メルセデス、AMGの巨艦を世界初公開【東京モーターショー2013】

2013.11.22 自動車ニュース
メルセデス・ベンツ日本が後援する『ルノア~ダークシルク~』のパフォーマンスとともに登場する上野金太郎社長。
メルセデス・ベンツ日本が後援する『ルノア~ダークシルク~』のパフォーマンスとともに登場する上野金太郎社長。

【東京モーターショー2013】メルセデス、AMGの巨艦を世界初公開

独ダイムラーは2013年11月20日に開幕した第43回東京モーターショーにおいて、新型「メルセデス・ベンツSクラス」の最上級モデルとなる「S65 AMGロング」などを世界初公開。スマートブランドの2モデルを含む、全16モデルを出展した。

「コンセプト Sクラス クーペ」
「コンセプト Sクラス クーペ」
「コンセプト Sクラス クーペ」
「コンセプト Sクラス クーペ」
「S65 AMGロング」
「S65 AMGロング」
「S65 AMGロング」
「S65 AMGロング」
「SLS AMG GT FINAL EDITION」
「SLS AMG GT FINAL EDITION」
「SLS AMG GT FINAL EDITION」
「SLS AMG GT FINAL EDITION」

さすが自動車界の老舗ナンバーワンならではの貫禄。軽く明るい夢より、ズドッと強烈な「未来パンチ」をたたき込んできたのがダイムラーAG(メルセデス・ベンツ、AMG 、スマート)の記者会見。注目度は抜群で、報道公開初日の午後3時、開始はるか前から会見場は内外の記者とカメラマンで埋め尽くされ、立すいの余地もない。そこへ登場したメルセデス・ベンツ日本の上野金太郎社長は、年初から6車種にのぼる新型の発売を紹介したのに続き、「記念すべき年になりました。1-10月の日本国内販売4万3000台。前年同期を27%も上回り、輸入ブランド第1位に輝きました!」と胸を張った。

たっぷり面積を取ったステージには、荘重な音楽に送られて、まず「コンセプト Sクラス クーペ」が登場。遠くない将来、新型「CLクラス」となるはずの流麗な姿態を披露する。続いて圧倒的な旗艦となる新型「S65 AMGロング」が世界初登場。6リッターのV12ツインターボですべてを蹴散らす魔王だ。630psの最高出力と102.0kgm(1000Nm)の最大トルクは従来通りだが、新型「Sクラス」ボディーだけに、磨き込みの限りを尽くしているのは言うまでもない。さらに報道陣をどよめかせたのは「SLS AMG」の究極形と銘打った「SLS AMG GT FINAL EDITION」。特徴的なガルウイングドアをはためかせ、6.2リッターのV8(591ps)はこれまでのGT仕様と同じだが、「差し当たって現行SLS AMG の最終版、限定350台のみ」というお宝だ。その後しばらく後継車は登場しないとか。ダイムラー社メルセデス・ベンツ・カーズ営業マーケティング部門統括のオラ・ケレニウス氏も、「希望者は、できるだけ早く注文を」と壇上から呼びかける。

………と、ここまでなら国際ショーにありがちの華やかな光景だが、浮かれて喜んでばかりいられないのは、前半戦のジャブが効果たっぷりだったから。真面目すぎるほど真面目なメルセデスに近未来を説かれると、思わず襟を正して背筋を伸ばしたくなる。Sクラスを中心として最新ラインナップを特徴づける「インテリジェントドライブ」がそれ。ステレオカメラや各種レーダーで四方八方を漏れなく見張り、クルマ自身が状況を判断する高度な知能化はもちろんだが、従来の路線から大きく踏み出す第一歩が深く印象に刺さる。これまで大きな特徴だったアクティブボディーコントロール(ABC)は、路面からの入力に応じ瞬時にダンパー減衰力を調節するエアサスペンション、つまり“リ”アクティブだった。それが今度のマジックボディーコントロール(MBC) は、カメラで前方15mの路面のうねりや凹凸を立体的に読み取り、実際にタイヤがそこに差しかかるタイミングに合わせて調節してしまう本当のアクティブ機能を発揮する。もはや「クルマの形をした走行ロボット」だ。
そんな機能をフルに盛り込んだ実験車(「S500インテリジェントドライブ」)は、このほど南ドイツで100km以上にわたり、まったく人間の操作なしに各種の公道を走破することに成功した。そういえば、「Eクラス」のビッグマイナーチェンジや新型Sクラスの発表会で、メルセデス・ベンツ日本 上野社長もスピーチの中で「あたかも近未来の自動運転を予感させるかのような万全の安全装備」と明言している。

あまりにも大胆に聞こえるが、こんなこと、冗談で言うメルセデスではない。こうして実験を公開した以上、いい加減に撤回するメルセデスでもない。その行く手に垣間見えるのは、まったく人間の干渉を許さない完全自動(自立、自律)走行車かもしれない。極論すれば、ミスを犯す可能性を持つ人間への深い不信感の表れかもしれない。これまで誰もが当然と思ってきた「運転する楽しみ」さえ、事故ゼロという大義名分のためにあっさり否定しかねないところに、すべてを超越したメルセデスの恐ろしさを感じざるを得ない。
これを今ここまで言い切るなど、メルセデスでなければ不可能だろう。
ここまで重い近未来を見せつけられてしまっては、発売予定の「S500プラグインハイブリッド」も「Bクラス エレクトリックドライブ(ED)」も、まったく当たり前の存在に思えてしまうのは本当だ。

(文=熊倉重春/写真=webCG)

 

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