り、ミハエル・シューマッハーの持つ年間最多連勝記録を更新した。2位はロータスのロメ・グロジャン(左)、3位はベッテルのチームメイト、マーク・ウェバー(右)。(Photo=Red Bull Racing)
今年で2回目となるテキサスはオースティンでのアメリカGP。レッドブルのセバスチャン・ベッテル(中央)は8月末から一度も勝利を譲ることなく8連勝を飾り、ミハエル・シューマッハーの持つ年間最多連勝記録を更新した。2位はロータスのロメ・グロジャン(左)、3位はベッテルのチームメイト、マーク・ウェバー(右)。(Photo=Red Bull Racing)

【F1 2013 続報】第18戦アメリカGP「ベッテル8連勝でさらなる高みへ」

2013年11月17日、アメリカはテキサス州オースティンにあるサーキット・オブ・ジ・アメリカズで行われたF1世界選手権第18戦アメリカGP。最年少ワールドチャンピオン(しかも4年連続)など数々のレコードを樹立しているレッドブルのセバスチャン・ベッテルがまた新たな記録をつくった。ミハエル・シューマッハーが2004年に打ち立てた年間最多連勝記録「7」を上回る8連勝を、ポールポジションからの完勝で達成したのだった。

スタートシーン。サーキット・オブ・ジ・アメリカズの名物コーナー、急な上り坂を駆け上がって迎えるヘアピン状のターン1を前に、ポールシッターのベッテル(右から2番目)がトップに立った。その真横のウェバーは、グロジャン、ルイス・ハミルトンらに先行を許し4位に後退。(Photo=Red Bull Racing)
スタートシーン。サーキット・オブ・ジ・アメリカズの名物コーナー、急な上り坂を駆け上がって迎えるヘアピン状のターン1を前に、ポールシッターのベッテル(右から2番目)がトップに立った。その真横のウェバーは、グロジャン、ルイス・ハミルトンらに先行を許し4位に後退。(Photo=Red Bull Racing)
今年8回目のポールポジションから12回目の勝利。8連勝で年間連勝記録を更新したベッテルの前には、アルベルト・アスカリが60年もの間保持し続けているシーズンをまたいでの連勝記録「9」と、シューマッハーの持つ年間最多勝記録「13」が残されている。(Photo=Red Bull Racing)
今年8回目のポールポジションから12回目の勝利。8連勝で年間連勝記録を更新したベッテルの前には、アルベルト・アスカリが60年もの間保持し続けているシーズンをまたいでの連勝記録「9」と、シューマッハーの持つ年間最多勝記録「13」が残されている。(Photo=Red Bull Racing)

■慌ただしいドライバーズマーケット

前戦アブダビGPからの2週間、“ドライバーズマーケット”が慌ただしく動いた。まずはロータスと金銭面で折り合いがつき、今季残るレースの欠場を回避したキミ・ライコネンだったが、シーズン後半に悪化した背中の激痛をとるため手術に踏み切ることになり、アメリカ、ブラジルのラスト2戦には参戦しないこととなった。
突如空いたシートに誰がつくのか? 来季ロータス入りがうわさされるザウバーのニコ・ヒュルケンベルグや、昨年引退したミハエル・シューマッハーに声がかけられたというが、いずれにも断られたようだ。結局ライコネンと同じフィンランド人で、ルノー、マクラーレンを渡り歩き、現在はケイターハムのリザーブドライバーを務めるヘイキ・コバライネンに白羽の矢が立った。

来季フェラーリにライコネンが出戻ることになり、8年在籍したスクーデリアを追われることになったブラジリアン、フェリッペ・マッサは、ウィリアムズに活路を見いだした。両者は複数年契約を結んだとされ、GP11勝を記録する経験豊富なマッサと、今年デビューした新人ながら既に高い評価を得ているフィンランド人、バルテリ・ボッタスのコンビで戦うことになる。

マクラーレンは、今年移籍してきたばかりのセルジオ・ペレスとの契約を1年で終えることを決めた。優勝はおろか表彰台もままならない今季型「MP4-28」で苦戦をしいられた23歳のメキシコ人だったが、それでもベテランのチームメイト、ジェンソン・バトンが60点を稼いでいるのに対し、ペレスの獲得ポイントは35点。移籍前より指摘されていた安定感のなさが仇(あだ)となってしまったようである。
ペレスの後釜には、今年ジュニアカテゴリーの「フォーミュラ・ルノー3.5」でタイトルを獲得したケビン・マグヌッセンが座ることになった。若手実力派と称される21歳のデンマーク人は、マクラーレンの育成プログラム出身。1995年に同じマクラーレンでF1デビューを飾ったヤンを父に持つ2世ドライバーである。

成功への新たな切符を手に入れるものもいれば、夢破れて新天地を求めるものもいる。そんなF1サーカスは、今年で2回目となるテキサスはオースティンでのアメリカGPにやってきた。

ベッテル(先頭)に次ぐ2位でレースを終えたグロジャン(2台目)。首位を狙うまではいかなかったが、レース中盤からチャージをかけてきたウェバー(3台目)をしっかりと抑え切った。なお最後の2戦を欠場することになったキミ・ライコネンの代役、ヘイキ・コバライネンは、数時間しか経験のないロータスのマシンで予選8位と健闘。しかしレースでは、フロントウイングの異常でノーズ交換を余儀なくされ、15位完走に終わった。(Photo=Red Bull Racing)
ベッテル(先頭)に次ぐ2位でレースを終えたグロジャン(2台目)。首位を狙うまではいかなかったが、レース中盤からチャージをかけてきたウェバー(3台目)をしっかりと抑え切った。なお最後の2戦を欠場することになったキミ・ライコネンの代役、ヘイキ・コバライネンは、数時間しか経験のないロータスのマシンで予選8位と健闘。しかしレースでは、フロントウイングの異常でノーズ交換を余儀なくされ、15位完走に終わった。(Photo=Red Bull Racing)

■ベッテル、今季8度目のポールポジション

予選はまたしてもレッドブルの独壇場となった。10分間と短いQ3セッション、最初のアタックでトップに立ったのはマーク・ウェバーでタイムは1分36秒699。0.152秒離されて、セバスチャン・ベッテルが2番手につけた。
2回目のフライングラップでは、ウェバーが1分36秒441と自らのタイムを更新。一方、この時点でベッテルは3つあるセクターの2つ目までウェバーに遅れをとっていたのだが、コントロールラインを過ぎると逆にチームメイトを0.103秒凌駕(りょうが)していた。ベッテルが今年8回目のポールポジションを決めた瞬間だった。

残り2戦でF1を去るウェバーは、惜しくも予選2位。3位に入ったロータスのロメ・グロジャンは、ウェバーから0.714秒も遅れており、ここでもレッドブルの速さは群を抜いていた。
好調ザウバーのニコ・ヒュルケンベルグが見事4番グリッドを獲得。メルセデスのルイス・ハミルトン、フェラーリのフェルナンド・アロンソと続き、傷心のマクラーレン・ドライバー、ペレスが7位、そしてロータスに乗ってわずか数時間のコバライネンが8位と健闘した。

しかし今回の予選のヒーローは、ウィリアムズのボッタスだった。今年たった1点しか記録していないウィリアムズを駆り、Q1を首位、続くQ2は4位で通過。だが期待のかかったQ3で痛恨のミスをおかし悔しさの残る9位となった。
予選10番手はザウバーに乗るメキシカン、エステバン・グティエレスだったが、Q1で他車の邪魔をしたということで10グリッド降格のペナルティーを受け、代わりにトロロッソのダニエル・リチャルドがトップ10に加わった。

レース前、マシンのボディーにヒビが見つかりシャシーを変更したハミルトンは、ここのところの苦戦から解き放たれて、安定して周回を重ねることができた。とはいえ、スタートで3位に上がるも、タイヤをセーブする走りに徹したことで表彰台には届かず4位。ニコ・ロズベルグが9位で入賞したメルセデスは、コンストラクターズ選手権で2位を争うフェラーリに15点差をつけて最終戦に臨む。(Photo=Mercedes)
レース前、マシンのボディーにヒビが見つかりシャシーを変更したハミルトンは、ここのところの苦戦から解き放たれて、安定して周回を重ねることができた。とはいえ、スタートで3位に上がるも、タイヤをセーブする走りに徹したことで表彰台には届かず4位。ニコ・ロズベルグが9位で入賞したメルセデスは、コンストラクターズ選手権で2位を争うフェラーリに15点差をつけて最終戦に臨む。(Photo=Mercedes)

■(またもや)チャンピオンの一人旅

快晴で迎えたレースデイ。スタート直後に、このサーキット・オブ・ジ・アメリカズの特徴的なコーナーのひとつ、急な上り坂のターン1を1位で通過したのはベッテルだった。ラインを外れた偶数グリッドのウェバーは2番手から4番手に後退。その隙を突いて、奇数グリッドグロジャンが2位、ハミルトンは3位にポジションを上げた。

レースが始まって早々に、セーフティーカーの出番が回ってきた。1周目のバックストレートで、パストール・マルドナドのウィリアムズとエイドリアン・スーティルのフォースインディアが接触、スーティルのマシンがはじき出されウオールに当たり、そのクリーンナップのため4周まで徐行が続いた。

レース再開後は、56周のゴールまでベッテルの先頭一人旅。ミディアムとハードというかためのタイヤが持ち込まれた今回、大勢が1ストップを選択したのだが、ベッテルは28周目の唯一のピットストップまでに7~8秒、ミディアムからハードに替えた第2スティントでは10秒までギャップを拡大。その後はタイヤをマネージしながら貯金を上手に使い、ゴール目前の54周目には、お得意のレース終盤のファステストラップを記録し、後続に6.2秒の差をつけチェッカードフラッグを受けた。
ベッテルは、母国の英雄ミハエル・シューマッハーの持つシーズン最多連勝レコード「7」を上回る8連勝で、またひとつ記録を打ち立てた。

フェルナンド・アロンソは予選での定位置ともいえる6位から1つポジションを上げ5位入賞。この結果、2005年、2006年チャンピオンは地味ながら2年連続のドライバーズランキング2位を確定させた。フェラーリは、フェリッペ・マッサが得点できず13位完走となり、コンストラクターズチャンピオンシップ2位のメルセデスとのポイント差は11点から15点に開いてしまった。(Photo=Ferrari)
フェルナンド・アロンソは予選での定位置ともいえる6位から1つポジションを上げ5位入賞。この結果、2005年、2006年チャンピオンは地味ながら2年連続のドライバーズランキング2位を確定させた。フェラーリは、フェリッペ・マッサが得点できず13位完走となり、コンストラクターズチャンピオンシップ2位のメルセデスとのポイント差は11点から15点に開いてしまった。(Photo=Ferrari)
過去17戦で獲得したポイントはわずか1点。苦戦していたウィリアムズは、新人バルテリ・ボッタスが八面六臂(ろっぴ)の活躍を見せ、予選ではQ3進出を果たし9番手、決勝でも並みいる強豪を相手に入賞圏内にとどまり続け8位でゴール。自身初ポイントとなる4点を獲得した。(Photo=Williams)
過去17戦で獲得したポイントはわずか1点。苦戦していたウィリアムズは、新人バルテリ・ボッタスが八面六臂(ろっぴ)の活躍を見せ、予選ではQ3進出を果たし9番手、決勝でも並みいる強豪を相手に入賞圏内にとどまり続け8位でゴール。自身初ポイントとなる4点を獲得した。(Photo=Williams)

■グロジャン対ウェバーの2位争い

スタートで2つポジションを上げた3位ハミルトンだったが、メルセデスは1位ベッテル、2位グロジャンを追うよりもタイヤをセーブする作戦を選び、13周目にウェバーがオーバーテイクを仕掛けても無用な抵抗を見せなかった。
最終的にハミルトンはレース終盤のアロンソとの攻防戦を制し4位でゴール。フェラーリとのコンストラクターズランキング2位争いに、大きく貢献することとなった。

3位ウェバーは9秒先のベッテル、5秒前方のグロジャンを追いかけた。ウェバーが29周目、グロジャンが30周目にタイヤ交換を済ませると、レッドブルはロータスに2.2秒差まで詰め寄ることに成功。その後、ウェバーがファステストラップでギャップを1秒まで縮めれば、グロジャンが反発し2秒に広げるという駆け引きが続いた。
残り10周を過ぎ両者のタイム差は1秒以下となるも、ウェバーのタイヤではそれ以上を望めず万事休す。グロジャンは、自身最高位タイの2位で今年6度目のポディウムにのぼった。

次はいよいよ最終戦のブラジルGP。ベッテルが連勝を「9」に伸ばせば、1952年~53年にアルベルト・アスカリが残した、シーズンをまたいだ連勝記録に肩を並べることになり、さらにシューマッハーの年間最多勝「13」にも手が届く。4連覇を達成したチャンピオンがまたレコードブックに名を刻むことになるのだろうか? あるいはF1ラストレースを迎えるウェバーが、2011年に見せたような力走で有終の美を飾るのか?
さらに、メルセデスがフェラーリに15点先行しているランキング2位争いにも注目が集まる。決勝は11月24日に行われる。

(文=bg)

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